
ソフトウェアライセンス管理はIT資産管理の中で重要なテーマです。IT資産管理ツールの導入理由としてソフトウェアライセンス管理を挙げる企業も多いですが、ツールを導入しただけでは、ソフトウェアの管理はできない点に難しさがあります。
そこで本章では、ソフトウェアライセンス管理の重要性とライセンス管理を行う際に理解しておかなければならないポイントを説明いたします。
ソフトウェアライセンス管理の重要性
社会的・金銭的リスクへの対応
ソフトウェアライセンス管理の重要性の第一に、ライセンス違反による社会的・金銭的リスクへの対応が挙げられます。
ソフトウェアは著作権で保護されており、ライセンスの違反を行うことは著作権法違反の犯罪行為となります。また、多くのソフトウェアの使用許諾の中には監査権という項目が含まれています。監査権とはソフトウェアを開発したメーカーが、そのソフトウェアを利用している企業に対して正しいライセンス使用となっているかを調査する権利です。ソフトウェアを利用している状態は使用許諾に同意していることになるので、メーカーから監査の要求があった場合は、断ることはできません。
監査によってライセンス違反が発覚した場合、通常のライセンス費用に加え、違約金を支払わなくてはならない事態が生じます。最近では1億5000万円を超える違約金の支払い事例も出ています。また、著作権侵害の疑いによって裁判所が証拠保全の命令を出した場合、PC利用ができず業務を止めてしまうケースもあります。
このように、適切なライセンス利用を行っていることが担保されていない状況を放置することは、社会的・金銭的リスクが極めて高い状況となるのです。
コスト管理とソフトウェアライセンス管理
ソフトウェアライセンス管理の生み出すメリットして、ライセンスコストの削減が挙げられます。
ソフトウェアライセンス管理が正確にできていれば、余剰ライセンスの発見なども可能になります。会社全体や部署ごとのライセンス保有状況を把握することで、例えば、A部署で余っているライセンスをB部署でリクエストがあったPCや人に割り当てるなどの最適化を実施し、ライセンスの購入を抑えることができます。
またライセンスの使用状況を棚卸することは、自社のライセンス契約状況を見直し、より最適なライセンス購入計画を立案する上での重要な情報となります。ライセンス管理を行うことは単にリスクを削減するだけでなく、コスト削減といった利益を生み出す可能性もあるのです。
ソフトウェアライセンス管理のポイント
上述したように、ソフトウェアライセンス管理は企業のリスク管理、コスト管理にとって重要となりますが、実際に管理を行っていく上では理解しておくべきポイントがあります。
ソフトウェアライセンス契約の知識が必要
まずソフトウェアライセンスの適切な管理を行うためには、ライセンス契約に関しての知識が必要となります。
ライセンス契約には同じソフトウェアでもボリュームライセンスやパッケージライセンスなど様々な種類があり、契約形態によりセカンドライセンスやダウングレード権の有無などの使用許諾の条件が異なるケースがあります。ライセンス管理を正しく行うためには単にPCにインストールされている数だけでは不十分で、自社で保有しているライセンスの使用許諾に則った使用がなされているかを把握し、ソフトウェアが正しく使われていることを示せる状態を維持する必要があります。
また、近年ではクラウドサービスの利用拡大にともない、PC単位からユーザー単位のライセンスに変更となるケースや、買い切りから年間利用のサブスクリプション形式になるなど契約形態も変わってきていることも理解しておくことが重要です。
ライセンス種別の例(Microsoft Officeの新しい提供体系)
「管理対象」と「管理レベル」の設定
ソフトウェアライセンス管理を実施する際には「管理対象」と「管理レベル」を設定する必要があります。
管理対象とはライセンス管理の対象となる組織(部署、子会社など)や資産(ソフトウェア、PCなど)のことです。また、管理レベルは管理対象の組織や資産に対して、棚卸の頻度や管理の粒度などをレベル付けすることです。
ソフトウェアライセンス管理のゴールは社内で保有する全てのソフトウェア資産を正しく管理することですが、最初は全ての組織と資産を対象とせず、監査の有無や価格などリスクとコストを考慮して管理レベルとスコープを絞った管理から始めるのが現実的なアプローチとなります。
IT資産管理ツールで「できること」と「できないこと」を理解する
多くのIT資産管理ツールにはソフトウェアライセンス管理の機能が実装されていますが、単にツールを導入しただけではライセンス管理はできません。上述したように、ライセンス管理にはライセンスの知識が必須となりますが、ツールだけでは知識を担保できないことを理解する必要があります。
ほとんどのIT資産管理ツールが提供しているのは「ソフトウェアの名寄せ辞書」と「情報を記入する台帳」のみとなっており、実際は管理者がライセンスの知識を持った上で「管理者自身」で台帳を作成しなければならないのです。一例としては、セカンドライセンスやダウングレード権を使用している場合、ツールでは判断できないので管理者自身でどのPCでそれらの権利を利用しているかを判断する必要があるというケースが挙げられます。
しかし、「ツールを導入することはライセンス管理を行う上で意味がない」という訳ではありません。数百台、数千台のPCからソフトウェアのインストール情報を一台一台手動で集めるのは現実的ではありません。インストール情報はライセンス管理を行う上で最重要の情報となります。常に最新の情報を収集することはツールを導入しなければ不可能です。ツールで「できること」と「できないこと」を理解することがソフトウェアライセンス管理においては非常に重要になります。
最近はツールが提供できない知識の部分をライセンスに熟知したエンジニアがアウトソーシングで補完するサービスも出てきています。自社でライセンス管理の体制を整えることが難しいケースでは、このようなサービスの活用も有効な手段となります。
プロフェッショナルからのコメント

ソフトウェアライセンスの管理はツール導入だけでは実現できず、管理者自身がライセンスの知識をもって自社の利用状況を適切に管理する必要があります。また、最初から全ての組織と資産を対象とせず管理レベルとスコープを絞った管理から始めるのが現実的なアプローチとなります。


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