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粉体シミュレーションの第一歩

物性について

粉体シミュレーションの第一歩

CAEのあるものづくり |公開日:2019年9月

目次

  1. はじめに
  2. DEMとは
  3. 粉体挙動シミュレーションソフトウェア『EDEM』
  4. 『EDEM』の計算手順
  5. EDEMで設定する物性
  6. おわりに

はじめに

ものづくりにおいて“粉”もしくは粉の集合体である“粉体”を扱う業界は幅広くあり、その内容も粉を作る業界や、作られた粉を原料に新しい製品を作り出す業界など様々です。作り出す製品は業界ごとに異なりますが、“粉体”を扱うプロセスを適切に設計し、管理することはどの業界においても重要な課題となります。
この課題に対して一つのハードルとなっているのが、「現象を把握できない、もしくは把握することが困難」という点です。例えば、粉をフィーダーで搬送するプロセスにおいて、粉詰まりが頻発する場合の対策を考えてみます。このトラブルを解消するためには、まずは現象を把握することが必要です。現象を把握するためには、現象を可視化することが重要ですが、可視化のためには装置の改修が必要となり、コスト、時間がかかってしまいます。また、対策案に対しても、装置の試作、試験が必要となるため、膨大なコスト、時間が掛かってしまい、限られた対策案しか確認できず、検討の余地を残してしまう可能性があります。
この「現象を把握するための可視化」を行うために活用したいのがシミュレーションです。粉体の現象を表現するシミュレーション手法は幾つかありますが、その中の一つにDEM(Discrete Element Method、離散要素法)を用いた方法があります。これまでは粉体が示す挙動を再現することが困難であることや膨大な数の粒子を表現するには計算機の能力が不足している、等の問題があり、構造解析や流体解析と比べると活用される範囲は限定的でした。しかし、これらの問題が少しずつ解消されるに従って、現在では粉体を扱うメーカーから大きな注目を集めています。
本稿ではDEMという手法がどのようなものか、DEMを利用したシミュレーションソフトウェア『EDEM』とともにご紹介します。

DEMとは

DEMは構造解析に用いられるFEM(Finite ElementMethod、有限要素法)や流体解析で用いられるFVM(Finite Volume Method、有限体積法)と同じく、数値解析手法の一つです。この手法の特徴として以下の2 点が挙げられます。

①離散体の運動を計算

DEMの計算対象はバラバラになった粒子群であり、これらは空間内を移動します。空間の中には複数の粒子が存在するため、粒子同士がぶつかることもあります。この時ぶつかりあった粒子はお互いに跳ね返ります。この“粒子の移動”と“粒子の衝突・反発”を計算する手法がDEMです。
この手法によって、粉体を構成する粒子間の複雑な挙動を再現することが可能になります。

②メッシュが不要

FEMやFVMの計算対象は構造体や流体といった連続体です。この連続体はそのままでは計算機で計算を行うことが不可能であるため、計算可能となるように離散化、つまりメッシュを作成する必要があります。対してDEMは粒子という離散体を扱う手法であり、改めて離散化する必要はありません。つまり、計算時にメッシュを作成する工程は不要ということです。
逆にDEMは離散体しか取り扱うことができないという特徴から、連続体を計算することができません。あくまで粉体粒子や固体の移動を計算するための手法です。
DEMは粒子一つ一つの移動と、移動後の粒子同士の接触・衝突判定を行う計算手法のため、粒子数が増えると計算負荷が大きく増加し、普及の妨げとなっていました。しかしながら、計算機の能力が向上した昨今、一般的なエンジニアリング用PCで計算が可能となってきました。DEM手法を扱うソフトウェアも増えてきており、今後、粉体挙動シミュレーションにおいては、DEM手法のさらなる活用が見込まれます。

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