解析事例
ファイバーを配向した複合材料樹脂の均質化解析
クリープ特性を有した樹脂に、弾性体であるファイバーが±30°に配向した複合材料について、クリープ均質化解析を行った解析事例をご紹介します。
解析モデル
- 図1に示したミクロモデルに対して、荷重を一定に保持した数値材料試験を実施して、単軸3方向、純せん断3方向のクリープ材料特性を取得します。
- これらの材料試験データを元に、最適化を用いた異方性クリープの材料物性値の同定を行います。
解析結果
材料試験結果
図2に数値材料試験で得られた6方向のクリープ材料特性を示します。全方向で特性が異なる"異方性"を有している様子が確認できます。
また、図2のd)xy方向純せん断試験の解析結果をみると、面内方向に配向したファイバーが主に荷重を受け持つため、他の方向と比較してほとんどクリープ特性を示しません。
Multiscale.Simでは、このような非均質な材料の複雑な挙動を、高コストな実試験に頼ることなく、仮想的な環境下で簡便に得られることができます。
同定結果
上記で算出した数値材料試験の挙動を元に異方性クリープの材料特性を同定した結果を示します。
図3は、最適化アルゴリズムで最小化している誤差関数の収束履歴を示したグラフです。ここでは、材料試験結果と材料構成則の応答の差を誤差関数として定義しています。Multiscale.Simでは、粒子群最適化(PSO:Particle Swarm Optimization)を採用しており、フィッティングパラメータ等を指定する必要がないため、特別なスキルの有することなく、このような良好な収束傾向を得ることができます。
図4は、材料物性値(Hill定数)の収束履歴を示しています。
最適化イタレーションの増加に伴って、材料物性値の候補がある一定値に収束している様子が確認できます。
図5は、同定結果と材料試験データを比較したものを示しています。
両者を比較することでフィッティング結果の妥当性を確認することができます。
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