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熱流体解析

SPH法による撹拌槽の自由表面流解析

2021年6月

多くの産業分野において、原料となる液体をかき混ぜる「撹拌」プロセスは重要な工程であり、異種原料の混合、化学反応の促進、濃度や温度の均一化などを目的として行われます。一般的には撹拌槽内の液体をプロペラのような撹拌翼を回転させて流動させることで撹拌します。このとき、原料液の物性や撹拌翼の形状、回転速度などによって流動状態が変化するため、十分な混合を達成するためには多くのパラメータを検討する必要があります。このような撹拌槽内の流動状態の予測・検討には流体解析による3次元シミュレーションが有効です。本事例では、Ansys LS-DYNAのSPH法ソルバーを用いて撹拌槽内の液体の流動状態を可視化した結果をご紹介致します。SPH法は粒子法の一種であり、自由表面流のような界面の大変形を伴う複雑な流れ場のシミュレーションに適しています。また、メッシュ生成の必要がないこと、混合度合いを粒子の色付けによって容易に可視化できることなども、粒子法を用いる大きなメリットです。

目次

  • はじめに
  • 解析の目的・背景
  • 解析手法
  • 解析モデルと解析条件
    • 解析モデルとメッシュ
    • 解析条件
  • 解析結果
  • 使用ソフトウェア

液体の挙動の非定常解析

本事例では、撹拌翼を一定速度で回転させたときの液体の挙動を非定常解析(時刻歴応答解析)によって計算します。このとき、液体はSPH 粒子によってモデル化し、撹拌槽と撹拌翼は剛体として設定します。撹拌槽の内部には4枚のバッフル板が十字状に配置されています。境界条件として撹拌槽と撹拌翼を固定し、撹拌翼を反時計方向に 100 [rpm] の回転速度で回転させます。鉛直下向き方向(-Z方向)に重力加速度を設定しています。撹拌槽の半分程の高さまでを液体で満たした状態を初期条件として与え、事象時間が 4.0 [s] になるまで計算しました。

粒子の挙動と流速の可視化

初期状態における高さごとに粒子ボディを4色に塗り分け、混合状態を可視化した解析結果からは、撹拌翼の回転によって回転方向の流れだけでなく、上下方向の循環流も生じており、初期状態において底部にあった赤い粒子は上部へ、上部にあった青い粒子は底部へ移動し、最終的によく混合されている様子が確認できます。速度の大きさで色付けした場合の結果からは、撹拌翼が通過した部分で流速が大きくなっていること、最終的な速度の大きさは概ね一様になっていることなどがわかります。これらの結果は別視点を含めたアニメーション動画としてもご用意しておりますので、合わせてご参照ください。

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