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Ansys Zemax OpticStudio 2023 R1 バージョン情報

Ansys Zemax OpticStudio 2023 R1

2023年1月リリース

Ansys Zemax OpticStudio 2023 R1では主に他ツールとの連携機能やノンシーケンシャルモードの解析機能が強化されました。 これまで以上に光学設計の再現性が高まりました。新機能の一部を抜粋して下記のとおり紹介いたします。

LUMERICAL SUB-WAVELENGTH DYNAMIC LINK DLL (PREMIUM と ENTERPRISE エディションのみ)

Lumerical Sub-wavelength Dynamic Link DLL による 2D グレーティングのサポートを強化

この新しい回折 DLL は、Ansys Lumerical FDTD に動的にリンクすることで、2D グレーティングのシミュレーションを可能にします。Ansys Zemax OpticStudio で光線がグレーティングに到達する、Lumerical RCWA ソルバーを使用して回折効率が計算されます。
この DLL を実行するには、同じ PC に Lumerical FDTD がインストールされており、この DLL が Lumerical を呼び出して計算きるようになっている必要があります。

LUMERICAL SUB-WAVELENGTH DYNAMIC LINK DLL (PREMIUM と ENTERPRISE エディションのみ)画像

LUMERICAL SUB-WAVELENGTH DLL (すべてのエディション)

静的ファイルから Lumerical データをインポートして、グレーティングを正確にシミュレート

この DLL を使用すると、JSON ファイルに保存された計算済みの回折効率データを読み込んで、グレーティングのシミュレーションができます。このファイルの内容は、Ansys Lumerical FDTD で計算し、そこからエクスポートできます (計算には Lumerical RCWA ソルバーを使用します)。この JSON ファイルをエクスポートする方法の詳細については、Speos Lumerical Sub-wavelength Model を参照してください。この DLL を使用して JSON ファイルを OpticStudio にインポートする方法の詳細については、ナレッジベース「How to load grating data from Lumerical into OpticStudio」 をご参照ください。

LUMERICAL SUB-WAVELENGTH DLL (すべてのエディション)画像

合成面 (すべてのエディション)

あらゆる物理的な面のイレギュラリティの公差

新しい [合成面] (Composite surface) の機能は、任意の面のサグを基準面に追加することで、シーケンシャルモードで複雑な面形状を簡単に作成できます。ただし、光学部品の挙動が実際のサグによって特徴づけられる面のみで使用できます。合成面は任意の数を積み重ねることができ、全てのサグが基準面に加算されます。
この高度な機能により、OpticStudio のいくつかの新機能が有効となり、回避策を必要とせずに、あらゆるサグベースの面に対してイレギュラリティを直接公差にすることができます。TEZI オペランドを使用して、OpticStudio のシーケンシャルモードで、全てのサグベースの面に対してイレギュラリティの公差解析が可能となりました。

ノンシーケンシャル 単一光線追跡 (すべてのエディション)

NSC 光学系の光線伝搬を調べるための解析と可視化

新しい [単一光線追跡] (Single Ray Trace) により、元のシステムに影響を与えることなく、 ノンシーケンシャルモードで単一の光線追跡ができます。ノンシーケンシャルモードでこの機能を使用すると、光線ごとに解析および可視化して、ノンシーケンシャル光学系での光線の伝搬を調べることができます。これは、AR システムで使用される射出瞳拡張光学系など、ノンシーケンシャルモードでモデル化される複雑な結像システムにおける挙動を理解するために重要です。

ノンシーケンシャル 単一光線追跡 (すべてのエディション)画像

NSC 幾何学的 MTF (すべてのエディション)

ノンシーケンシャルモードでディテクタの[幾何光学的 MTF] (Geometric MTF) を計算

この新機能は、ノンシーケンシャルモードでディテクタ上の放射照度分布から幾何学的 MTF を計算することができます。
この機能は、[ディテクタ ビューア] (Detector Viewer) の幾何学的 MTF オプションに変わるものです。

NSC 幾何学的 MTF (すべてのエディション)画像

NSC 面のサグ (すべてのエディション)

製造性を確保するために、あらゆる複雑な面形状をノンシーケンシャルモードで簡単に解析可能

この新しい OpticStudio のビルトインの解析は、ノンシーケンシャル光線追跡を使用して、[ノンシーケンシャル コンポーネント エディタ] (Non-Sequential Component Editor) (NSCE) で定義したオブジェクトの指定したフェイスのサグ量を計算します。

NSC 面のサグ (すべてのエディション)画像

サグの計算に使用される光線は [レイアウト] (Layout) タブで可視化でき、解析設定のトラブルシューティングに役立ちます。
この解析の設定には、「Keep Object Tilts」 のチェックボックスがあり、オブジェクトの元の x および y のティルトを保持することができます。このボックスがチェックされている場合、解析はサグを計算する際にオブジェクトのティルトを考慮し、このボックスがチェックされていない場合は無視されます。
また、この解析では、ユーザーはベース半径、最適球面、ベースサグ、平均サグ、または最小サグを除去することができます。平均サグと最小サグにより、ピストンの除去やサグマップを最小のサグ値に固定することができます。

サグレイアウト画像

SPEOS LENS SYSTEM へのエクスポート (すべてのエディション)

[システム反転をスキップ] (Skip System Reversal)、コンフィグレーション オプションおよびセンサーマップ機能の追加

新機能として、手動で反転させたシステムに対する処理中に自動反転ステップをスキップする機能と、マルチコンフィグレーションから特定のコンフィグレーションをエクスポートする機能が追加されました。[Speos エクスポート出力の設定] (Speos Exporter Output Settings) に特定のパラメーターを保存する機能がユーザーインターフェースに含まれています。保存できるパラメーターには、ディストーション、入射瞳位置の変化、シャープネスロス、被写界深度および解像度があります。
新しくセンサーレイアウトが追加され、像面サンプリングの視覚的な表現が改善されました。ディストーションファイル設定の出力は、特定の入力パラメーターを含めたり除外したりして、出力データをカスタマイズすることができます。

SPEOS LENS SYSTEM へのエクスポート (すべてのエディション)画像

OPTICSBUILDER 向け準備 : 固定アパチャー (すべてのエディション)

絞り面に対するNSC 固定アパチャーを改善

.ZBD ファイルを作成する際に、絞り面のNSC アパチャーへの変換を改善する新しい機能が追加されました。この機能により、ユーザーは絞り面が光学部品上に配置されていない (レンズやミラーの表面でない)場合でも、ノンシーケンシャルモードで絞り面を環リング (円形アパチャー) または矩形アパチャーのどちらに変換するかを決めることができます。
新しい機械的絞り半幅の入力により、ユーザーはノンシーケンシャル オブジェクトの直径または幅を定義できます。また、[OpticsBuilder 向け準備] (Prepare for OpticsBuilder) に [ステータス] (Status) タブが追加され、.ZBD ファイルを準備する際のエラー処理に役立つイベントのログが表示されるようになりました。

OPTICSBUILDER 向け準備 : 固定アパチャー (すべてのエディション)画像

NSC 回折プロパティ (すべてのエディション)

2 次元回折次数向けに強化されたユーザーインターフェース

[ノンシーケンシャル コンポーネント エディタ] (Non-Sequential Component Editor) の [プロパティ] (Properties) ダイアログ内の [回折] (Diffraction) タブのユーザーインターフェースが更新され、X 及び Y の開始と終了次数を個別に指定できるようになりました。これは、2D グレーティングの正確な特性評価に必要となります。
また、[反射] (Reflect) から [透過] (Transmit) へ、パラメーターを1回でコピーする新しい [コピー] (Copy) ボタンがユーザーインターフェースに追加されました。これにより、ユーザーはグレーティングを設定する際に、反射と透過の両方に対してパラメーターを定義できるようになりました。
新しいユーザーインターフェースにより、ユーザーは回折 DLL をより要件に合うようにカスタマイズできます。この新しいユーザーインターフェースを使用したプラグインの構築方法については、組み込みの Diff2DSample.dll とそのソースコード Diff2DSample.cpp を参照してください。

NSC 回折プロパティ (すべてのエディション)画像

STAR モジュール : アクティブ剛体運動 (RBMS) (ENTERPRISE エディションのみ)

剛体運動 (RBMs) の新機能

Ansys Zemax OpticStudioの Enterprise エディションの STAR モジュールには、任意の有限要素解析プラットフォームから読み込まれた構造データセットの高次の面変形から、剛体運動 (RBM) を分離する新機能が搭載されました。[構造解析データ サマリー] (Structural Data Summary) に新しいチェックボックスが追加され、各面で [フィットしたデフォーメーション] (Fitted Deformations) (RBM を除く) または [抽出されたRBM] (Extracted RBMs) の寄与をオンまたはオフにできるようになりました。この機能は、FEA データセットを直接変更することなく、寄与を有効または無効にします。
また、新しい [構造オプション] (Structural Options) のドロップダウンメニューを使用して、全ての面のフィットしたデフォーメーションと抽出されたRBMをワンクリックで有効または無効にできます。

NSC拡張多項式レンズの UDA (すべてのエディション)

[ユーザー定義アパチャー] (User Defined Aperture) (UDA) の追加サポート

ユーザー定義アパチャーが設定されたシーケンシャル面の [拡張多項式] (Extended Polynomial) ミラーをノンシーケンシャルオブジェクトに変換する場合、ノンシーケンシャルモードでは、 [拡張多項式レンズ] (Ext. Poly. Lens) オブジェクトにユーザー定義アパチャー (UDA) が追加されるようになりました。これは、拡張多項式面とレンズによってサポートされる複雑な形状をモデリングする場合に重要で、このような光学部品は、面境界での効果を処理するために特定のアパチャーを必要とすることが多いです。

PANDAO へのエクスポート (すべてのエディション)

光学設計プロセスの任意の時点で最適な製造チェーンを決定

PanDao (https://pandao.ch/) は、レンズの製造方法が性能とコストに与える影響を評価するためのブラウザベースのツールを開発しました。これらの評価は、光学設計の関連データを使用して作成されます。現在、エンジニアは光学モデルから関連データを抽出し、手動で PanDao ツールセットに入力する必要があります。
[PanDao へのエクスポート] (Export to PanDao) ツールは、ZOS-API のスタンドアロン アプリケーションであり、OpticStudio のレンズファイルから関連データを抽出し、これをPanDao ツールで読み取るJSON ファイルに書き込むことで、プロセスを自動化します。
このツールは現在、球面 (コーニック定数はゼロである必要があります)の [標準面] (Standard surface)、[偶数次非球面] (Even Asphere)、[拡張非球面] (Extended Asphere)、[拡張奇数次非球面] (Extended Odd Asphere) タイプを使用する軸上システムをサポートしています。屈折面と反射面の両方がサポートされています。

ライセンスの借用 (すべてのエディション)

ライセンス サーバーに接続できない場合は、オフラインで作業を継続

新しい Ansys クライアント設定 ユーティリティが追加され、コンピューターがライセンス サーバーに接続しなくても使用できる Ansys Zemax ライセンスを借用できるようになりました。これは、ノートパソコンで遠距離に移動したり、VPN を使用せずに自宅で一時的に作業したりする場合など、クライアントのワークステーションがライセンス サーバーとしばらくの間、直接通信できない場合に役立ちます。詳細は、ヘルプファイルを参照してください。

プロジェクト ディレクトリがサポートするファイル形式の追加 (すべてのエディション)

[プロジェクト ディレクトリ] (Project Directory) が、より多くのファイルをサポート

Zemax OpticStudio 21.3 で導入されたプロジェクト ディレクトリは、重要な Zemax ファイルを簡単にパッケージ化して保存し、プロジェクトごとに簡単にアクセス及び操作ができます。プロジェクト ディレクトリは、[ファイル] (File) タブの [プロジェクトディレクトリへの変換] (Convert to Project Directory) ボタンを使用して、既存のOpticStudio の設計ファイルから作成することができます。
このリリースでは、 プロジェクト ディレクトリは以下のファイル形式もサポートするようになりました。

  • [物理光学伝搬] (Physical Optics Propagation) (POP) ファイル (.ZBF, .ZMM)
  • [オブジェクト] (Objects) / [光源] (Sources) / IESNA ファイル (.IES, .DAT)
  • [コンフィグレーション] (Configuration) ファイル (.CFG)
  • [オブジェクト] (Objects) / [光源] (Sources) / [光源 (ファイル)] (Source File) (.CRS, .FFD, .RRD, .DAT, .SDF)