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製造業におけるARの重要性と実際の活用事例を解説!

ビジネスの様々な分野において、デジタル技術への関心が高まっています。 特に、DX(デジタルトランスフォーメーション)やスマートファクトリーなどが議論される製造業においては、AR技術の導入が進んでいます。

そこで本記事では、製造業でAR技術が重要視される背景を振り返り、AR技術を導入するメリットや活用事例を紹介します。
AR技術の導入を考えている方、製造業とAR技術の関連性について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

製造業でAR技術が重要視される理由

日本では急激な少子高齢化が進んでいます。 特に、製造業においては現場作業員の不足が深刻な問題となっています。 従来の日本のものづくりでは、長期的に継続する雇用環境のもとで、熟練工の技術を側で見て学び、時間をかけて習得していく状況が可能でした。
しかし、近年ではそうした熟練工が高齢化により、段々と引退しています。また、消費者ニーズが多様化し、工場のDXが進む中で、製品やシステムも複雑化しています。
若手は作業内容の変化に柔軟に対応しつつ、自ら工夫して厳しい現場を乗り越えなくてはならなくなりました。
そこで、注目されるのがAR技術の導入です。ARとはAugmented Realityの略で、位置情報や画像解析技術を活用し、目の前の現実空間にデジタル情報を重ねて表示する技術のことです。
元々、ARはゲームをはじめとするエンターテインメントや、販売促進の場で活用されてきました。これまでは、視野角の広さやバッテリー容量・重量などの性能面、コスト面などから、製造現場に耐える製品が存在しませんでした。
しかし近年では、市場のニーズを満たす高性能の製品が登場し始め、製造業においてもAR技術の導入が重要視されています。

製造業においてデジタル技術を用いたDX促進を行うメリット・必要性については以下の記事でさらに詳しく解説しています。

関連記事:建設業・製造業でDX化を推進するメリットとAR/VRによる効率化

製造業においてAR技術が用いられるシーン

では、製造業においてAR技術はどのように用いられているでしょうか。
AR技術が活躍する具体的なシーンを見ていきましょう。

作業支援

数多くの機器を扱う製造業の現場においては、操作が複雑で注意すべき点も多いです。
分厚いマニュアルや作業資料を都度参照するのでは、手が塞がってしまい作業に負担がかかります。
AR技術を用いたARグラスを装着すると、ディスプレイ上に作業工程やマニュアルを表示できます。また、本部にいる管理者から指示を受けたり、不明な点や不安な作業は遠隔地にいる熟練工から教わりながら作業したりできます。

点検・保守

機器や製品の点検・保守の場面では、複数項目を漏れなく確認することが重要です。
AR技術を活用すれば、目の前にある物体に重ねてデジタル情報を表示できます。
点検項目や点検方法に素早くアクセスできるため、効率的で正確なメンテナンスが可能です。

研修・トレーニング

製造現場においては、若手が正しい技術を学び、1日でも早く成長することが求められます。特に、初期の頃は座学だけでなく、実践的な訓練の積み重ねが重要です。
研修やトレーニングの場においても、AR技術を活用したARグラスを取り入れることによって、学習効果を最大限に高められます。
実際の作業で使う製品や機材を映し出した上に、作業手順やマニュアル情報を重ねることで、現場に限りなく近い環境での学習が可能です。

デジタルツイン

製造業の現場では、実在する現実空間をバーチャル空間上に再現する「デジタルツイン」と呼ばれる技術が注目されています。
デジタルツインによって、本来コストや時間がかかる製品・サービスの開発・改善をバーチャル空間で何度もシミュレーション可能です。さらに、現場や製品に問題が発生した際は、バーチャル空間を参照してトラブルの原因を迅速に追求できます。

バーチャル空間の情報を現実空間に反映させる際、欠かせないのがAR技術です。
AR技術を活かしたデジタルツインを導入することで、トラブルシューティングやアフターサービスも効率的かつ正確に行えます。

製造業でAR技術を導入するメリット

AR技術を導入するためには準備の手間がかかる一方、それ以上の恩恵を受けられます。 以下で、製造業でAR技術を導入するメリットを見ていきましょう。

作業の効率化

AR技術を使用したARグラスを装着すれば、目の前のディスプレイに作業マニュアルや工程が表示されます。ハンズフリーの状態で作業を進められるため、作業員一人当たりの生産性が向上します。
また、設備や機器のメンテナンスにおいても、AR技術と機械本体を連携させることでデータを可視化し、目視で行っていた作業を自動で正確に実行可能です。

コスト削減

AR技術の導入により、遠隔地から作業支援できるようになることで、移動費や人件費の削減にも繋がります。また、熟練工が研修やトレーニングに時間を割くことなく、本業に集中できるようになり、結果的なコスト削減や技術の向上にも貢献します。

安全性確保

ARグラスの装着によって視線の移動が少なくなり、落ち着いた作業が可能になります。
ミスが減り作業の質が上がる上、トラブルや事故の発生も抑えやすくなるでしょう。
また、デジタルツインの活用により、エラーや異常を早い段階で検知できるようになります。

技術継承・人手不足解消

ARグラスでは遠隔地にいる人に、目の前の視界を共有可能です。
言葉や文字では表しにくい内容も正確に伝えられ、コミュニケーションもスムーズになります。若手作業員はもちろん、言語の壁がある外国人作業員のトレーニングにも大きく役立つでしょう。
技術継承や人手不足に悩む製造業にとって、AR技術は問題解決の糸口となり得ます。

製造業におけるAR技術の活用事例

最後に、製造業の各企業におけるAR技術の活用事例を見ていきましょう。

技術教育に導入

本田技技研工業株式会社(ホンダ)では、車体組み立てのトレーニングにおいてAR技術を導入しています。
ARデバイスを使った拡張空間を用いてコストを抑えつつ、光の当たり方や工場ライン上での動きなどを再現し、従来はテスト用の実車で行っていた訓練を、さらにリアリティの高い環境で実践できるようになりました。

保守・点検に導入

富士通株式会社の沼津工場では、冷却水ポンプや冷凍機などの工場設備の保守・点検においてAR技術を導入しています。
従来は紙媒体や技術者の感覚、経験に頼っていたマニュアルやデータを作業ナビゲーションに切り替え、作業内容を音声や映像で指示できるようになりました。
また、設備点検シートを現場のQRコードに設置し、点検記録をグラフ化できるようにしました。作業漏れを防ぎ、情報の共有や保守・点検業務を効率化させることに成功しています。

製造業の課題を解決に導くAR技術

いかがでしたでしょうか。
今回は製造業におけるAR技術の重要性や活用するメリット、具体的な活用シーンや事例を紹介しました。
ARは目に見えないものを可視化し、人間の行動の可能性を広げてくれる技術です。
今後も製造業をはじめとして、幅広いビジネス分野での活躍が期待されます。

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