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シミュレーションによって推進される先進運転支援システム(ADAS: Advanced Driver Assistance System)および自動運転車の開発
公開日:2019年12月
先進運転支援システム(ADAS)および自動運転車の開発は、前例のない課題です。試算結果が示すように、ADASと自動運転車、この両方の安全性と信頼性を確保するには、数十億マイルもの路上テストが必要になります。これは、エンジニアリングシミュレーションの支援がなければ、達成不可能な作業であると考えられます。シミュレーションという、精度、速度、コスト経済性の面で優れた手段を使用すれば、数千もの運転シナリオや設計パラメータを仮想的にテストできるようになります。このホワイトペーパーでは、シミュレーションが自動運転車およびADASの開発に欠かせなくなっている6つの具体的な領域について説明します。
目次
- ADASおよび自動運転車の開発における背景と課題
- シミュレーションのニーズとメリット
- ADASおよび自動運転車シミュレーションの6つの側面
- 運転シナリオシステムシミュレーション
- ソフトウェアおよびアルゴリズムのモデル化・開発
- 機能安全解析
- センサー性能シミュレーション
- エレクトロニクスハードウェアシミュレーション
- 半導体シミュレーション
- まとめ
センサー性能シミュレーション
自動・自律運転車向けに開発する必要がある新しいキーコンポーネントとして、まず挙げられるのがセンサーです。シミュレーションでは、高精度の物理モデルを使用して、レーダー、V2Xアンテナ、超音波センサーなど、各センサーの性能を予測します。たとえば、シミュレーションでは、特定の運転シナリオにおけるレーダーのパターンやゲインを予測することで、コストや時間がかかる物理テストが不要になります。さらに、シミュレーションでは、車両に搭載されたレーダーの性能変化を、雨天・降雪時といった動作条件に応じて計算します。
エレクトロニクスハードウェアシミュレーション
自動・自律運転車には、現在の自動車よりもはるかに多くのエレクトロニクスハードウェアが搭載されています。これらの多くはセーフティクリティカルなコンポーネントであり、それぞれのハードウェアの設計では、車両の寿命にわたって故障することなく、電気負荷、熱負荷、振動負荷、および機械的負荷に耐えられるように考慮する必要があります。図は、プリント回路基板(PCB: Printed Circuit Board)のエレクトロニクス信頼性シミュレーションを示しています。(a) PCB外観、(b) パワーマップ、(c) 温度分布、(d) 機械応力分布を示しています。
半導体シミュレーション
ADASおよび自動運転車システムは、膨大な量の信号処理・計算を車載環境でリアルタイムに実行する必要があります。これを踏まえて、半導体企業は性能向上と同時に、エネルギー消費、構造信頼性、熱的信頼性、デバイスのサイズといった条件のバランスを考慮しながら、デバイスの開発を進めています。