CAEを学ぶ
剛体-弾性体接触解析
はじめに
剛体とは外力を受けても一切の変形を生じない理想的な物体の事を指します。現実の世界には当然このような物体は存在しませんが、剛体は単一の質点として表現できるため数学的な取り扱いが容易であり、物体の運動を近似的に記述する際にしばしば利用されます。
CAEの世界においても、剛体は機構解析の分野で古くから一般的に用いられてきましたが、近年では大規模アセンブリモデルに対する計算コスト削減などの効果が注目され、FEMでも積極的に取り上げられるようになってきました。
FEMにおける剛体の取り扱い
FEMにおいて、剛体はアセンブリを構成する一部のボディに対して適用する事ができます。剛体化されたボディの内部ではメッシュが作成されないため、その分だけ計算コストが削減されます。一方、剛体ボディについては変形や応力といった結果を評価する事ができないため、重要なパーツについては従来の弾性体として取り扱う必要があります。
例えば、次のようなケースでは剛体を利用する事で計算を大幅に効率化させる事が可能です。
(1) 大きく剛性が異なるパーツ同士の接触解析
図1は、圧延加工による金属成形の様子をシミュレーションした事例です。剛性が高いロール側のボディを剛体とする事で、弾性体同士の接触解析と比較して計算コストが1/4に低減されております。また、この事例に見られるような剛性が大きく異なるパーツ同士の接触解析では、剛性が高い方のボディを剛体とする事で、より良い収束性を得られるといったメリットもあります。

図1 剛体ボディを利用した圧延加工解析
(2) 大規模アセンブリモデルの解析
大規模なアセンブリモデルにおいては、変形や応力などを評価する一部の重要パーツを除いて、他の全てのボディを剛体化してしまう事で、計算コストを大幅に削減する事が可能です。図2は、オーバーヘッドバルブエンジンの動きをシミュレーションした動的解析の事例です。カムの回転によりプッシュロッドを押出す際の、カムに生じる応力を評価しています。カム以外のパーツを全て剛体とする事で計算時間の大幅な短縮を実現しております。

図2 オーバーヘッドバルブエンジンの動的解析
続きは、CAEのあるものづくり 14号に掲載してます。
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