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トレースマッピング機能紹介
PCB基板の微細配線を考慮した効率的な伝熱・反り解析

CAEのあるものづくり Vol.25|公開日:2016年11月
目次
はじめに
PCB(プリント配線基板)の高密度化や小型化を実現するため、製造工程や機械的・熱的信頼性を考慮した上での基板設計が求められています。例えば、スマートフォンやデジタルカメラなどのデジタル機器やECUなどの車載機器の基板は、機器の製造工程や使用環境によって、熱応力に起因した基板の反りやはんだの損傷で接続品質や信頼性の問題が起こり、製品が故障することがあります。
その中で、PCBの設計のためのFEMの解析は以前から利用されてきました。しかし、PCBの解析は、「複雑な配線パターン」「膨大な部品点数」「薄板の多層構造」といったPCB固有の特徴により、詳細な解析モデルを作成することが困難(図1、表1)で、極端に単純化された解析モデルで解析するか、あるいは詳細な解析モデルをハイスペックなPCで長い時間をかけて解析する必要がありました。

図1 複雑なPCBは、解析モデル化が困難

表1 モデル化とコスト・精度の関係1
Ansys17.0から新しく搭載されたトレースマッピング機能を使うことで、配線データを活用し、解析精度と計算時間を両立した基板の伝熱・反り量のシミュレーションが可能です。

図2 トレースマッピング機能を使用した解析の流れ
解析手順について
トレースマッピング機能を使用した解析全体の流れは以下の通りです。
- 配線データ(PCB CAD 、ECAD; Electric CAD)とジオメトリデータ(Mechanical CADデータ、以下MCADと記載)を用意
- Ansys Workbenchを起動し、解析システムを構築
- ECADデータを読み込む
- MCADデータを読み込む
- 銅配線と基板の材料物性値を入力
- ECADデータから銅配線と基材の分布を読み取る
なお、図2の配線データで赤い部分は銅の比率が高い箇所、青い部分は基材の比率が高い箇所を表しています。 - MCADデータをメッシング
- 配線の分布データ(6)とメッシュ(7)を組み合わせ、配線の分布を要素1つ1つにマッピング
- 熱荷重や拘束等の境界条件を設定して解析を実行し、結果を評価
続いて、各解析手順について具体的に説明します。
(1) 配線データ(PCB CAD、ECAD; Electric CAD)とジオメトリデータ(Mechanical CADデータ、以下MCADと記載)を用意
・配線データ(ECADデータ)について
表3はトレースマッピング機能で読み込み可能なECADデータです。お使いの各種PCB CADにて出力可能なものを用意します。
・ジオメトリデータ(MCADデータ)について
読み込むMCADデータは基板自体に加え、実装する半導体パッケージ等の部品を含んだデータを用意します(図4.(a))。ただし、基板内部の配線はトレースマッピング機能で考慮されるためMCADデータとしてモデル化する必要はありません。なお、基板自体は各層ごとに分割したジオメトリデータを用意します(図4.(b))。

表3 トレースマッピング機能で使用可能なECADデータ

表4 Ansys SpaceClaim DirectModelerで読み込み可能なECAD形式

図4 用意するMCADデータ
また、MCADデータの作成方法は...
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