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構造解析

FDM3Dプリンタによるトポロジー最適化コア層を有するサンドイッチ構造の一体成形と評価

千葉工業大学 工学部 機械工学科 鈴木 浩治 様

FDM3Dプリンタによるトポロジー最適化コア層を有するサンドイッチ構造の一体成形と評価:Ansys・CAE活用事例ダウンロード:サイバネット

CAEのあるものづくり |公開日:2020年02月

目次

  1. 背景と目的
  2. サンドイッチ構造
  3. トポロジー最適化と3Dプリンタ
  4. 最適化方法および解析条件
  5. 最適化結果および考察
  6. 結論
  7. 使用ソフトウェア

背景と目的

自動車や航空機などの性能や燃費の向上のために、軽量化は重要な位置付けとなっています。構造体の軽量化設計手法の一つにトポロジー最適化があります。また、航空機の尾翼などには、軽量化を図るためサンドイッチ構造が使用されています。これまでに、非サンドイッチ構造へのトポロジー最適化の適用 [1][2] やサンドイッチ構造への非トポロジー最適化の適用 [3] に関した様々な研究がなされていますが、サンドイッチ構造コア層の合理的軽量化設計を達成する目的でその形状に対してトポロジー最適化を適用した例はみられません。サンドイッチ構造に用いられる代表的なコア層にはハニカムコアやフォーム材がありますが、これら従来のコア層は厚さ方向に対して形状が一様で変化がなく、最適な形状とはいえません。そこで、本研究では、コア層にトポロジー最適化を施すことによって、これまでにない合理的な軽量化の施されたサンドイッチ構造を見出すことを目的とします。

サンドイッチ構造

梁の断面に生じる曲げ応力分布は、上下両表面に最大応力を生じ中央では0となります。すなわち曲げを受ける梁の中心では曲げに対し、機能しなくてもよいといえます。そこで、大きな応力の発生する上下の表面に応力を分担させ、曲げモーメントに耐える構造が考えられます。ここで板を切り上下に分けた場合に生じる応力分布を図1に示します。曲げ応力の分担は表面材によって行われます。上面の板は圧縮を、下面の板は引張を分担し外力に抵抗をしています。しかし、この状態に上から力を加えた場合、上面のみが曲がり圧縮引張を分担することができません。分担する場合は上面下面をつなぎとめる部材が必要となります。H型のように部材を中心に配置することで上下の面をつなぐことが可能になりますが、板の幅が長くなり板状になると多くの部材を並べる必要があり、工作及び設計上の自由度が低くなります。そこで、解決策として板の間を別の軽い部材にして間を完全に埋めることで解決をすることができます。板の間を軽量な部材にすることで、上下の面の間隔を保ち、板厚を稼ぐことで大きな曲げモーメントに耐えることができる構造をサンドイッチ構造といいます [4]

板を切り上下に分けた場合に生じる応力分布
図1:板を切り上下に分けた場合に生じる応力分布

トポロジー最適化と3Dプリンタ

トポロジー最適化は構造最適化のうちの1つであり、構造最適化は、あらかじめ決められた設計・境界条件から求める性能を最大限得られる構造・形状を求めるものです。構造最適化の大別を行うと図2に示すように、寸法最適化、形状最適化、トポロジー最適化の3つに分類されます。寸法最適化は、最も簡単な構造最適化の方法で、設計変数として梁の高さのような機械的あるいは、構造的な寸法を変更することで数学的な最適化手法を用いて最適化を行います。形状最適化は、構造物の外形形状そのものを設計変数として最適化を行います。したがって、外形形状を自由に変更することができ、穴の大きさも変えることができます。

構造最適化の種類
図2:構造最適化の種類

参考文献

[1] 和田有司, 山本健裕, 弓削康平, 中本晶子, 木﨑勇, 上野正樹“異なる混合条件における複数材料トポロジー最適化” 自動車技術会論文集, 2018 年49 巻2 号p.329-334.
[2] 藤井大地, 真鍋匡利:“CA-ESO法による構造物の位相最適化” 日本建築学会構造系論文集, 2013 年78 巻691 号p.1569-1574.
[3] 古田敏康, 野口義男, 酒谷芳秋,山口泰弘“CFRPアルミハニカムサンドイッチ材の強度と曲げ疲労強度” 日本複合材料学会誌, 1976 年2 巻3 号p.114-118.
[4] 宮入裕夫, 養賢堂,“サンドイッチ構造”,(2008).

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