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解析事例

構造解析

株式会社アルパイン設計事務所 様

株式会社アルパイン設計事務所 様:Ansysを活用し、「設計者目線」に徹した解析サービスを展開

「サイバネットの質の高いサポートのお蔭で、補助金事業の解析もスムーズにできました。」

概要

今回のインタビューでは、株式会社アルパイン設計事務所 様にご協力いただきました。
「北陸のもの作り企業を技術面から支えて、共に伸びていくことを」―この考えのもと、北陸地区の産業機械や製造設備の設計サービスを手掛けてこられたアルパイン設計事務所様。その高度な設計サービスは、同エリアのものづくり企業から厚い信頼を寄せられています。また近年ではAnsysを活用し、設計者目線を活かした解析サービスを展開なさっています。

今回お話をお伺いした方々
代表取締役 西村 光也 様
小矢部事務所 所長 片山 敏之 様
エンジニア(機械部門)サブマネージャー 笹木  照 様
エンジニア(機械部門)解析担当 薮内 裕之 様

実績30年以上。設計に特化した専門家集団が、設計者の視点に立った解析サービ スを展開

御社の事業内容についてお聞かせください。

西村

当社は設計サービスに特化した専門企業として、30年以上、事業を展開してまいりました。分野としては、産業用機械・機器に関する製造設備の機械設計や電気制御設計を中心とし、CADによる設計・解析や技術者教育、人材派遣なども手掛けております。設立当初より、「お客様のご要望以上の技術サービスを提供する」ことを目標に、北陸地区のメーカー様を中心に、延べ70社様にサービスをご提供しています。

設備の場合、基本的にオーダーメイドになりますよね。70社もとなると、依頼内容も多種多様かと思いますが、どのように対応されているのですか?

片山

当社には協力会社も含めて70名近くの設計者が在籍してします。中途採用組も多く、それぞれが独自の経験を積んでいますので、全く未経験の案件は少ないですね。「自分がわからなくても、誰かに聞けば何かしらのノウハウが眠っている」というのは、当社の強みだと思います。

そして最近では、Ansys を利用した解析サービスを始められたのですね。

西村

はい。実は解析自体は10年近く前から実施していたのですが、数年前に、ハイエンドツールの Ansys を導入したことによって、本格的な取り組みが可能になりました。

片山

今までお客様と一緒に活動させていただく中で、設計サービスとともに、何かしらの「裏付け」をご提供できれば、とずっと思ってきました。
設計現場ではしばしば「根拠」を求められます。例えば、強度に問題のある製品を改良して、より丈夫な製品を作るとします。設計者は、社内の関係者や取引先に対して、自分の改良案で効果が出ることを立証しなくてはいけません。さらに、問題が発生した際の対応策まで求められることもあります。
その点、シミュレーションを使えば、理論的な裏付けが得られますし、視覚的にもわかりやすいので、説明資料としても最適です。我々の設計データに添えて、解析結果もお出しできれば、サービスの付加価値はさらに高まります。
また、シミュレーションした結果、設計上の問題点が見つかることもあります。その時は、我々の設計経験を活かして、原因の特定と改善策の提案まで行うようにしています。このように、「あくまで設計者目線に徹し、設計に役立つ解析サービスを提供すること」が我々の目指すサービスです(図1)。

図1 アルパイン設計事務所様の解析サービス

それが昨年の Ansys ものづくりフォーラムでご紹介いただいた「デザライズ:設計(デザイン)と解析(アナライズ)の融合」というコンセンプトですね。

片山

はい。最近では設計に解析結果を活かそうという動きが活発ですが、解析専門家が高性能のツールを使って解析したとしても、その結果が設計現場で役立つとは限りません。まずは解析担当者が、設計課題をしっかり理解していて、解析でどのような情報を得たいのか、何を解決したいのか把握していることが重要です。当社なら、設計現場の事情をよく理解したうえで、現実的な提案ができるはずです。

ものづくり補助金事業に採択されたことにより、ハイエンドの解析ツールを導入。 メッシャーや流体解析機能、連成解析機能が評価され、Ansys FluentとMechanicalを選定

当社のお客様も、解析専任者と設計者でのコミュニケーションは色々工夫されているようです。設計者目線での解析サービスへのニーズは高いと思います。ところで、Ansys の導入経緯はどのようなものですか?

片山

きっかけは経済産業省 中小企業庁による「革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金」です。当社は平成25年から28年までの3年間連続で、この事業に採択されました。実はこの補助金で、最初の1年目に他のツールを導入したのですが、性能に限界を感じるようになり、2年目にANSYSを採用しました。

薮内

採択された事業は、どれも特定の解析課題に取り組むというより、「解析精度を向上させるためのノウハウ構築」を目的としたものです。私は熱流体解析を担当しているのですが、一年目は、四角い筐体内部の流れでしたので、ミッドレンジの解析ツールで問題ありませんでした。しかし二年目以降からは、曲面を含むモデルや、乱流・混相流を考慮したり、精度を改善するためにメッシュ制御が必要になったりと問題がでてきて、やはりハイエンドCAEが欠かせないという結論に至りました。色々と調査した結果、最終的に選んだのが Ansys Fluentです。

笹木

私が担当している構造解析も、もともとはCAD付属の解析ツールを利用していました。しかしメッシュがうまく切れなかったり、動解析などの高度な解析が必要になるなど、しだいに限界を感じるようになりました。将来的には流体―構造連成解析に着手したいという思いもあり、我々の望みを全て満たしていたのがAnsys Mechanicalでした。実際に使ってみて、期待以上にメッシュが綺麗に切れるのには驚きました。

薮内

非定常や乱流といった難しいモデルも解析できますし、私も快適に活用しています。

ありがとうございます。ところで、御社は3年連続で補助金事業に採択されたとのことですが、申請にコツがあれば教えていただけますか。情報収集やアピールのしかたなど、色々ありそうですね。

片山

そうですね、常にアンテナを張って、情報収集を欠かさないことが大事かと思います。例えば石川県だとISICO(石川県産業創出支援機構)のような地元の支援機関や企業団体を活用するのも良いですし、中小企業庁のホームページに行けば、申請書なども自分でダウンロードできます。

薮内

テーマ選びは特に重要で、補助金の趣旨をよく理解して、適切なものを厳選しなくてはいけません。特にタイトルは重要なようです。文字数も決まっていますし、必要なキーワードを盛り込みつつ、コンパクトにまとめる必要があるので、当社もかなり試行錯誤したと聞いています。

片山

何にでも言えることですが、資料のわかりやすさも大事です。申請書を読む方のほとんどは専門外の方ですので、専門知識のない方でも理解できるように、図やグラフを工夫しました。

アルパイン設計様の補正ものづくり補助金事業

  • 平成25 年度補正ものづくり補助金事業
    「実証実験による熱流体解析の精度向上を実現した設計技術の確立」
  • 平成26 年度補正ものづくり補助金事業
    「更なる高精度化と多様な解析技術の確立によるビジネス拡大」
  • 平成27 年度補正ものづくり補助金事業
    「開発設計プロセスにおける最適化手法確立によるものづくり技術の革新」

社内教育の一環として、国家資格の取得を全社的に推進。サイバネットのサポートが、補助金事業の解析に多いに貢献

御社では経験豊富な設計者が大勢いらっしゃるとのことですが、社内教育はどのようにされていますか。

片山

資格の取得には力を入れており、国家資格を得るための教育は体系立てて行っています。また、当社は中途採用が多いのですが、新卒採用の場合は、最初の5〜10年はお客様のもとでみっちり勉強してもらっています。

薮内

解析に関して言うと、個人的には、常に好奇心をもって色々探究するのが良いと思います。自分は、少し手が空いたときには、簡単なモデルに様々な条件を振って、結果を比較したりしています。そのような作業の繰り返しが、現在の自分の経験値や技術のベースになっていると感じています。

笹木

当社は設計事務所なので、お客様や企業団体、CAE懇話会のような団体など、他社の方とお会いする機会が比較的多いかと思います。そうした社外の技術者との情報交換が大いに役立っています。

サイバネットシステムのサポートはご利用ですか?

薮内

補助金事業の解析は、サイバネットのサポートのお蔭でスムーズに行えました。特に、解析手法というか、効率よく目的にあった結果を出すためのアドバイスを沢山もらえたのが大きかったです。
Ansys を導入したての当初は、精度よく解析しようとして、とにかくメッシュを細かく切って詳細に解析していました。しかし、解析内容が複雑になるにつれ、モデル作成・修正や境界条件に膨大な時間がかかり苦労していました。
しかし、サイバネットのサポートのお蔭で、それぞれの目的に合ったメッシュの切り方や形状の作り方、境界条件の設定方法などのコツがわかるようになってきました。これは解析サービスを行う上でも大いに役に立っています。

笹木

サイバネットのサポートは、必ず回答をくれるところが素晴らしいですね。しかも、何かしらプラスαになる情報も添えてくれるので、同じように技術サービスを提供している自分としてはとても勉強になります。これからもよろしくお願いします。

お役にたてているようで何よりです。当社も今までお客様にいろいろ教えていただきながら、解析技術を向上させてきました。部員のそれぞれに得意分野がありますので、日々、お互い助け合って、最良の回答ができるように努力を重ねています。こちらこそ、今後ともご指導のほどどうぞ宜しくお願いいたします。解析規模と精度のバランスには、お悩みの方が多いようです。解析時間の上限をある程度決めているユーザー様もいらっしゃるようですが、御社はいかがですか?

薮内

必要な情報を最短距離で得られるように、いつも心がけています。しかし、どこまで詳細に評価したいかは、目的によって大きく異なりますので、特に上限は設けていません。例えばおおまかな分布が見たいだけなら、形状も簡略化して短時間で解析します。物体周辺の小さな渦まで見たい場合には、そこだけピックアップして時間をかけて解析します。

笹木

構造解析も同じですね。変位だけでよければ簡単に解析しますし、応力も変位も見たいなら丁寧にメッシュを切って解析します。解析にかかる時間は、お客様のコストにも直結する部分なので、予算やご要望とすりあわせて方針を決めています。

Ansys DesignXplorer の最適化解析に期待。独自の設計・解析サービスを発展させるため、これからも Ansys の高度な解析とサイバネットのサポートを活用

これから実施したいことについてお聞かせください。

笹木

補助金の事業でも、産業機械のチャンバーのリブの最適化に取り組みましたが(図2 、3)、今後も Ansys DesignXplorer(最適化ツール)をもっと活用したいです。例えば、リブの入れ方は、過去の経験や実績で決めていることが多いと思います。シミュレーションを使えば、複数の設計案の中からベターなものを絞り込むことができますが、本当にそれが最良なのかはわかりません。最適化ツールを使えば、あらゆる設計パターンの中から真の最適解を見つけることができます。

図2 平成26年度補正ものづくり補助金事業「熱風による乾燥滅菌庫の熱変位評価(構造-熱流体連成解析)」

図3 平成27年度補正ものづくり補助金事業「真空チャンバーの設計最適化(トポロジー最適化-パラメトリック最適化)」

薮内

例えば、エアーでものを動かすといったように、産業機械は動いたり変形することがよくあるので、今後はさらに複雑な解析にも取り組んでいきたいです。具体的には、移動変形メッシュや双方向の流体―構造解析がこれからの課題です。

西村

今後も、企業の業務効率を高める手段として、アウトソーシング化は進むと思います。ものづくり補助金のお蔭でAnsys のような本格的なツールが導入でき、サイバネットのサポートのお蔭で解析のノウハウも蓄積しつつありますので、当社ならではの設計・解析サービスを発展させていきたいです。

株式会社 アルパイン設計事務所 西村様、片山様、笹木様、薮内様には、お忙しいところインタビューにご協力いただき誠にありがとうございました。
心より御礼申し上げます。
【メカニカルCAE事業部 マーケティング部】

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