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構造解析

Ansysによるはんだの信頼性評価

クリープ解析編

Ansysによるはんだの信頼性評価

CAEのあるものづくり Vol.13|公開日:2010年10月

目次

  1. はじめに
  2. 連成解析のフローチャート
  3. Ansys Icepakによる定常熱流体解析
  4. Ansys DesignModelerによる形状モデル作成
  5. Ansys Workbench Mechanicalによる荷重転送
  6. Ansys Mechanical APDLによるクリープ解析
  7. まとめ

はじめに

最近の電子機器は、性能向上と共に小型化が進んでいます。これに伴う高密度化は高発熱の原因になり、電子機器の寿命に大きな影響を及ぼしています。また、はんだの鉛フリー化などで新材料が増えたことから、疲労寿命などの信頼性評価に過去のデータを利用することは難しく、都度試験を行なって評価をしているケースが多いようです。

疲労寿命の試験法としては熱負荷(熱衝撃試験、熱サイクル試験など)による強度信頼性評価試験があります。また実機でも、使用環境における疲労寿命の予測が行なわれています。
こうした試験の一部をシミュレーションで代用できれば、時間とコストを大幅に削減できます。しかし、今までの解析事例は電子機器全体の温度を一様にし、高温側と低温側に振りながら実施したものばかりでした。

そこで当社は、電子機器全体に発生している伝熱状態を電子機器専用熱流体解析ツールAnsys Icepakで解析し、そこで求められた温度分布をAnsysの構造解析ツールに温度サイクル荷重として載荷し、クリープ解析まで行なう方法を考案しました。
以下、この解析手法によるクリープ解析の手順をご紹介します。

連成解析のフローチャート

この解析事例では、Ansys DesignModeler、Ansys Icepak、Ansys Workbench Mechanical(以降AWMと称します)およびAnsys Mechanical APDL(以降MAPDLと称します)を利用しました。図1にこれらを利用した解析フローを示します。

Icepak-Mechanical連成解析のフローチャート図1 Icepak-Mechanical連成解析のフローチャート

今回対象になっているBGAの詳細モデルはAnsys DesignModelerや3D CADなどで作成し、Ansys Icepakに取り込みました。また、BGA以外のモデルについてはAnsys Icepakにあらかじめ収録されているオブジェクトを利用して、簡単にモデルを作成しています。

解析モデル作成後はAnsys Icepakにてメッシングを行い、熱流体解析を行います。クリープ解析も同様に、形状はAnsysDesignModelerや3D CADなどで作成しました。
作成した形状をAWMに取り込んでメッシングを行なった後、Ansys Icepakによる解析で求めた温度分布をインポートします。
その後MAPDLへ転送し、温度サイクル荷重やクリープ解析用の材料特性を設定してからクリープ解析を実施します。

前述のフローチャートをWorkbenchのプロジェクト概念図で表すと以下のようになります。

Workbenchのプロジェクト概念図図2 Workbenchのプロジェクト概念図

Ansys Icepakによる定常熱流体解析

次に、Ansys Icepakにおける定常熱流体解析について説明します。解析モデルおよび境界条件を図3に示します。

熱流体解析モデルおよび境界条件図3 熱流体解析モデルおよび境界条件

メッシングはAnsys Icepakの不連続メッシュおよびマルチレベルメッシュ機能を用いて行います。以下に解析メッシュを示します。

解析メッシュ図4 解析メッシュ

メッシュ数は 節点数:560,382 セル数: 544,435です。図5、図6および図7に解析結果を示します。はんだ部分の温度が90℃以上になっていることがわかります。このようにして熱流体解析結果で得られた温度分布をAWMでインポートします。

流線解析メッシュ図5 流線

Ansys Icepakで求めた基板とICの温度分布図6 Ansys Icepakで求めた基板とICの温度分布

BGAはんだの温度分布図7 BGAはんだの温度分布

Ansys DesignModelerによる形状モデル作成

Ansys Icepakで使用したモデルをそのままAWMへ転送し、解析することも可能ですが、モデルの一部を切り出して解析することも可能です。今回はBGAの一部をクリープ解析の対象とするため、あえてAnsys DesignModelerで作成し直しています。その際の注意点は…

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