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ご挨拶

執行役員CTO 石塚 真一

科学技術立国“日本”復活の一助に!

CAE/シミュレーション技術は、日頃よりサイバネットプロダクトをご愛用いただいている皆様の並々ならぬ熱意に支えられ、産業界における開発期間の短縮や性能向上に寄与して参りました。皆様の努力の賜物である、このような豊かな社会に生活できることに心より感謝しております。

CAE/シミュレーションツールがなしてきた役割を別の側面から見ると、「技術の均質化」が挙げられると思います。これは良い面と悪い面を兼ね備えていると考えます。例えば今から約30年前に発表されたH制御は、その理論の難解さと計算の複雑さのため、大学を中心とする一部の研究者にしか使うことができませんでした。それがMATLABの登場により急速に普及し、多くの方が利用可能となり、その有効性が研究・検証され、現在では量産製品にも利用されております。

技術の均質化は、良い言い方をすれば技術の底上げとも言えるので決して悪いことではありません。しかし、今後は底上げされた分、他と差別化する、より高度な、より独自性のある、社会になじむ技術が望まれ、それが、最近やや陰を落としたと言われる科学技術立国“日本”復活に必要なことであり、私たちサイバネットも、その一助を担いたいと考えています。もちろん私たちは直接、ものをつくることができませんので、お客様と共に問題を考えていくことになりますが、その意識が真の意味での当社のコーポレートメッセージである「つくる情熱を、支える情熱。」であると考えます。


いまさらながら“モデル”

それでは具体的にそれをどのように実現するか?ですが、それは「適切なモデルを提案する」ということになります。現在、様々な分野でCAE/シミュレーションが使われていますが、その成否の鍵は「モデル」に集約されると考えます。

当たり前と思われるかも知れませんが、私は今更ながらモデルを考え直す必要があると思っています。それは、長年の研究とコンピュータ技術の進歩により、ソルバーが強力になり(あまりモデルを考えなくても良い)、ソルバーへの入力(いわゆるモデル化)がオペレーションレベルで可能になっているからです(もちろん、全てではありませんが)。


図1 モデルの役割


図2 理論と技術

では、モデルとは?大規模シミュレーションの代表である航空機の流体解析エンジニアにとっては、3D CADを基にした、1,000万要素を遙かに超えるような本物そっくりにメッシングされたCGのようなモデルをイメージするかも知れません。制御エンジニアの方の中には、具体的にSimulinkのブロック線図モデルを思い浮かべる方も多いでしょう。もちろんどれも間違っていません。しかしここで私が強く意識したいのは、図1に示すようにモデルは「理論と技術を結ぶインターフェイス」であるということです。これは、制御理論でご活躍された元東京大学の木村英紀先生がおっしゃられた言葉であり、講演、および著書でこの話に触れた際、まさにこれがCAE/シミュレーションの成否を決定するものであり、自分たちが届けたい、と強く思いました。これも木村先生の言葉からの抜粋ではございますが、本来、理論と技術は図2に示すように、互いに対極に位置し、相容れないものですが、モデルを介すことにより、個々の技術の世界を理論という普遍的な世界で論じることができ、シミュレーション可能になり、その結果は再びモデルを解して現実の技術の世界に還元できる、ということです。そのモデルは適用分野に応じて変える必要があります。先の流体解析では大規模なメッシュモデルかも知れませんし、制御設計の世界で使われるモデルは通常、微分方程式系で表現されますが、その次数はせいぜい数十程度です。このように、問題に合わせた適切なモデルを提案できるようになることが、当社の非常に重要な使命だと考えます。


逆引きされる会社「制御といえばサイバネット」

最近は多くの分野で「MBD:モデルベース開発」といった言葉が聞かれるようになってきました。すでにお話ししたように、現実の世界(技術)と抽象的な世界(理論)を結び付けるのがモデルであるわけですから、CAE/シミュレーションそのものが、全てモデルベース開発と言える訳です。実際、図1に示す工学分野以外にも、社会科学、自然科学の分野においても、モデルは利用されている訳です。しかし産業界で、モデルベース開発を強く意識するようになったのは、制御系設計の「モデルに基づくコントローラ設計」が起点になっていると思います。当社では、長年のMATLABのビジネス経験を生かして、「制御といえばサイバネット」と言われることを目指して、今期新たに「モデルベース開発推進室」を設置しました。ここでは図3に示すように、「理論」、「ツールの使い方」、「技術」のモデルベース開発の3要素に重点を置いています。そしてこの考えを様々な分野に展開し、「○×といえばサイバネット」と言われるように、CAE/シミュレーションの世界で逆引きされる会社になるよう邁進して行きたいと思います。


図3 モデルベース開発の3要素

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