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計算モデル化による晶析プロセスの制御と最適化

公開日2020年7月
晶析プロセスは、化学業界、石油化学業界、および製薬業界で広く使用されています。化学業界では、カリウム工業や苛性工業で大量の化学物質を生産する手段として、さらに精製するための分離テクノロジーとして、晶析を使用します。 精製化学工業や特殊化学工業では、晶析プロセスを使用してさまざまな高価値の有機化合物を生産します。薬物の製造では、晶析プロセスは医薬中間体(API:Active Pharmaceutical Intermediate) の製造によく使用されます。しかし、広い範囲で使用されるにも関わらず、晶析プロセスは科学的な観点で十分に理解されているわけではありません。このホワイトペーパーでは、晶析装置プロセスの制御とスケールアップにおける流体力学のいくつかの課題について説明します。
目次
- 晶析装置を理解する上での課題
- CFDによる晶析装置の内部の理解
- ケーススタディ
- 問題
- 解析
- 結果
- まとめ
粒径分布の制御
工業用晶析装置の主な課題の1つに、粒径分布(CSD:Crystal Size Distribution)の制御があります。最終的な粒径分布はしばしば、ろ過、遠心分離、粉砕などの下流プロセスに影響を及ぼします。さらに、製品の純度と品質は、CSDの影響を直接受けます。その重要度にも関わらず、粒径分布は十分に理解されていません。その複雑さには、粒径分布が、非理想の流れパターンと伝熱によって晶析装置内で空間的および時間的に変化すること、および溶液の熱力学および核生成、成長、凝集、分裂などの晶析現象に結び付いていることが含まれます。撹拌、流体力学、固体と液体の物理化学的性質、および全体的な過飽和プロファイルの複合作用の影響について理解を深めることによって、得られた知識をスケールアップとCSDの制御に適用できます。
CFDとポピュレーションバランス方程式
流体力学と非理想撹拌の影響は、一般に、数値流体力学(CFD:Computational Fluid Dynamics)を使用して研究されています。CFDは、広範囲にわたる適用分野における流体流れと撹拌の特性を予測可能な、確立されたテクノロジーです。しかし、晶析現象を組み込むことができるようにするには、ポピュレーションバランス方程式も解く必要があります。なぜなら、この方程式は、粒子群における変化を処理できるからです。CFDを使用してポピュレーションバランス方程式を解くための手法として、離散化法と求積モーメント法(QMOM:Quadrature Method of Moments)の2つがあります。図は、標準的な薬剤が溶液に溶解している場合のバッチ式晶析問題のQMOMによる結果を示します。
晶析装置のモデル化のケーススタディ
Fluent社、Dow Chemical社、およびユタ大学が協力して、Dow Chemical社のラディントンにある施設で試験稼働している晶析装置をモデル化したケーススタディをご紹介します。物理過程では、塩化カルシウム(CaCl2)と塩化カリウム(KCl)に富んだ流れから、不純物と見なされる塩化ナトリウム(NaCl)を晶析させることによって、流れの濃縮と精製を行います。FLUENTのオイラーグラニュラー混相流モデルを使用して、40万セルの三次元メッシュ上でポピュレーションバランスソルバーを実行しました。
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