製品
Ansys 2022 R1リリース情報
ANSYS 2022 R1のハイライト
構造解析
シートメタルフォーミング ※1の設計・検証を支援する新製品「Ansys Forming」を追加
Ansys 2022 R1 に追加された新製品「Ansys
Forming」は、プレス成型開発に活用できるオールインワン型の成形シミュレーションソフトウェアです。
LS-DYNAソルバーのスピードと予測精度を活用し、シートメタルフォーミングプロセスの各工程を高速かつ効率的に設計・検証することができます。
SherlockとAEDT Icepakとのスムーズなデータ連携でPCBの詳細な熱性能評価を実現
Sherlock から高精度のPCB ※2モデルをAnsys AEDT Icepakにエクスポートして熱解析シミュレーションを行うことにより、さらに詳細なプリント基板(PCB)の熱性能評価を実施できるようになりました。
流体解析
航空宇宙専用ワークスペースをAnsys Fluentに搭載
Ansys 2022 R1 では、流体解析ソフトウェア Ansys Fluent® に航空宇宙専用のワークスペースが追加されました。このワークスペースでは、ユーザーインターフェイスを外部空力シミュレーションに応じてカスタマイズすることで、航空機設計者はサブソニック※3から超音速流領域までの航空機の性能を適切に評価することができます。また、ワークスペースでシミュレーション可能な大気条件、最適化されたソルバー設定、関連入出力パラメータなどを使用してワークフローを合理化することも可能です。
電磁界解析
3D IC パッケージの課題のブレークスルーを導く Phi Plusメッシングテクノロジーを導入
Ansys 2021 R2に導入されたPhi Plusメッシングテクノロジーは、3D ICパッケージ※4の課題、特にワイヤーボンドを使用した課題に対して、スピードと生産性における大きなブレークスルーをもたらしました。Ansys 2022 R1では、Phi Plusテクノロジーが強力なHFSS™ Mesh Fusionテクノロジーに完全統合されているため、3次元電磁界ソフトウェアHFSSユーザーはさらに複雑で大規模な電磁界システム※5設計の課題解決が可能となります。また、解析速度の飛躍的な高速化および高いロバスト性を実現します。
3D設計
Discoveryでの熱管理システムの検証が格段に容易かつ効率的に
Ansys 2022 R1では、流体−固体連成※6マルチフィジックスシミュレーションが追加され、「熱管理」という重要な領域において、3D設計シミュレーションツールAnsys
Discovery™の活用範囲が更に広まりました。
Ansys
2022R1では、高速で耐障害性に優れたアプローチにより、熱交換器、液体冷却装置、排気システムのシミュレーションが格段に容易になり、最大50倍もの速さで設計検証を行うことができるようになりました。これにより、さらに多くの設計パターンを検証することが可能となります。
高忠実度の設計検証環境が、使いやすい単一のインターフェイスにまとめられているため、設計者は設計検証を効率的に実施することができます。
光学設計
SpeosがGPU光線追跡の採用により劇的に高速化。LumericalはAnsys Cloudでも利用可能に
3次元光学解析ソフトウェアAnsys Speos®は、GPU光線追跡を採用し、予測精度を維持したまま解析時間を飛躍的に短縮できるようになりました。ベンチマークでは平均140倍から260倍の高速化が可能になり、開発期間の短縮化を実現しています。また、光学系内のサブストラクチャについて事前に計算された中間ファイルの保存と共有を可能にする新しいAnsysのファイル形式「LightField」が追加されました。この形式を活用することにより、シミュレーション時間の短縮を図れると共に、サプライヤとユーザー間など第三者同士でのブラックボックス共有が可能になり、IPを保護した状態で性能向上を実現することができます。
加えて、Ansys SpeosにはC++またはPython※7で記述されたカスタムの光学表面モデル(Ansys Lumerical
FDTDなどのサードパーティの材料記述を含む)を可能にする表面特性プラグイン機能も追加されました。パラメータマネージャ、プリセットマネージャ、CATIAプロジェクトのインポートの高速化など、生産性を向上させる機能が多数追加され、ユーザーエクスペリエンスの強化に貢献します。
また、フォトニック解析ソフトウェアAnsys LumericalはAnsys Cloudでも利用可能となり、ツール上から直接Ansys
Cloudに大規模シミュレーションやパラメータスイープを送信できるようになりました。相互運用性の向上により、計算の規模に応じた柔軟なシミュレーションが可能となります。
プラットフォーム
新たな製品コレクション「Ansys Connect」の追加
Ansys 2022 R1 では新たな製品コレクション「Ansys Connect」が追加されました。これには、Ansys Minerva®、Ansys optiSLang™、Ansys
Granta™、Ansys ModelCenter との接続が含まれます。Ansys
Connectは、さまざまなシミュレーションツールとそれに対応するリソースを、CAD設計、要件データベース、システムアーキテクチャモデルといった、製品ライフサイクルのエコシステムと相互接続することで、デジタルスレッド※8接続を作成することが可能です。
また、Ansys 2022 R1の新機能であるAnsys ModelCenterは、システム・アーキテクチャ・モデル(SAM)とプロジェクト要件との間の接続を改善し、より正確なシミュレーション・モデルを構築することができます。
多くのアプリケーションがAnsys Cloudに対応
Ansys Cloudでは管理者機能が強化されており、ユーザグループの作成と管理、社内プロジェクトへの予算配分、クラウド使用状況の監視などが可能です。
また、多くのアプリケーションがAnsys
Cloudに対応し,最新のGPUの能力を活用できるようになりました。例えば、Fluentで利用できる新しいマルチGPUソルバーは、定常状態の数値流体力学(CFD)シミュレーションを加速し、4つのハイエンドGPUが1000以上のCPUと同等の性能を発揮します。これにより、ハードウェアコストを最大7倍、電力消費を最大4倍削減するという結果を出しています。
注釈
※1:シートメタルフォーミング:自動車の外板や内板等に使われている鋼板をシートメタルと呼び、その成形プロセスを指す。
※2:PCB:Printed Circuit Board の略でプリント基板のこと。細かい電子部品がはんだ付けされて、電子回路として動作するもの。プリント回路板(PCB = printed circuit board)と呼ばれる。電気製品の主要な部品の1つとなっている。
※3:サブソニック:亜音速とも呼ぶ。音速より小さい速さ (マッハ数0.75以下)で、飛行機の周りの気流がどの部分においても音速に達していない速度領域。
※4:ICパッケージ:半導体パッケージのこと。半導体素子や集積回路(IC)を包み込んで周囲から防護し、外部と電力や電気信号の入出力を行うためのパッケージ。
※5:電磁界システム:電気・磁気が共に作用するシステムを指す。
※6:流体−固体連成:流体と固体という異なる物質の相互作用を考慮した連成解析のこと。
※7:C++/Python:汎用プログラミング言語の種類。アプリケーション開発や統計処理など、さまざまな分野で活用されている。
※8:デジタルスレッド:「デジタルの糸」を意味し、さまざまなデジタルデータが追跡可能な形で糸のようにつながっている状態。