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解析事例

構造解析

フィルムのしわ解析

こんな方におすすめ

  • フィルムのような薄膜の膜面構造物を引っ張ったときに 「しわ」が生じる様子をシミュレーションしたい。
  • 初期不整を含めた非線形座屈解析の方法を実施してみたい

解析概要

フィルムのような薄膜構造物が面外座屈して「しわ」が発生する様子を解析した事例です。線形座屈解析により算出した座屈モードを初期不整として利用し、非線形座屈解析でしわを生じさせています。

詳細

膜材に「しわ(リンクル)」が生じる主なメカニズムは、引張載荷方向と垂直な方向にポアソン効果で圧縮力が生じ、面外座屈するというものです。
座屈変形時には変位が急激に増加し不安定な状態となるため、収束させるためには、メッシュ形状、初期不整の与え方、減衰の度合いなど、様々なチューニングが必要になります。弊社の知見も踏まえて、解析のポイントや注意点をご紹介します。

1.解析の流れ

二段階で計算します。最初に「線形座屈解析」で座屈モード形状を求めます。得られた座屈モード形状に微小なファクターをかけて初期形状不整として後続の大変形解析に与えています。

2.解析モデル

幅300mm×奥行き100、厚さ0.01mmの薄い平面のフィルムを、1/4対称形状でモデル化しています。シェル要素を使用しています。

3.メッシュ

「しわ」を表現するため十分に細かいメッシュを必要とします。本事例では収束性向上のため三角形メッシュを利用しています。


メッシュ図

4.線形座屈解析(固有値座屈解析)

線形座屈解析とは、理想化された弾性構造物の理論座屈荷重を予測する解析です。線形座屈解析の計算は固有値問題に帰着することから、固有値座屈解析とも呼ばれます。

4.1.初期不整の考え方

有限要素法(FEM)では、一般に構造物は構造初期不整などが無い場合は座屈を起こさずにそのまま変形してしまいます。つまり、上記のような初期不整の無いモデルに対して単純に引張荷重を加えただけでは座屈しません。そこで、何らかの初期不整を与えることを検討します。

初期不整の与え方には様々な方法があり、問題の内容に応じて選択します。たとえば長柱の座屈解析では荷重の向きを所定の方向から少しずらして不整とする方法がよく選択されます。本事例では、線形座屈解析で座屈モードを算出し、初期不整として利用しています。

4.2.線形座屈解析の前準備

線形座屈解析は、静的構造解析の結果を利用して解析します。
静的構造解析で得られた応力分布を以下に示します。


静的構造解析の境界条件

静的構造解析結果:相当応力
コンタ図(1/1モデルに拡張表示)

4.3.解析設定

引張により「しわ」が発生する座屈モードを出すために、解析設定で「負の荷重係数を含める」を無効化する必要があります。
有効のままだと引張荷重を反転して圧縮荷重として評価し、その方向の座屈モードを求めてしまうためです。


線形座屈解析の設定

4.4.線形座屈解析結果

線形座屈解析で得られた座屈モードを示します。 座屈荷重係数の結果も得られますが、座屈荷重を求めることが目的ではないため、ここでは参考程度とします。

5.非線形座屈解析

線形座屈解析で得られた座屈モードを初期不整として利用し、非線形座屈解析を行います。非線形座屈解析は特別な計算が行われているわけではなく、通常の大変形解析と同じです。ただし座屈時に不安定な状態となるため、様々なチューニングが必要となります。

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