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逆解析による非線形静解析
未知の初期形状を求める
公開日:2019年12月
構造解析では通常、何らかの初期形状に荷重を負荷して、未知の変形後形状や応力・ひずみなどを求めます。これを順解析と呼びます。一方、逆解析とは変形後の形状が既知であり、変形させる要因となった荷重を逆向きに負荷して未知の初期形状を求める解析です。AnsysではVer19.2より逆解析に対応しています。本稿では逆解析を使った解析例をご紹介します。
目次
- はじめに
- 解析の目的・背景
- 解析手法
- 解析モデルと解析条件
- 材料
- 解析条件
- 解析結果
- 解析結果
- 解析によって得られた効果
- 使用ソフトウェア
血圧の逆負荷による血管の逆解析
初期形状が不明なケースとしては、たとえば血管などが考えられます。血管には血液が流れていますので、CTスキャンなどで形状を取得したとすると、血圧が負荷された状態の“変形後の形状”ということになります。では血圧がかかっていない状態での血管の形状を知りたいときにはどうすればよいのでしょうか? 当然ながら血液の流れを止めてCTスキャンするわけにはいきません。このような場面で逆解析が役立ちます。血圧がかかった状態の血管形状を“既知の変形後形状”としてモデル化し、血圧を逆負荷して逆解析することで、血圧がかかっていない状態の初期形状を求めることができます。
逆解析の設定
逆解析では通常の順解析とは異なる設定がいくつかありますのでご注意ください。まず、逆解析では超弾性材料も用いることができますが、超弾性のひずみに応じた剛性変化が生じ、その挙動は順解析と逆になります。また、逆解析では荷重の作用方向に注意が必要です。荷重は定義方向と逆方向に変形するイメージで、変位は定義方向と同方向に変形するイメージとなります。少々ややこしいのですが、荷重と変位では定義する方向が異なりますので注意してください。
解析結果:初期形状および変形量
逆解析で得られた、初期形状(圧力により変形する前の形状)が求められます。 求めた形状はSTL形式で出力することができますので、必要に応じて3DCADで読み込んでご利用いただけます。変形量コンタ図は、初期形状から既知の変形後形状になるまで、どの程度変形したかを表しています。また、逆解析では変形後(荷重が負荷された状態)に生じた応力やひずみも求められます。