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粉末吸入器の流体解析

公開日:2020年05月
気管支喘息などの治療には粉末状の薬剤を専用の器具で肺に吸い込む吸入剤が用いられ、こうした器具はドライパウダー型吸入器(Dry Powder Inhaler)と呼ばれます。 本資料では、粉末吸入器を模した流路形状を作成し、流体解析および粒子追跡解析を行った結果についてご紹介します。
目次
- はじめに
- 解析の目的・背景
- 解析手法
- 解析モデルと解析条件
- 解析モデルとメッシュ
- 解析条件
- 解析結果:流体解析
- 解析結果:粒子追跡解析
- 使用ソフトウェア
吸入器内の圧損低減と粒子挙動の把握
吸入器は口に咥えた状態で患者自身が空気を吸い込んで使用するため、患者の負担を軽減するために吸入器内の圧損を低減することが設計上の1つの指標となります。また、吸入剤の粉末は小さな薬剤粒子がより大きな乳糖などの担体(キャリア)粒子に付着して二次粒子を形成するよう設計されています。これは薬剤粒子単体では吸入器内に付着・残留するおそれがあるためです。しかし、服用時にはこれらの粒子は分離して薬剤粒子のみが肺に到達することが望ましいため、粒径による粒子挙動の違いを把握することが重要になります。流体解析と粒子追跡解析を適用することで、上記の指標を考慮した吸入器の性能評価が可能になります。
流体解析
流体解析の結果を流線として示します。本事例のモデルでは流入口部分の断面積を絞っているため、その部分の流速と圧力降下が最も大きくなっています。この場合、マウスピース付近の流速が所望の値よりも小さくなる可能性があり、患者の負担増加が予想されます。流入口の断面積を大きくするといった形状変更を行うことで、こうした傾向は改善可能と思われます。
粒子追跡解析
2種類の粒径の粒子軌跡の結果を示します。色付けは滞留時間となっており、粒子がその位置に達するまでの時間です。図より、粒径5 [μm]の粒子は旋回流の中心付近に存在し、ある程度の時間で流出口まで達していることがわかります。一方、粒径50 [μm]の粒子は旋回流の周辺部に存在し、最終的に吸入器内に留まるような結果になっています。このように、粒子追跡の軌跡から薬剤粒子と担体粒子の分離の様子を確認することができます。
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