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広がる!流体-構造連成解析の可能性

〜より現実的な課題解決に向けて〜

はじめに

昨今、流体とそれ以外の物理場が互いに影響し合う現象が注目されています。
関連する物理場には構造分野、電磁場分野、音響分野が挙げられ、構造分野なら飛行中の航空機の翼変形や血管内の弁の挙動、電磁場分野ならモーターの発熱と冷却、そして音響分野なら流体運動に起因した音の発生など、特定物理場や業界に限らず多岐に渡ります。
その中で、構造分野と影響し合う現象はFluid Structure Interaction(FSI)と呼ばれ、上述の例以外にも、MEMSのような微小なものから風力発電の風車といった巨大な構造物まで対象としており、業界のみならず対象のスケールも大小様々です。本稿ではこのFSI現象の解析事例をご紹介いたします。

FSIの重要性と実験の難しさ

FSI現象の例が無数にあるように、実世界で起きている現象のほとんどは、複数の物理現象の相互作用により発生・進行しています。
そのため、現象をより正確に把握するには、複数場の影響を考慮することが欠かせません。
FSI現象においては、流体の流れ場と構造物の変形が密接に関わってくる場合に、特に重要となります。
FSI現象は分解すると、下記の現象を繰り返しています。

  • A. 流体から受けた圧力により構造物が変形する
  • B. 変形により流体の流れ場に変化が発生し、受ける圧力が変化する
  • C. 圧力が変わり、“A”とは異なる変形になる
  • D. “B”とは異なる変形のため、圧力が変わる

これらの現象を実験で把握するのは難しく、例えば以下のような課題があります。

I. 外部環境の再現が難しい

流体場単独なら、無次元数を合わせた相似模型実験で検証を行うのが一般的です。しかし構造体が加わることで、考慮すべき無次元数が増加するだけでなく、構造の挙動も考慮する必要が生じるため、実験の再現性確保が難しくなります。

II. 閉空間物体へのセンサー取り付け

閉空間にセンサーを取り付けることで内部の流れ場が変化し、得られる結果の信頼性が低下する恐れがあります。

Iの例では、風力発電のブレードが挙げられます。外部環境に該当するのは風になり、レイノルズ数を合わせこんで実験を行い、ブレード周囲の流れ場を把握することは可能かと考えられます。しかし、ブレードの変形挙動を正しく理解することは困難です。
もし実物大の実験設備で対応すると、その実験設備の設営の手間やコストは無視できなくなります。

IIの例ではMEMSなどが挙げられます。パッケージングにより閉空間の状態になっていることも多く、さらに微小物体のため測定センサーの取り付けが難しくなります。
また、取り付けたとしてもセンサーを設置したことが流れ場に影響を与えてしまい、MEMSの応答に変化が生じる可能性もあります。
このように、FSI現象は複雑であり、実験で正確にとらえるのは非常に困難です。

AnsysによるFSI

実験の負担を低減するために、シミュレーションを行うことも一つの方法です。
マルチフィジックスツールのAnsysでは構造解析ツールのMechanicalと流体解析ツールのFluentもしくはCFXを連成させることで、FSI現象のシミュレーションが可能です。Mechanicalで解析した…

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