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構造解析

プログラマブルマテリアル~材料物性値を制御する~

2021年5月

複数の異なる材料を混合したり、均質な素材に対して空隙を作ることによって、見かけの材料物性値を制御することができます。例えば、素材の内部に人工的に空隙を配置することで、ポアソン比や線膨張係数をゼロにするような材料も設計できることが知られています。このような材料はメタマテリアルやプログラマブルマテリアル等と呼ばれ、産業的な応用を目的として古くから研究の対象とされてきました。これまで、このような材料は目的の材料挙動となる構造が分かったとしても、その構造を持つ材料を製造することが困難であるケースが多くありましたが、近年の3Dプリンターに代表される革新的な製造技術の進歩によって実用化が期待されるようになりました。
本解析事例では、ハニカムライクなミクロ構造のプログラマブルマテリアルを対象に、0.0~0.5以上のポアソン比を持つ材料を設計しました。

目次

  • はじめに
  • 解析フロー
  • ミクロモデルの概要
  • 設計ポイントの設定
  • 応答局面の評価
  • 直接モデルによる結果の妥当性検証(Validation)
  • 使用ソフトウェア

等価物性値の可視化

本解析では様々なミクロ形状における等価物性値を、応答曲面を用いて可視化することを目的とします。ミクロモデルはAnsys Design Modelerを用いて作成しました。続いて、応答曲面をプロットするためのサンプリング点(設計変数のセット)を実験計画法によって決定し、各点のミクロモデルにおける等価物性値をMultiscale.Simを用いて評価しました。実験計画法に基づく応答曲面の作成作業はAnsys Design Xplorerを用いて行いました。最後に、応答曲面の結果の妥当性を確認するために、ミクロモデルを周期的に並べたマクロ解析モデルに対して引張試験の解析を行い、その結果を応答曲面と比較しました。

設計ポイントにおける応答局面

ミクロモデルの2つの形状パラメータ骨格の角度と厚みtの値を様々振って、等価材料物性値の応答曲面を評価します。物性値を評価するための設計ポイント(形状パラメータのセット)は、Ansys Design Xplorerに実装されている”細密空間充填設計”の実験計画法を用いました。Ansys Design Xpplorerで設定した25個の設計ポイントにおいてMultiscale.Simにおける均質化解析により等価物性値を評価しました。形状パラメータに対して、評価された等価物性値の値を3D応答曲面として描画しました。

結果の妥当性検証

Multiscale.Simで得られた等価物性値の妥当性を確認するための検証解析を行います。図は設計ポイントA,B,Cのミクロ構造を周期的に並べたマクロモデルに対して、単軸引張試験を実施した様子を示しています。設計ポイントAの結果を見ると、引張方向とは垂直の方向にほとんど縮んでおらず、Multiscale.Simで予測されたほぼゼロの等価ポアソン比の結果と整合していることが確認できます。また、設計ポイントB、Cと、角度が増加していくに従って、マクロ的なポアソン効果による縮みが顕著に現れる様子もMultiscale.Simによる予測結果と整合していることがわかります。

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