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構造解析

アーク溶接の溶接変形解析

伝熱-構造連成場要素・バースデス機能を使用した熱応力解析


公開日:2020年06月
溶接によって生じる問題の1つに溶接変形があります。溶接変形とは溶接個所に生じる溶接ひずみが原因となって構造物全体が変形する現象です。溶接変形が生じると初期不整による座屈強度の低下や、要求された寸法基準から外れたり、別のパーツとの組み合わせで問題が起こります。この溶接変形を事前にCAEで予測することで、溶接する方向や順番の変更、溶接変形を見込んだ初期状態の把握でき、対策を打つことが可能となります。本稿では、溶接変形をAnsysで予測する事例をご紹介します。

目次

  • はじめに
  • 解析の目的
  • 解析手法
  • 解析モデルと解析条件
  • 解析結果
    • 溶接工程の温度分布
    • 溶接工程および冷却工程の変形結果
    • 本手法と簡易手法の変形結果の比較
  • 使用ソフトウェア

溶接工程と冷却工程の解析

Ansys Workbench Mechanicalを使用して溶接工程と冷却工程の2工程の解析を行います。溶接工程ではパスに沿って熱荷重を移動させる過渡解析を行うことで実際に近い温度分布および熱変形を得ることができます。またバースデス機能(要素を有効化/無効化にする機能)でビード部の要素を徐々に有効化して、溶加材が追加される様子を表現します。これにより、時々刻々と変化する溶接過程(剛性や熱伝導)を考慮した解析が再現できます。冷却時は、空冷で常温まで冷却したときの変形を計算します。

温度分布および変形結果

Ansysで得られる解析結果の例として、溶接工程の温度分布、溶接工程および冷却工程の変形結果、本手法と簡易手法の変形結果の比較の3つを示します。

連成場要素とバースデス機能を用いた本手法と一定の熱ひずみで熱収縮させる簡易手法の結果を比較

連成場要素とバースデス機能を用いた本手法と、ビードを一定の熱ひずみで熱収縮させる簡易手法の結果を比較します。それぞれ常温まで冷却した時の変形結果を図に示します。Y方向の変位分布に着目してみると、本手法では非対称なのに対し、簡易的な手法では対称となっています。簡易的な手法では、ビードを一定の熱ひずみで収縮させているだけであり、溶接方向など溶接工程の変形を考慮できていないためです。また、どちらの場合でも母材の反り方の傾向は同様ですが、簡易手法の変形量は本手法の1/2倍程度です。

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