CYBERNET

資料ダウンロード

構造解析

電場-構造連成解析を応用した電気粘着ピラーアレイの製造手法の開発


公開日:2019年09月
技術の発展により近年では電気電子機器に搭載されるパーツの小型化が著しくなっており、これらマイクロパーツをハンドリングするための技術の要求が高まっています。固定力を発生する機能性材料の1つに電気粘着ゲル(Electro-adhesive Gel、以下EAG)があります。EAGは電場の印加により瞬間的に固定力を表現する機能的材料で、残留電荷が残らないという特長を有しており、マイクロパーツのハンドリングへの応用が機体されています。本解析事例は、EAGで安定した固定力を得るための手法として考案した電気粘着ピラーアレイの製造手法を有限要素法による電場-構造連成解析を用いて検討したものです。

目次

  • はじめに
    • 慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科 柿沼研究室のご紹介
  • 解析の目的・背景
  • 解析手法
  • 解析モデルと解析条件
  • 解析結果
  • 解析によって得られた効果
  • 使用ソフトウェア

ピラーアレイの作製

EAGは外部電場の印加により、シリコーンゲルが表面にあるER粒子に沿って隆起することで粘着力を発生します。しかし、その粘着面は不規則で個体差が生じるため、安定した固定力を得る上での課題となっていました。そこで、粘着面が規則的になるようにEAG表面にピラーアレイを施し、安定した固定力を得ることを目指しました。EAピラーアレイの作製は静電誘導リソグラフィにより行いました。ER粒子とシリコーンゲルの混合物を塗布し、上方に配置した凹凸のついたテンプレートから電場を印加することでゲルを隆起させます。その後UVレーザーで硬化します。

電場解析および構造解析

電場印加時にシリコーンゲルが隆起する様子の予測を行うため、有限要素法(FEM)ソフトAnsysを用いた電場解析と構造解析の連成解析を行いました。まず塗布したシリコーンゲルに電場を印加したときの電場分布を、電場解析で求めます。その後、電場分布により生じる電気力を用いて構造解析を行い、シリコーンゲルの変形を求めます。本解析では初期形状を2回更新し、3段階にわけて解析を行いました。解析を用いて考案した手法で、実際にシリコーンゲルにEAピラーアレイを作製したところ、従来のEAGよりも高い固定力を発揮していることが示されました。

Ansys、ならびにANSYS, Inc. のすべてのブランド名、製品名、サービス名、機能名、ロゴ、標語は、米国およびその他の国におけるANSYS, Inc. またはその子会社の商標または登録商標です。その他すべてのブランド名、製品名、サービス名、機能名、または商標は、それぞれの所有者に帰属します。本ウェブサイトに記載されているシステム名、製品名等には、必ずしも商標表示((R)、TM)を付記していません。 CFX is a trademark of Sony Corporation in Japan. ICEM CFD is a trademark used by Ansys under license. LS-DYNA is a registered trademark of Livermore Software Technology Corporation. nCode is a trademark of HBM nCode.