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構造解析

配管フランジ継手の熱応力解析

ボルトプリテンション、ガスケット、熱ひずみを考慮した解析


公開日2020年12月
プラントの配管設計においては、配管内を流れる流体の状態(物性、温度、圧力など)に応じて適切な配管部品を選定することが重要です。CAEソフトウェアを利用して、コンピュータ内にフランジを含めた継手部の状況を再現すれば、任意の条件の応力分布やガスケット圧力分布を確認することができます。このように手計算や物理的に測定の困難な情報を把握することは、破損や漏出などのトラブルが生じた際の原因究明にも役立ちます。本稿では、Ansysでフランジやガスケットを含めた継手部の強度評価を行った事例を紹介します。

目次

  • はじめに
  • 解析の目的・背景
  • 解析設定
    • メッシュ
    • 荷重条件
    • ガスケットのモデル化
  • 解析結果
    • 最大主応力分布
    • ガスケット圧力分布
  • 参考
  • 解析によって得られた効果
  • 解使用ソフトウェア

配管フランジ継手の熱応力解析

WN型フランジを溶接した継手部のモデルを用いて、ボルト締結力、内圧、温度分布を印加した場合の、相当応力分布およびガスケット圧力分布を求めます。Ansys Workbench MechanicalおよびAnsys SCDMを使用して、2ステップの解析を行います。1ステップ目にボルトプリテンションの機能を使用して、ボルトに締結力を印加します。その後、2ステップ目に温度荷重と圧力荷重を印加します。温度荷重に関しては、配管内を流れる液体の影響で温度分布が生じている状態を模擬しています。Ansysでは、実機で測定した温度と座標の情報から温度分布を与えることができる他、伝熱解析や熱流体解析で計算した温度分布を与えて計算することも可能です。また、ガスケットの挙動を精度よく解析するために、Ansysではガスケットのモデル化に適したインタフェース要素を使用することができます。


最大主応力分布

最大主応力分布の解析結果からは、温度分布の影響により高温側(+X側)と低温側(-X側)に熱膨張の差が生じるため、高温側は圧縮応力場、低温側は引張応力場となることがわかります。金属の破損は引張が支配的であり、今回の条件では引張応力場となっている低温側に破損が生じる可能性があります。

ガスケット圧力分布

ガスケット圧力分布の解析結果では、低温側(-X側)の圧力が低くなっていることが示されました。これは低温側が引張応力場となっていることで、ガスケットを締め付ける力が低下したためです。圧力が規定圧力以下になる場合、流体が漏出する危険性があります。

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