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自動車業界における
AR技術の活用方法と事例

スマートフォンのゲームやカメラアプリなど、身近な存在となりつつあるAR技術。 「拡張現実」とも呼ばれるARは、今やエンターテイメント領域だけでなく、製造業や建設業・物流業など幅広い領域での活用が進んでいます。 中でも、今後ますますARの進化・発展が期待されるのが、自動車業界です。

そこで本記事では、自動車業界におけるARの活用パターンや、実際の企業における活用事例を紹介します。 AR技術について興味をお持ちの方、自動車業界に従事している方は、ぜひ参考にしてください。

自動車業界におけるAR活用パターン

日本は世界有数の自動車産業国の一つです。 しかし、少子高齢化と人口減少が進む日本では、工場における人手不足が深刻であり、生産性と品質の両立や人材教育などが課題となっています。 そこで、増加するデジタル需要に伴い注目されているのが、AR技術です。 自動車業界においてARがどのように使われているのか、どのような可能性を秘めているのかを見ていきましょう。

遠隔地からの作業指示・サポート

AR技術を搭載した「ARグラス」や「スマートグラス」は、現実空間の物体や位置情報を把握した上で、バーチャルな物体や情報を現実に重ね合わせて表示する機能を持ちます。 ARグラスやスマートグラスを用いることで、現実空間の物体についての情報や仮想スクリーンを表示させたり、他者と共有したりできます。

自動車産業において、必要な人材が現場にいない時でも遠隔指示やサポートが可能です。 例えば、自動車の調子が悪い時、複雑な技術的問題に対応できる整備士がその場にいるとは限りません。しかし、ARグラスやスマートグラスをつければ、作業手順を現実空間に表示させることや、離れている整備士に状況を共有して指示を仰るといったことが可能となります。

スマートグラスを活用した遠隔作業支援の詳細については、以下の関連記事でも解説しておりますのでご覧ください。

関連記事:コロナ禍で注目のスマートグラスを活用した遠隔作業支援の市場規模

作業効率化・安全性強化

従来、製造業の現場では紙媒体のマニュアルを片手に、随時進捗確認を行いながら、保守・管理が行われていました。 AR技術を搭載したデバイスを用いると、作業手順や内容を拡張した現実空間に表示でき、わざわざ紙媒体のマニュアルに目を向ける必要がありません。

複雑で高度な技術が求められる自動車産業の現場においても、細かい図やメーターまで表示しながらハンズフリーの状態で作業できるため、従業員一人あたりの生産性が高まります。 また、長年の経験や目視に頼ってきた設備のメンテナンスも、AR技術が点検時の異常検出を補助することで、従業員の安全性を強化します。

従業員の教育

少子高齢化や人口減少により自動車産業界の熟練した従業員が減少しています。 同時に、複雑化するIT技術や多様化する消費者のニーズに応えるためには、若い世代の従業員の教育が欠かせません。

AR技術は自動車業界の人材育成にも役立ちます。 例えば、AR技術を利用した「HMD(ヘッドマウントディスプレイ)」は、現実空間にバーチャル映像を映し出す、頭に装着するディスプレイです。 HMDを用いれば、研修においても実際の現場と同じような環境を作り出し、より現実的で実践的なトレーニングができます。マニュアルが目の前に映し出されることで、トレーナーが一対一で教える必要がなく、時間や人件費のカットに繋がります。

品質・顧客体験の向上

AR技術を作業現場に用いることで、ヒューマンエラーも削減可能です。 現実空間上に必要な情報があるため、作業がスムーズになりミスを起こしにくくなります。

また、車外に設置されたカメラとバーチャル映像を重ね合わせることで、余計な障害物を排除して運転しやすくしたり、現実の道路の映像に地図のマークや矢印を示すことで、より立体的でリアルなカーナビゲーションを実現したりします。

営業・マーケティング支援

AR技術は自動車産業における製造や整備だけでなく、販売現場も支援します。 購入前に自動車を試乗したり、内装や外装のアレンジをしたり、自宅の車庫に置いた際のサイズ感をイメージしたりできます。 購入後のミスマッチを防ぐだけでなく、ユニークなAR体験によるブランディングや話題喚起にも効果的です。

自動車業界でARを活用している事例

AR技術は自動車業界において具体的にどのように使われているのでしょうか。 ここでは、自動車メーカーのAR活用事例を見ていきましょう。

トヨタ自動車

トヨタ自動車はマイクロソフト社と連携し、ARによって自動車の整備作業を効率化する「HoloLens2」を開発し、販売店に導入しています。 ARグラスの一種である「HoloLens2」は、車両情報や作業項目を現実空間に表示し、タッチ操作や音声・目線操作もできるほか、視界を共有して遠隔地からの作業支援も可能です。

ポルシェ

ポルシェはAR技術を駆使した体験型アプリ「ポルシェARビジュアライザーアプリ」を開発しました。 スマートフォンにダウンロードすると、ポルシェ車のコンフィギュレータを3Dで見られます。好みにカスタマイズした車両を車庫に仮想的に置き、購入前の鑑賞が可能です。

フォルクスワーゲン

フォルクスワーゲンはイギリスにおけるディーラーの車両修理に際し、ARヘッドセットを導入しました。サポートセンターと視界を共有し、現場に必要な資料や図を表示することで、修理の作業時間を大幅に削減します。

メルセデス・ベンツ

2020年9月発売のメルセデス・ベンツEクラスでは、ARナビゲーションが採用されました。 進行方向が実際の道路の映像上に表示されることで、ドライバーが目の前の視界から目を離す必要がなく、より安心安全な運転を可能にします。 

ARの発展で自動車産業も新たなステージへ

いかがでしたでしょうか。 今回は自動車業界におけるAR技術の活用パターンや企業の導入実例を紹介しました。 AR技術によって自動車産業が抱える課題を解決できる可能性があります。 今後もますます発展するAR技術に目が離せません。

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