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構造解析

拘束のない線形構造解析を行うためのテクニック

教育のプロによるCAEコラム 「あんな解析こんな解析 」

2021年3月

解析初心者の頃、「応力解析を行うときに不完全な拘束で解析すると逆行列が解けずにエラーになるので、ちゃんと拘束しないといけない。」と教えられたものでした。しかしながら、航空機が空中を飛んでいるときなど、拘束のない構造物に線形静解析を行うにはどうしたらいいのでしょうか?実はこういう場合の解析手段として「イナーシャリリーフ」という機能があります。この機能を用いると、宙に浮いた状態での静解析を行うことができます。理論と言うより、計算上のテクニックとも言える解析ならではの手法ですが、あまり書いてあるのを見たことがないのでご紹介します。今回はCASE1として「重心点を拘束する方法」、CASE2として「重心点以外の場所を拘束して解く方法」を掲載します。

目次

  • はじめに
  • イナーシャリリーフ解析CASE1 重心点を拘束する方法
  • イナーシャリリーフ解析CASE2 重心点以外の場所を拘束して解く方法
  • CAEユニバーシティからのご案内

重心点を拘束する方法

支持されていない状態(たとえば無重力中に浮いている状態)において棒に荷重Pをかけたときの変形を求めます。普通に静解析を行ったのではエラーになって解析できないので、以下の手順で行います。①重心点を拘束し、静解析を行い、拘束点反力を求める②重心点を拘束したまま回転加速度をかけ反力を求める③重心点を拘束し、並進加速度をかける④荷重ケース①~③の拘束点反力がキャンセルされて0になるよう②と③の倍率を定め、全荷重ケースの線形和を求める

重心点以外の場所を拘束して解く方法

棒が無重力中に浮いた状態で、節点5にY方向荷重をかけた場合の静解析です。節点4は重心点ですが何かの事情で拘束できないとします。とは言え、拘束がない状態での静解析はエラーになるので、ここでは節点1をピン支持、節点7をローラー支持とする静定構造としてStep1の静解析を行います。後の考え方は前題とまったく同じで、Step2とStep3で回転加速度と並進加速度をかけ、拘束反力が0になるように荷重ケースの線形和を行えばよいです。ここでは2次元のモデルで解析を行いましたが、3次元モデルでも同様にできることがわかります。とは言え、3次元モデルでこれを手計算で行うのはほとんど不可能です。そこでこの手順をプログラム化して組み込んだものがイナーシャリリーフ機能になります。

CAEユニバーシティ

「ものづくりのための、ひとづくり」をキーワードに、シミュレーションを有効活用できる真のCAEエンジニアの育成を目標とした総合CAE教育システムです。個人向けの基礎力アップから、企業の設計部隊などの組織向けオンサイト教育、管理職を対象としたCAEマネージメント教育など様々なニーズに対して、座学/実験などの各種プログラムをご用意し、幅広く対応しています。

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