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構造解析

課題の多い過渡翼列問題に対する高速周波数応答解析

2019年3月

目次

ターボ機械の設計の最適化は、自動車、飛行機、発電所、およびその他の工学システムのエネルギー効率、信頼性および耐久性を高める取り組みの中心に位置します。ターボ機械には、多数の相互作用する可動部品、流体流れ、機械的応力および制御システムが含まれているため、その設計上の課題は膨大です。工学シミュレーションによって、ターボ機械における多くの重要な技術改良の開発が支援されてきました。しかし、ますます増え続ける今日の設計上の課題に対応するには、より良い解析機能が必要です。Ansysが新たに導入したターボ機械解析機能では、精度の向上と解析時間の短縮を実現するとともに、エンジニアがこれらの課題に対応することが可能になっています。Ansys18ツールセットには、定常状態の数値流体力学(CFD)、ホイール全体の非定常状態のCFD、一連の非定常ピッチ変更手法に加えて、新しい周波数応答解析(HA)手法が含まれています。このHA手法では、時間-周波数混成領域でフラッター解析を行うことで、ホイール全体の解析に比べて100倍の計算時間の高速化を実現できます。この完全なAnsysツールセットにより、競争が激しく開発スピードが求められる環境で、効率、信頼および耐久性の向上と排出量の削減を目的としたターボ機械の代替設計案を迅速に評価できます。

ターボ機械の設計上の課題

ターボ機械の設計者は、世界に300万台以上存在する主要なターボ機械(燃料を燃焼し、流体流れからエネルギーを抽出し、流体流れを駆動するプロセスでエネルギーを消費する機械など)のエネルギー効率やその他の性能特性を改良するために、激しい競争にさらされています。たとえば、専門家は燃料効率が1パーセント向上すると、世界の民間航空産業全体で15年間で300億ドルのコストを削減できると試算しています。一方、この1パーセントの向上により、世界のガス火力発電所全体で15年間で660億ドルのコストを削減することができます。新しいターボ機械は、エネルギー効率以外にも多くの性能基準に適合していなければなりません。たとえば、ライフサイクルメンテナンスと修理のコスト目標を十分に達成できる耐久性を備えている必要があります。また、航空業界向けに設計されるターボ機械は、重量削減目標を達成するとともに、航空機の全動作範囲で旅客の安全を確保するのに十分な強度を保つ必要があります。

図1 ターボ機械の設計者は、試作に時間とコストを費 やす前に、シミュレーションを使用することで設計改善案を評価して性能上の問題を解決します。図1 ターボ機械の設計者は、試作に時間とコストを費やす前に、シミュレーションを使用することで設計改善案を評価して性能上の問題を解決します。

ターボ機械エンジニアは、競争が激しく、わずかな改善が大きな利益につながる可能性があること、また試作機の製作コストが高かったことから、コスト効率が高くリスクが低い仮想世界において代替設計案を評価するために、工学シミュレーションをいち早く取り入れるようになりました。主要なターボ機械メーカーでは、試作に時間とコストを費やす前に、シミュレーションを使用して設計改善案を評価し、性能上の問題を解決しています。

今日、ターボ機械産業はかつてないほど激しい競争と規制に直面しており、エンジニアはより短期間により高い精度でターボ機械の性能を予測し、製品設計上の課題を解決できるさらに高度なシミュレーションツールを求めています。

定常シミュレーション

ターボ機械のシミュレーションには、解析スタッフの幅広い工学目標に応じた一定範囲の解析手法と計算手法が必要です。ミキシングプレーンベースの定常状態の多段CFD手法は、高レベルの精度と計算効率を備えているため、質量流量、圧力比、処理量、仕事率、効率などの基本的なマシン性能パラメータを予測するには最適なアプローチです。定常の列/ステーター相互作用手法では、列ごとに1つの翼流路を解析し、流路ごとにピッチ方向の周期性を適用し、静止コンポーネントと回転コンポーネントのあいだの混合平面を使用して、各基準座標での定常流れを取得します。

非定常シミュレーション

定常シミュレーションは計算効率の面で魅力的ですが、ターボ機械の動作の基礎となっているのは非定常相互作用です。エンジニアの努力によってターボ機械の効率向上と動作範囲の拡大が進むことで誤差の範囲は縮小され、代替設計案の非定常挙動を理解することはますます重要になっています。非定常シミュレーションは、翼列のあいだに流れの密接な連成がある場合、ブレードが高い負荷を受ける場合、または列のあいだに強い空気力学的相互作用が存在する場合に必要になります。時間厳密性を持つ過渡翼列シミュレーション手法は、空気熱力学解析や空力音響解析など、基本的に非定常の流動現象にも必要とされます。

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