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3相インバータIGBTの伝熱解析 3Dモデルの低次元化による電気回路との連成

2021年3月
インバータのパワー半導体として絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)が利用されます。IGBTは熱効率がよいことで知られていますが、トータルの電力が大きければ、損失も大きくなります。また、IGBTの電気的特性は温度に依存し、温度が高すぎると、信頼性と耐久性が低下します。そのため、電気的特性と熱的特性を連成させた詳細な解析が必要となります。 パワー半導体デバイスの詳細設計ではシミュレーションおよび並列処理の飛躍的な向上を背景に複数場の連成解析なども幅広く利用されています。ただし、システム全体を3次元で扱おうとすると大量のデータが発生するため、近年では3次元モデルを低次元化してデータ量および計算時間を削減し、且つより精度のよいシステム全体の解析を実施する方法がとられています。その手法をReduced Order Model(ROM)といいます。本解析では、ROM技術を利用し、インバータモデルのシステムシミュレーションの事例を紹介します。
目次
- 解析の目的・背景
- 解析手法解析モデル1
- 解析モデルと条件
- 解析結果
- 解析モデル2
- 熱流体解析から熱伝達係数の取り込み
- 解析結果
- 解析モデル3
- モータシステムシミュレーションとの連携
- 解析結果
3DとROMモデルの温度計算結果比較

6組のダイオードとIGBTが並び、ヒートシンクがついた半導体デバイスを解析対象とします。1つのダイオードおよびIGBTに着目し、AnsysとModel Reduction inside AnsysによるROMモデルでの温度結果を比較したところ、ほぼ同じ結果を出力していることがわかりました。3Dモデルではモデル全体の結果を取得することができ、温度分布、温度勾配などの様々な結果を確認できるというメリットがありますが、ROMモデルでは指定した位置の温度結果をスピーディに求めることができます。
熱流体解析から熱伝達係数の取り込み

熱流体解析の計算結果から熱伝達係数を算出し、取り込んでみました。Ansys Workbench環境ではAnsys製品以外の熱流体解析からでも座標値および熱伝達係数のデータファイルがあれば簡単に取り込み、モデルにマッピングすることができます。熱流体解析より取り込んだ熱伝達を利用しAnsys Mechanicalで計算した結果とModel Reduction inside Ansysで出力したROMを利用した結果を比較すると、こちらもほぼ一致していることが確認できます。一定の発熱量であるため、300[s]までの計算時間に関しては両者において高速に計算されていることが確認できます。
モータシステムシミュレーションとの連携

システムシミュレーションにおいてIGBTコンポーネントと連携すると、コンポーネント内部に設定した熱抵抗からIGBTやダイオードのジャンクション温度を算出・温度依存のIV特性から電流の変化なども確認することができます。解析結果として、スイッチング周波数の変化によるトランジスタジャンクション温度とA相電流波形を表示します。0.49[s]までの計算ですが、数μs刻みでデータの連携を実施しているため、2kHzでも数十分の解析時間がかかりました。FEMモデルでは膨大な時間と容量が必要になるため実施しておりません。このようにROMモデルを利用することでより詳細なシステムシミュレーションを実施することが可能となります。
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