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EnSight最新バージョン9.1で変わるCAEの可視化
CAEのあるものづくり Vol.13|公開日:2010年10月
目次
- はじめに
- ボリュームレンダリング
- ソルバーインターフェースの改良
- その他の新機能
- おわりに
はじめに
解析結果を可視化するポストプロセッサーに求められる機能は年々増えており、ニーズは多様化しています。たとえば、次のようなニーズがあります。
- 簡単に使いたい。
- 複雑な現象をわかりやすくみたい。
- プレゼンテーション効果の高い可視化をしたい。
- 流体解析、構造解析等、様々なソルバーのポスト処理を統一したい。
- 流体と構造の連成解析結果を可視化したい。
- 大規模データを効率的に処理したい。
EnSightはこのようなニーズに対応する汎用ポストプロセッサーとして、多くの方にご利用いただいています。ここでは、こういった利用をさらにパワーアップするEnSight 9.1の新機能を紹介します。
(EnSight 9.1の最初のバージョンは、米国では今年2月にリリースされましたが、日本国内では、機能改良された9.1.2(a)をもって正式リリースとし、7月末から配布しています。)
(データ提供:MetacompおよびAerosim Research)
ボリュームレンダリング
(1)ボリュームレンダリングとは
V9.1の最大の特徴はボリュームレンダリングです。ボリュームレンダリングは、透明度を使って空間全体のデータの分布をダイレクトに表示する手法です。従来は、複数の断面のコンター表示や、同じ値を面で表す等数値面表示などにより、空間内のデータの分布を表示していましたが、連続的な値の分布を空間全体で表示することはできませんでした。
図2はドリルビットの流体シミュレーション結果をボリュームレンダリング表示したものです。速度の大きさに基づいて色を付ける(小さいところが青、大きいところが赤)とともに、大きさに基づいて不透明度を変えています。すなわち、小さいほど透明、大きいほど不透明になっているので、値の大きなところの分布がわかりやすくなっています。
(データ提供:Pointwise)
(2)EnSightのボリュームレンダリングの特徴
ボリュームレンダリング機能を持つ可視化ソフトウェアはいくつかありますが、EnSightのボリュームレンダリングには以下の特徴があります。
非構造格子データにも対応
多くの可視化ソフトウェアのボリュームレンダリングは構造格子データのみに限定されているため、CAEで利用できるケースは多くありません。EnSightは非構造格子データにも適用できるため、有限要素法や有限体積法による解析結果にも利用可能です。
サーフェスやラインの表示と合成可能
多くの可視化ソフトウェアのボリュームレンダリングは、サーフェス(ポリゴン)表示やライン表示と重ねることはできませんが、EnSightでは図2のように重ねることができます。断面コンターやベクトル表示など、従来の可視化表示と重ねることも可能です。
(ただし、グラフィックスボードによってはボリュームレンダリングが使用できません。)
(3)EnSight DRによるボリュームレンダリングの並列処理
EnSightのボリュームレンダリングは、グラフィックスボードのグラフィックスメモリを使うため、大規模データの可視化のためには大容量のグラフィックスメモリを必要とします。しかし、メインメモリとくらべ、グラフィックスメモリの容量はまだまだ小さいのが現状です。
EnSightの最上位版であるEnSight DR (Distributed Rendering)を使えば、複数のコンピューター、すなわち、複数のグラフィックスカードを使ってボリュームレンダリングの並列処理を行うことができ…