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並列計算(HPC)で取り組む流体解析のスピードアップ
ユーザー様事例と目的別の導入シナリオ
CAEのあるものづくり Vol.28|公開日:2018年6月
目次
- はじめに
- 導入成功例のご紹介 イーグル工業株式会社 技術研究部様のHPC活用事例
- HPC導入の2つのシナリオ
- 必要なライセンスとHPC導入の効果
- まとめ
はじめに
近年、幅広い分野で解析が一般化し、その目的も補助的なものから設計開発の要へと発展しています。開発の即戦力として、現場では図1のようにより高度な解析が必要とされていますが、これらの解析は計算時間が長くなりがちで、その力を活かしきれていない場合もあります。
そこで開発時間短縮の手段として、HPC(High Performance Computing)つまり解析の並列計算ソリューションの活用が挙げられます。
図1 開発で必要とされる解析
導入成功例のご紹介 イーグル工業株式会社 技術研究部様のHPC活用事例
まずは実際にHPCを導入して計算時間の短縮に成功した事例をご紹介します。
イーグル工業様では、各種メカニカルシール、特殊バルブ、プラント機器、船舶用製品、金属ベローズなどを取り扱っています。
その中でも技術研究部様では次世代のメカニカルシール製品の研究・開発を行っており、シール部分の流体の挙動確認、製品の性能評価のためにAnsysCFXをご使用いただいております。シール部分の解析は微細構造が製品性能にとって重要なため、形状簡略化によるメッシュ数削減が難しく、計算時間の増大につながっていました。そこで開発加速のために、HPCをご導入いただきました。
図2はメカニカルシール周辺構造の解析モデルです。このモデルを1コア、10コア、32コアで計算して計算時間を比較しました。図3は解析結果(zx平面の圧力分布)、図4は各コア数での計算時間です。32コアでの計算時間は1コアの場合の5%と、大きく短縮できました。
このように計算時間が短縮されたことにより、今までよりも更にシール部分の開発に解析を取り入れることができるようになりました。そして現在は定常解析だけでなく、実際の流体挙動の変化を捉える非定常解析や、最適化手法を用いた形状最適化にも取り組み、製品開発のさらなる加速に大きく貢献されています。
図2 解析モデル
図3 zx平面の圧力分布
図4 各コア数での計算時間 ※1
※1: 1コアでの計算時間を100としています
※2: Ansys バージョンがR18.1のためHPC Pack1本で10コア、2本で32コアとなって
HPC導入の2つのシナリオ
HPCの導入は計算時間短縮の手段として効果が高いことがご確認いただけたかと思います。それでは実際の導入ではどのようなことを検討する必要があるでしょうか…