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構造解析

ガラス材の衝突破壊解析

2021年6月

自動車のフロントウインドウは、歩行者の衝突安全性を確保するための衝撃吸収性能が要求されます。そのため一般的には樹脂層を挟んだ積層構造とすることでガラスの飛散防止および衝撃吸収性能を発現しています。衝撃吸収性能は柔らかすぎても硬すぎても問題があり、適切な性能を持てるよう設計する必要があります。ガラス材料は脆性材料の典型とされ脆く割れやすい材料で、クラックが発生し、これが進展することでより大きな破壊に発展します。ガラス材料にクラックが発生することで引張方向の応力が伝搬されなくなりますが、クラックが閉じる方向に変形して完全にクラックが閉じた場合には、圧縮方向への応力が伝搬されるようになります。ガラスの破壊解析を精度よく実施するには進展の方向や応力の伝搬形式を考慮し、亀裂の発生や進展方向を精度よく解析する必要があります。そのため一般的な破壊材料ではなく、これらガラス材料の特性を表現可能な適切な材料構成則を使用して解析を実施する必要があります。そこで、陽解法動解析ツールのLS-DYNAに搭載されているガラス材料モデルを使用して、自動車のフロントウインドウを対象として、ガラスに発生する亀裂の発生や進展の様子を模擬できるか解析を実施してみました。

目次

  • はじめに
  • 解析の目的・背景
  • 解析手法
  • 解析モデルと解析条件
  • 解析モデルとメッシュ
  • 解析条件
  • 解析結果
  • 使用ソフトウェア

解析モデルと解析条件

本事例では自動車のフロントウインドウを対象とし、人体の頭部を模した球体がフロントウインドウに衝突する際の破壊の様子を解析します。自動車のフロントウインドウはガラスの飛散や衝撃吸収を目的として、樹脂(PVB)層をガラス層で挟みこんだ3層構造をしています。ガラス層はシェル要素を使用し、PVB層は樹脂の面外せん断なども考慮するためにソリッド要素でモデル化しました。境界条件としてはウインドウの外周部を固定し、球体に対して20m/sの初速度を与えます。初速度の方向はウインドウの法線方向とし、重力も考慮しています。

破壊フラグのコンター図

図の左列はウインドウ表面のガラス層を、右列はウインドウ裏面のガラス層の結果を示しています。コンターは破壊フラグを表示しており、黄緑色が1方向にクラックが入った要素を、赤色が2方向にクラックが入った要素を、青色が圧縮破壊している要素を示しています。結果はLS-PrePostを使用して表示しており、クラックが進展する様子をアニメーションで確認することもできます。

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