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構造解析

代表体積要素(RVE)モデルを用いたナノクレイ/ポリエチレンテレフタレート樹脂複合材料の弾性特性評価

富山県立大学 様

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CAEのあるものづくり |公開日:2020年01月

目次

  1. はじめに
  2. 背景および目的
  3. 複合材料作製方法
  4. 実験方法
  5. 解析方法
  6. 結果および考察
  7. おわりに

はじめに

複合材料の微視構造は、ますます複雑細密化し、特性に影響を与える因子が多くなってきています。そのため、複合材料の特性は、多くの実験により評価する必要があり、研究開発のコストと時間を費やしているのが現状です。そこで、数値シミュレーションを活用し、実験の補完をすることで、研究開発のコストと時間を削減しようとする取り組みが活発に行われています。現在、複合材料の微視構造を詳細に考慮して特性評価する数値シミュレーション手法として、代表体積要素(Representative volume element 、RVE)モデルを用いた有限要素解析が注目されています。RVEモデルでは、様々なスケールでの微視構造が表現でき、強化材の形状・特性、強化材・マトリックス間の界面特性等を詳細に考慮して複合材料特性を求めることが可能となります。ここでは、ナノクレイ/ポリエチレンテレフタレート樹脂複合材料開発におけるRVEモデルを用いた弾性特性評価事例[1]について解説します。

背景および目的

ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate、PET)樹脂は、低価格で優れた力学特性を有するポリマーであり、食品・飲料包装容器、繊維、自動車部品等、様々な用途で使用されています。近年、PET樹脂のさらなる力学特性向上のためのフィラーとして、有機変性したモンモリロナイト(ナノクレイ)が注目されています。ナノクレイとPET樹脂の複合化では、有機変性で膨潤したナノクレイの層間にPET樹脂を挿入し(intercalation)、せん断力によって完全に一層ずつはく離(exfoliation)させて、ポリマー中に均一に分散することが特性発現のためには重要であり、重合法、溶融混練法等が試みられています。その中でも溶融混練法は、工業的に実現可能なナノコンポジットの作製方法として注目されています (図1) 。しかしながら、PET樹脂は、他の樹脂に比べて、ナノクレイの均一分散が困難であるため、ナノクレイ/PET樹脂の力学特性が十分に向上していないのが現状です。そこで近年、ナノクレイの分散性を向上させるために、超音波印加が試みられています。本研究は、超音波印加と溶融混練法を併用して作製したナノクレイ/PET樹脂複合材料を対象に、動的粘弾性試験を行い、動的粘弾性特性の温度依存性に及ぼすナノクレイ体積分率、超音波印加時間の影響を検討しました。また、超音波印加によるナノクレイの形態変化を評価するため、走査型電子顕微鏡によるナノクレイの形態観察を行いました。

さらに、樹脂中のナノクレイの分散状態を考慮した代表体積要素(RVE)モデルを用いて弾性特性に関する有限要素解析を行い、ナノクレイ/PET樹脂複合材料の弾性特性に及ぼすナノクレイの形態の影響についても考察を加えました。

図1 定常振動を構成する3要素図1 ナノクレイ/PET樹脂複合材料の溶融混練

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