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新型コロナ - 航空機による移動中の感染リスクの軽減
2021年4月
現代人の多くは、新型コロナウイルス感染症による渡航制限の影響を受けています。ソーシャルディスタンスのガイドラインの目的は、開放空間または広い密閉環境での空気感染性疾患の広がりを最小限にすることです。乗客が比較的小さな密閉空間に留まることを余儀なくされるだけではなく、必要な換気システムが、呼気や咳の飛沫を客室全体に急速に広げる、強力な気流を発生させる可能性があるからです。これは、渡航制限の解除を判断するうえで重大な懸念事項です。本資料では客室内部のフローパターンの理解を通じて、航空機による安全な移動の新しいベストプラクティスを提案します。そのために、Ansys 流体解析 (CFD) ソフトウェアであるAnsys Fluentを使用して、咳をしている乗客から排出される粒子の運動をモデル化します。
目次
- 課題
- ソリューション
- 事例1:マスク未着用時の通気孔位置の影響
- 事例2:マスク着用の効果
- 感染拡大を抑えるために
マスク未着用時の通気孔位置の影響
民間旅客機の一般的な客室のCFDモデルをAnsys SpaceClaimを使用して生成します。流れ場はAnsys Fluentを使用してモデル化します。2パターンの入口/出口通気孔における咳飛沫拡散のCFD予測を比較します。飛沫(赤)は気流の速度ベクトル(主に緑)に重ね合わせられています。4列目の乗客の場合 (左の列)、気流は飛沫を排気孔へと効率的に導きます。2列目の乗客の場合 (右の列)、循環空気の気流が飛沫を拾い上げ、この乗客の後方の客室空間全体に広げます。
マスク着用の効果
同一の密閉環境でのマスク着用の効果を評価します。前の事例と同様に乗客2名が咳をしていますが、2列目に座っている乗客のみがマスクを着用します。圧力損失を把握するため、マスクの効果をAnsys Fluentの多孔質体モデルを使用してモデル化します。飛沫のフィルター処理はユーザー定義関数(UDF)によって実現します。咳の粒子軌道はAnsys VRXPERIENCEを使用してレンダリングします。2つのケースにおける客室全体での粒子拡散を比較すると、マスクを着用していない2列目の乗客によって発生した咳飛沫が客室全体に広がっている一方、2列目の乗客がマスクを着用しているケースでは広がっている粒子はほとんどないことが明らかです。