解析事例
ホールセンサの磁気解析事
こんな方におすすめ
- ホールセンサの配置場所を検討したい
- ホールセンサ周辺に発生する磁束密度を解析したい
- ホイールやモータなど回転移動を考慮したホールセンサを同時に解析したい
近年、自動運転化やIoTなどセンサを活用した技術が増加しています。その中で磁気を利用した磁気センサは機器の開閉を非接触で検知する近接センサや回転角を検知するホールセンサなど様々なセンサが挙げられます。磁気センサは磁界の大きさによって検出を行うため、使用環境やセンシングの対象に応じて配置や磁気センサの種類を検討する必要があります。 ここでは、ホールセンサを例として回転するホイールに対して配置したホールセンサの磁束密度分布を求めています。
解析の目的・背景
ホールセンサはホール効果を利用した非接触型の磁気センサです。ホール効果は物質に流れる電流に対して垂直方向に磁場が印加されると電流と磁場の両方に直行する方向に起電力が現れる現象です。ホールセンサの配置によって印加される磁場が異なり、起電力が変化するため、ホールセンサにかかる磁束密度を求めることが重要となります。
解析手法
本事例では3DのホイールとホールセンサICを想定し、ホイールの円周方向にホールセンサICを配置しています。ホールセンサICは磁石、磁極、ホールセンサの3つのオブジェクトで構成しており、Cell TopとCell Bottomを磁束密度の検出位置としました。ホイールの回転は10[rpm]とし、解析時間を1[s]あたりにホイールが60度まで回転する設定として解析を実行しました。
解析モデルと解析条件
解析モデルとメッシュ
(図1)解析モデルの形状
図1に解析モデルを示します。解析モデルは3Dの厚み方向に対して1/2形状であり、緑色のモデルがホイール、もう一方がホールセンサICのモデルになります。
解析条件
解析条件は1[s]とし、時間ステップは0.01[s]とし、場の保存も同様に0.01[s]で保存する設定としています。ホイールの回転は回転運動10[rpm]としたため、ホイールが60度まで回転する設定となります。
解析結果:磁場分布
(a) 0[s] (b) 0.5[s] (c)1[s]
(図2)解析結果:磁場分布
図2に磁場分布の結果を示します。ホールセンサにかかる磁束密度を確認することができます。場の保存を0.01[s]で保存しているため、より細かく変化を確認することも可能です。
(図3)解析結果:Cell TopとCell Bottomの平均磁束密度
図3にホールセンサのCell TopとCell Bottomに生じる平均磁束密度を計算し、時間当たりの変化をグラフ化しています。赤い線がCell Top 、紫の線がCell Bottomを示しています。上図からCell TopとCell Bottomはある一定の時間で磁束密度が大きく低下し、上昇する傾向が確認できます。それぞれ比較すると、Cell Bottomのほうが磁束密度はより小さくなっており、上昇傾向を示す時間もCell Topより早いことがわかります。上昇傾向を示す時間が異なる理由は回転しているホイールのエッジ付近をCell TopとCell Bottomが通過するときその傾向が見られます。
(図4)解析結果:Cell TopとCell Bottomの平均磁束密度の差
図4はホールセンサのCell TopとCell Bottomに生じる平均磁束密度の差を示しています。このように算出したホールセンサ内に生じる磁束密度の差をグラフ化することでホールセンサの配置を検討することが可能です。 本解析手法では回転するホイールに対して配置したホールセンサの磁束密度分布を求めた事例についてご紹介しました。
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