解析事例 血液浄化療法に用いられるダブルルーメンカテーテルのANSYS CFXによる流れ解析 桐蔭横浜大学大学院 工学研究科医用工学専攻 丸下 洋一、佐藤 敏夫

血液浄化療法に用いられるダブルルーメンカテーテルのANSYS CFXによる流れ解析

CAEのあるものづくり Vol.15|公開日:2011年10月

目次
  1. はじめに
  2. ANSYS CFXによる逆接続時の再循環率の計算
  3. シュミレーションと実測の比較検証
  4. まとめ

はじめに

ダブルルーメンカテーテル(DLC)は、急性腎不全、慢性腎不全での血液透析導入期、あるいは肝不全や自己免疫疾患のアフェレーシス治療における一時的血液浄化用バスキュラーアクセスとして広く用いられています。さらに維持透析患者の高齢化や長期予後の改善に伴ってアクセストラブルが増加しており、そのためより長期にDLCを使用することが求められています。DLC留置後のトラブルとしては脱血不良、血栓形成、血管閉塞、感染、浮腫などが挙げられますが、最も問題となるのは脱血不良による血液浄化療法の中断であり、そのためにDLCの交換や留置部位の変更を余儀なくされることがあります。しかし、DLCの交換や留置部位の変更は患者への侵襲がともなうため、実際にはやむを得ずDLCの接続を逆にしたいわゆる“逆接続”で治療を継続することがあります。脱血不良の原因としては、カテーテル内血栓形成、血管壁へのカテーテルのへばりつき、静脈内血栓が挙げられ、逆接続することでDLC先端の返血孔および脱血孔が入れ替わり、それによってへばりつきは解消されますが、その一方で浄化された血液の一部がそのまま再び脱血されてしまう再循環が発生し、透析効率が大きく低下してしまいます。再循環に影響する因子として、脱血孔と返血孔の位置と距離、返血孔からの偏った流れやDLCを留置する静脈を流れる血流量と脱血流量の関係など幾つか挙げられていますが、DLCは2007年時点で14社から41製品・150種類もの製品が市販され、素材、内腔の数・構造、脱血孔・返血孔の位置、長さ、形状、コーティング剤の有無と種類といった多くのパラメータによって分類され、各メーカーごとに工夫が施されています。そのため、実験的に各因子ごとの影響を定量的に比較するのは困難です。そこで我々は、各因子が再循環に与える影響を理論的に把握し、そこで得られた結果をDLCの設計に取り入れたオールマイティカテーテルの実現を目的に研究を進めておりますが、本稿ではANSYS CFXを用いたDLCの流れ解析の一例を紹介します。

図1 市販されているDLCの一例(ニプロ社製ブラッドマックス)
図1 市販されているDLCの一例(ニプロ社製ブラッドマックス)

 

図2 DLCの断面構造及び先端形状による分類
図2 DLCの断面構造及び先端形状による分類

 

図3 DLCの血管壁へのへばりつきとサイドホールの閉塞
図3 DLCの血管壁へのへばりつきとサイドホールの閉塞

 

図4 DLCの順接続と逆接続及び再循環
図4 DLCの順接続と逆接続及び再循環

ANSYS CFXによる逆接続時の再循環率の計算

DLCは、患者の様態に応じて大腿静脈、鎖骨下静脈、内頸静脈から挿入され、先端部が下大静脈あるいは上大静脈に留置されますが、本稿では内径6mmの血管に外径3.5mmのDLCを挿入したモデルを作成しました。また、DLCは脱血孔・返血孔がともにカテーテルの側面に位置しているサイドホール型(図2参照)とし、カテーテル内には脱血側流路と返血側流路の2つの流路(それぞれ内径2mmの半月状流路)を作成しました。

血管内を流れる血液の流量は、狭窄や血栓形成などによって静脈流量が低下した状態を想定して400ml/minとし、これを流速に換算した定常流としました。DLCの脱血孔から血液を体外に導く脱血流量は…

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