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リリース情報

PlanetsⅩ 2024R2 リリース情報

PlanetsⅩ 2024R2 リリース情報の概要

2025年1月、PlanetsⅩ ver.2024R2がリリースされました。

Ansys対応バージョン

PlanetsX ver.2024R2 (射出成形用) はAnsys Workbench 2024 R2対応版です。

PlanetsX 2024R2 主なバージョンアップ機能

新規機能

1. Material Designerインターフェイス実装
PlanetsXの樹脂流動解析・繊維配向解析と、Material Designerにより予測された異方性材料特性を連携する機能を開発しました。Workbench環境で“PlanetsX”-“Material Designer”-“Ansys Mechanical”連携による、射出成形時の短繊維の配向による機械特性の異方性を考慮した構造解析が可能となりました。

2. Mechanicalの解析結果のグラフ表示
解析結果の時系列データ (例えば注入点の圧力など) は「Graph_vsTime.csv」に出力され、Excelなどにてグラフ表示していました。今回のバージョンアップではMechanicalのグラフ機能を利用して、「Graph_vsTime.csv」の結果データをグラフ表示することが可能になりました。



3. 表面張力を場所ごと・時間ごとで有効/無効にするスイッチの実装
解析モデルのメッシュ品質が良くない (テトラ要素で分割が粗い、など) と、表面張力の影響で実現象とは異なる流動挙動を示すことがあります。その回避策として、一時的に一部の表面張力の効果を有効あるいは無効にする機能を実装しました。

4. ファイル出力のON/OFFスイッチの実装
PlanetsXではそり解析やワイヤースイープ解析などに連携するための様々なファイルが出力されますが、それらの連携解析を実施しない場合は不要です。そこで、本バージョンでは不要なファイルを出力しないようにするスイッチを実装しました。このスイッチはオプションファイル「fpac.add」にて設定します。

機能向上

1. 金型冷却解析の改良とウィザードのレガシー移行
金型冷却解析の仕様を変更しました。従来のウィザードは本バージョンよりレガシー機能とします。ウィザードで設定していた「成形サイクル」はMechanicalのツールバーより設定します。樹脂流動解析の金型温度へのマッピング方法も変更しており、外部データシステムを用いないようにしました。
また、過渡伝熱で得られる温度結果の処理についても改良しました。従来は最終成形サイクルの時間平均温度分布を金型温度としておりました。時刻ごとの温度分布を金型温度とすること (過渡金型温度) も可能でしたが、設定が煩雑でした。本バージョンからは、金型冷却解析から「平均温度出力」、「過渡金型温度出力」の両方を可能とし、金型温度として適用できるようにしました。

2. 発熱量 (せん断発熱、結晶化発熱、硬化発熱) のコンター表示
解析結果に以下の4項目を追加しました。

3. テーブルデータ入力のcsvインポート機能の追加と改良
金型表面温度などのテーブルデータ入力において、csvデータをインポートする機能がありますが、一部の設定には実装されていませんでした。本バージョンより以下のテーブルデータにおいて利用できるようにしました。また、インポートするファイルの選択ボタンを詳細ビューからテーブルウィンドウに移設しました。

4. 平均場法オブジェクトの改良
平均化法を使用する際、オブジェクト生成すると「平均場法データ」のみが生成されていましたが、本バージョンから「局所座標系」も同時に生成されるように改良しました。

5. ライセンスチェックの改良
前バージョンまでのPlanetsXでは、ライセンスサーバーの指定 (「flex_server.ini」への記述) の際に複数サーバーを指定しても1番目に記載したサーバーしか認識されず、2番目以降のサーバーのフィーチャー (オプション機能) が有効にならないという問題がありました。それを解消するため、「flex_server.ini」にて指定したすべてのサーバーとフィーチャーが有効になるように改良しました。それに伴い、Workbenchからのライセンス確認方法も変更しています。

β機能

1. 全体座標系以外の対称条件設定の実装
従来のPlanetsXの対称条件の設定は、全体座標系で定義される平面 (XY, YZ, ZX) のみにしか与えられず、1/2対称もしくは1/4対称のみに限定されていました。今回実装した機能により、上記以外の平面にも設定が可能となり、任意の対称条件を与えられるようになりました。

2. 繊維配向により生じる熱伝導率の異方性の出力
繊維配向に伴う熱伝導率の異方性を算出する機能を実装しました。本バージョンでは構造・伝熱解析へのマッピング機能が実装されておらず、ファイル出力のみに対応しております。マッピング機能の実装は次期バージョンにて対応予定です。

仕様変更

1. 「PlanetsX構造連携」タブ、「連携解析」タブの統合
PlanetsXと構造解析を連携する際に利用する機能として、静的構造システムのMechanicalのツールバーに「PlanetsX構造連携」と「連携解析」という2つのタブを実装していました。これらの使い分けが分かりづらかったため、「PlanetsX構造連携」タブに統合しました。

2. 「材料特性(要素)」、「局所座標系」のマッピングデータの出力仕様の変更
従来、「材料特性(要素)」や「局所座標系」で要素にマッピングされた初期熱ひずみなどのデータは、解析実行時に「ds.dat」へコマンドとして出力される仕様でした。しかし、要素数が多くなるとAnsysが出力に対応できず、解析を正しく実行できませんでした。そこで本バージョンから、コマンド出力に対して「ds.datへの出力」と「cdbファイルに出力して/inputコマンドにて読み込み」のどちらかを選択できるよう仕様を変更しました。

3. 「ヒケ・固化層率出力スイッチ」の仕様変更
前バージョンまでの「ヒケ・固化層率出力スイッチ」では、その中に「板厚計算パラメータ調整」と「対面処理パラメータ調整」のスイッチが二重に存在していました。2024R2では「板厚計算パラメータ調整」、「対面処理パラメータ調整」のスイッチを廃止しました。この変更により、これらのスイッチを両方「ON」としないとエラーになる不具合が修正されています。

不具合の修正

Ver.2023R2から2024R2の間に修正された不具合を記載しています。ここには2023R2のバグフィックス版 (2023R2 rev1) にて修正された内容も含まれています。

① 結晶化発熱 (潜熱) のスイッチが動作しない問題を解消
② 「局所座標系(2軸)」のマッピング時にエラーが発生する不具合を修正
③ エアベントの設定において、一周する状態の複数のエッジを一括で選択するとエラーになる問題に対応
④ SHORT SHOT判定が正しく行われない不具合を修正

⑤ そり解析 (材料特性、局所座標系のマッピング) において、要素数が多いと解析が正しく実行されない問題を回避するため、マッピングデータの出力仕様を変更
⑥ 2色成形解析において、メルトフロントの樹脂色が正しく与えられずエラーになることがある不具合を修正
⑦ ALE法のプレス機能において、荷重と反力のつり合い計算の際に反力が負になった際の移動速度修正の不具合を修正
⑧ 「ヒケ・固化層率出力スイッチ」の「板厚計算パラメータ調整」と「対面処理パラメータ調整」のスイッチを両方「ON」にしないとエラーになる不具合対応のため、これらのスイッチを廃止

既知の不具合

1. テーブルデータの不具合

  • 症状: 値を設定したテーブルデータ (多段射出、結果の出力時間間隔など) を閉じて再度開くと、テーブルの値が元の値と異なっている場合があります。これはMechanicalを立ち上げなおすと発生することがあります。
  • 回避方法: 値が異なっている場合は[適用]ボタンを押さず、[キャンセル]ボタンでテーブルを閉じてください。その後テーブルを開くと正しい値に戻っています。


2. 光学性能 (AURORA) 解析実行中のMechanicalの挙動

  • 症状: 光学性能 (AURORA) の解析を実行中、Mechanicalの画面を操作・確認できません。
  • 回避方法: Ansys Workbench (ACT) の仕様のため、回避できません。


3. 安全率結果の平均化処理

  • 症状: 安全率の機能において、Ansysの応力ツールの安全率と比べると、平均化結果に違いが見られることがあります。特に「最大引張り応力理論」において顕著で倍以上になることがあり、その他の理論では1~2割程度の差が表れます。
  • 回避方法: 非平均化結果に違いは見られませんので、そちらで評価してください。

4. マッピング時に参照するデータファイルの保存場所

  • 症状: 温度連成機能を利用したそり解析などでは、構造体の温度分布をそり解析に反映させるため、温度分布データをテキストファイルに保存して[参照温度]でマッピングさせます。このように、[参照温度]などのオブジェクトから参照するためのファイルを保存する際、保存先をプロジェクトファイル (*.wbpj) の場所と異なるドライブに保存すると、マッピング時にエラーが発生します。
  • 回避方法: テキストファイルの保存先を、当該プロジェクトの「user_files」フォルダ内にしてください。「user_files」フォルダ内にサブフォルダを作成しても問題ありません。

 

5. ライセンスチェックのウィンドウ表示安全率結果の平均化処理

  • 症状: Workbenchの「PlanetsX」>「License Information」を選択しても、ウィンドウが表示されない場合があります。
  • 回避方法: Workbenchの起動直後など一度目に選択した場合に発生します。続けて選択し直すと表示されるようになります。


6. 光学性能 (AURORA) 解析後のMechanical画面の不具合

  • 症状: 光学性能 (AURORA) の解析終了後、Mechanicalの画面上の文字が文字化けすることがあります。また、モデルビューが真っ黒になることがあります。
  • 回避方法: 一度Mechanicalを終了し、立ち上げ直してください。

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