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Ansys Zemax OpticStudio 2022 R2 バージョン情報

Ansys Zemax OpticStudio 2022 R2

2022年5月リリース

Ansys Zemax OpticStudio 2022 R2では、広角レンズ用のレイエイミング機能・STARモジュール解析機能の強化に加え、外部連携の強化として、3次元光学解析ソフトウェアAnsys Speos への設計データのシームレスなエクスポートが可能となりました。新機能の一部を抜粋して下記のとおり紹介いたします。

また、開発元の日本法人であるアンシス・ジャパン株式会社が開催しました、「OpticStudio 22.2(STARモジュール含む)、OpticsBuilder 22.2 最新機能の紹介」のオンデマンド視聴をこちらからお申込みいただけます。こちらのオンデマンドセミナーでも新機能の概要を紹介しております。

レイ エイミング ウィザード (すべてのエディション)

このツールは、OpticStudio 22.1 で導入されたアルゴリズム[強化されたレイ エイミング] (Enhanced Ray Aiming*)関連の設定を含めた、システムに最適なレイ エイミングを行う際の必要なデータを提供します。今回追加された新しい [レイ エイミング ウィザード] (Ray Aiming Wizard)により、正確なモデリングとシステム解析が行える適切なレイ エイミングが可能となります。
*レイ エイミングとは、主光線の追跡不能に起因する計算の不正終了を修正する機能です。マシンビジョン、ドローンの監視カメラ、自律走行車用カメラ、携帯電話のレンズなど、広視野を必要とするアプリケーション向けにアルゴリズムが強化されました。

レイ エイミング ウィザードを実行すると、テキスト レポートが生成されます。レポートには、4つの主要な項目があります。

  • [基本システム情報] (Basic system information):ファイル名、システム アパチャー、視野設定
  • [推奨設定] (Recommended Settings):レイ エイミング設定の推奨リスト
  • [レイ エイミング設定決定基準] (Decision Metrics):レイ エイミング ウィザードがどのようにシステムをテストし、推奨設定を見つけたかの概要
  • [生データ] (Raw data):レポートで示した各項目の判断に使用されたデータ

[推奨設定を適用して閉じる]をクリックするだけで、推奨設定を反映させることができます。

レイ エイミング ウィザード (すべてのエディション)

[強化されたレイ エイミング]アルゴリズムの改善 (すべてのエディション)

[強化されたレイ エイミング] (Enhanced Ray Aiming)がより多くのアパチャーと視野タイプで使用可能となり、より幅広い光学系に対応できるようになりました。アパチャーについては、[絞り面半径による定義] (Float By Stop Size) 、 [入射瞳径] (Entrance Pupil Diameter)や [像空間 F/#] (Image Space F/#)に対しても、強化されたレイ エイミングを使用できるようになりました。これらが重要となるシステム例は以下のとおりとなります。

  • 低照度システム:ナイトビジョンシステム、顕微鏡、マシンビジョンシステム、従来の写真レンズ、AR/VRシステム
  • 回折限界まで集光するシステム:望遠鏡、顕微鏡、近接撮影用の対物レンズ

視野タイプについては、以前のバージョンでは、物体距離が無限大の場合の[角度(度数)] (Angle in degrees)と [セオドライト角度(度)] (Theodolite angle in degrees)、物体距離が有限かつ視野角度が 180°未満の場合の [物体高](Object height)にのみ対応していました。本バージョンからは、有限の物体距離を持つ光学系で視野タイプが角度(度数)およびセオドライト角度(度)のモデルに対しても適用できるようになりました。これらは、セキュリティカメラや写真、測量用の魚眼レンズなど、視野角が180°を超える広角システム設計で主に役立ちます。

SPEOS LENS SYSTEM へのエクスポート(すべてのエディション)

Ansys Speos では、Ansys Zemax OpticStudioで作成した光学設計モデルを包括的な照明解析モデルに組み込むことができ、設定した照明環境における3Dモデルの撮影像シミュレーションが行えます。これまでAnsys Zemax OpticStudioからAnsys Speosへの光学設計データの転送は、専用ツール(Speos Lens System Importer)を介して行っていましたが、2022 R2 リリースからは、必要なAnsys Speos用データモデルをAnsys Zemax OpticStudioから直接作成することができるようになりました。
[Speos Lens system へのエクスポート] (Export to Speos Lens System)ツールにより、センサーの幅と高さ、サンプリング点数、プローブ光線数を設定するだけで、低次元化されたデータモデルの作成が可能です。このツールは回転対称または左右対称のシステムに対してのみ使用可能です。

STARモジュールの新しい性能解析(Enterpriseのみ)

[性能解析] (Performance Analysis)では、温度変化や構造変形が、システムの光学性能の全体的な変化にどのように寄与しているかを面単位で確認することができます。FEA データセットを順次オン/オフして、指定した性能指標(RMS 波面収差またはRMS スポットサイズ)の変化をモニターすることができます。この解析では、温度変化及び構造変形による光学性能変化への寄与を区別することができます。

STARモジュールの新しい性能解析