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半陰解法による不安定構造の接触解析
収束困難時に自動的に陽解法へ移行

公開日:2019年12月
陰解法による構造非線形解析では収束問題は避けて通れません。ただし解析のすべての過程において収束困難が生じることは稀で、一部の過程で極度に収束性が悪化し発散してしまうケースが多いと思います。この一部の過程での収束を達成するために、接触やソルバー設定の調整を繰り返すことがあるかと思います。このような問題に対して、Ansysでは半陰解法という手法をご用意しています。半陰解法とは陰解法で収束が困難な場合に、陽解法に自動的に移行して解析を続ける手法です。本稿では、収束困難時に陰解法から陽解法に移行して解析を続行する半陰解法(Semi Implicit)手法を用いた非線形座屈解析例をご紹介します。
目次
- はじめに
- 解析の目的・背景
- 解析手法
- 解析モデルと解析条件
- 解析モデル・解析条件
- 半陰解法の設定
- 解析結果
- 解析によって得られた効果
- 使用ソフトウェア
半陰解法とは
半陰解法ではまず陰解法で解析を実施し、時間刻みが最小時間ステップに到達しても解析が発散した場合に、陽解法に移行します。ユーザーが設定する基準時間だけ陽解法での解析が進むと、陰解法での収束計算を実施し、収束が取れる状態になると陰解法に移行し、収束が取れない場合には陽解法を続行します。陰解法に戻ったあとに発散する状態に達した場合には、再び陽解法に移行するというように、陰解法と陽解法を自動で切り替えて解析を進めます。半陰解法は、局所座屈などの構造不安定問題、飛び移り問題、材料挙動が突然変化する問題に対して有効と思われます。
タンクをつぶす接触解析
上部の円弧のサーフェスモデル(剛体壁)を強制変位で押し下げてタンクをつぶす接触解析を行います。半陰解法は、今回利用したバージョン(2019R3)ではGUI未対応のためコマンドで設定します。陽解法から陰解法に戻る時間と、陽解法における初期最小安定時間増分を設定します。解析実行中の収束グラフを観察してみると、ところどころ収束性の評価がされない区間ができています。これが陽解法で計算している区間にあたります。
解析結果:タンクの変形図
変形結果を見ると、局所的に座屈が発生している様子が観察できます。半陰解法により収束困難を克服でき、従来はあきらめていた非線形性の強い問題も、解析できる可能性が広がります。
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