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解析事例

電磁界解析

設計初期段階からモータと駆動回路を考慮したシステム解析事例

こんな方におすすめ

  • モータ設計の初期段階からモータと駆動回路を同時に検討したい
  • 駆動回路を含めた磁気・熱設計をしたい

車載用モータは高効率かつ小型なモータであるだけでなく、低騒音・低コストといった新たな視点が求められています。そのため車載用モータの要求内容はより厳しくなり、検討内容が多岐にわたることからモータに加えて駆動回路まで考慮したモータ設計が必要となります。
本事例ではモータの上流設計に用いられるAnsys Motor-CADとAnsys Twin Builderを用いた連成解析事例として、AC-DCコンバータの回路とモータの損失を考慮した熱特性評価についてご紹介します。

解析の目的・背景

近年、車載モータは駆動回路や制御システムなど様々な要素で構成されているため、モータ単体の電磁特性や振動特性だけでなくモータ駆動のシステムまで含めて検討する必要があります。
本解析ではAnsys Motor-CADで作成したFMU(Function Mockup Unit)モデルとAC-DCコンバータの回路を用いてシステム解析を行いました。
Ansys Motor-CADは電磁界・熱・駆動サイクル・構造解析を行うことができるモータ設計専用の解析ソフトであり、得られた磁気特性や熱特性をFMUモデルとして連成解析が可能です。
Ansys Twin BuilderはSPICEモデルやVHDL-AMS、FMI(Function Mockup Interface)などにも対応しているシステムレベルシミュレーションソフトです。
これら2つのソフトウェアを連成させることで、駆動回路を含めたモータの磁気・熱解析を実施しました。

解析手法

連成解析を行うため、モータに入力する電流・電圧範囲で応答するモータのモデルを Ansys Motor-CADであらかじめ解析しておきます。
本事例ではAnsys Motor-CADでモデルを作成し、最大回転速度10000rpm、最大ピーク電流480Aにおける電磁性能と鉄損・銅損失・磁石損失を算出しました。この結果を用いてAnsys Twin Builder上でFMUモデルとAC-DCコンバータの回路の接続などを行い、システム解析を実施しました。

解析モデルと解析条件

解析モデル


(図1)解析モデルの形状

図1に解析モデルを示します。2Dのフルモデル形状であり、Ansys Motor-CADではモータ構成要素が図1のように自動で色分けされます。2Dの8極48スロットの三相永久磁石同期モータ(埋込磁石型)にウォータージャケットが装着されたモデルを作成しました。


(図2)システム解析

図2にシステム解析を示します。Ansys Motor-CADで解析した磁気FMUモデルと熱FMUモデルを用いて損失を考慮した熱解析を実施しました。また、モータの駆動回路として全波整流回路を用いたAC-DCコンバータ回路を使用しました。

解析条件

磁気FMUモデルへの印加条件設定

入力電圧、トルク、回転速度に対して下記のように設定を行いました。
入力電圧:AC-DCコンバータ回路から出力されるDC電圧
トルク・回転速度:図3、4のように時間依存のトルクと回転速度を設定しました。


(図3)トルク

(図4)回転速度

熱FMUモデルへの印加条件設定

ウォータージャケットの流量及び流体温度と大気温度の設定を下記のように設定しました。
流量:6.5e-6 [l/min]
流体温度:65[℃]
大気温度:50[℃]



解析結果: 熱解析結果と全波整流回路


(図5)解析結果:全波整流回路の出力電圧

図5に全波整流回路の出力結果を示します。上記グラフからAC-DCコンバータ回路によって変換されたDC電圧が375.1111Vであることを確認しました。また、立ち上がり時間は約5msであることを確認しました。


(図6)解析結果:過渡解析結果(Ansys Twin Builder)

図6に熱過渡解析の結果を示します。巻線温度やハウジング温度、シャフト温度などモータの構成要素に対して温度表示しており、大気温度を50℃に設定しているため、最小温度が50℃となっています。モータの構成要素の中で巻線温度が最も高く、128℃になっていることがわかりました。このようにAnsys Motor-CADとTwin Builderを用いて、AC-DCコンバータの回路とモータの損失を考慮したシステム解析を行うことが可能です。
本解析手法ではAC-DCコンバータ回路モータの損失を考慮した熱特性評価についてご紹介しました。

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