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Ansys Zemax OpticStudio 2023 R2 バージョン情報

Ansys Zemax OpticStudio 2023 R2

2023年7月リリース

Ansys Zemax OpticStudio 2023 R2では主に構造・熱解析との連成機能であるSTARモジュールと、合成面の利便性が向上しました。
他にも各種機能の強化や仕様変更が追加されています。

プロジェクトディレクトリ: フルカスタマイズ可能なレンズプロジェクト(すべてのエディション)

[プロジェクトディレクトリ](Project Directories)は、Zemax の重要なファイルを簡単にパッケージ化して保存し、プロジェクトごとにアクセスして操作できるようにするものです。
[ファイル](File)タブにプロジェクトディレクトリグループが追加され、レンズプロジェクトファイルに合わせてWindows 標準のファイル管理機能を提供します。

プロジェクトディレクトリ: フルカスタマイズ可能なレンズプロジェクト(すべてのエディション)画像1

プロジェクトディレクトリは、[新しいレンズプロジェクト](New Lens Project)ボタンで新しいレンズ設計を開始するか、 [レンズプロジェクトに変換](Convert to Lens Project)ボタンで既存のOpticStudio の設計から作成できます。
レンズプロジェクトをカスタマイズし、サポートされていないファイルをリンクすることで、完全なプロジェクトを保存して共有できるようになりました。
新しいレンズプロジェクト設定では、プロジェクトディレクトリに固有のファイルやZemax Data ルートフォルダから読み込むファイルを選択できます。
また、仕様書PDF やデータXLSX ファイルなど、プロジェクトに関する情報を含んでいてもレンズファイルの一部ではないような、補助プロジェクトファイルを追加することも可能です。

プロジェクトディレクトリ: フルカスタマイズ可能なレンズプロジェクト(すべてのエディション)画像2

注意:プロジェクトディレクトリとの混同を避けるため、以前は[プロジェクト環境設定](Project Preferences)と呼ばれていたものを、現在は[OpticStudio 環境設定](OpticStudio Preferences)となりました。機能的には変わりません。

プロジェクトディレクトリ: フルカスタマイズ可能なレンズプロジェクト(すべてのエディション)画像3

ANSYS OPTICS LAUNCHER(すべてのエディション)

このツールは、Ansys Optics のすべてのアプリケーションを起動するための機能です。
作業中のプロジェクトやファイルを確認したり、Ansys ライセンスを設定するためのリンクが用意されています。
また、Ansys Optics のウェブサイトからアプリケーションギャラリーのサンプルに直接アクセスでき、素早く簡単に始められる沢山のシミュレーションプロジェクト例を提供しています。
さらに、Lumerical またはSpeos のいずれかの30日間トライアルライセンスを自動的に取得できるので、業界をリードする他のオプティクスおよびフォトニクスツールを無料で体験できます。
トライアルライセンスの取得方法については、Ansys Optics の記事をご参照ください。

ANSYS OPTICS LAUNCHER(すべてのエディション)画像4

このツールはお使いのマシンにAnsys Zemax OpticStudio 2023 R2のインストールの際に別途インストールされ、スタートメニューのAnsys Optics 2023 R2 メニューに表示されます。

ANSYS OPTICS LAUNCHER(すべてのエディション)画像5

STAR: 部品剛体運動(ENTERPRISE エディションのみ)

このツールでは光学部品(レンズやレンズ群など)を定義すると、部品レベルの剛体運動(RBM)を構成するティルトとディセンタを計算します。
この部品レベルのRBM は、ワンクリックで個々の面のRBM を削除し、レンズデータエディタの面の前後に座標ブレークのセットを追加します。これにより、STOP 分析の一環として、公差解析と最適化を行えます。

STAR: 部品剛体運動(ENTERPRISE エディションのみ)画像6

STAR: 重み付けされたFEA データへの対応(ENTERPRISE エディションのみ)

FEA プラットフォームで保存したデータセットに定義された不均一なノードの重みを使用することで、剛体運動(RBM)の精度が向上します。
これにより、よりリアルなRBM の表現が可能となり、特にFEA メッシュが不均一または不均等な場合に有効です。
また、Ansys Mechanical のExport to STAR ACTExtension がアップデートされ、保存されたデータセットにノードの重みを含めるオプションがサポートされました。

STAR: 重み付けされたFEA データへの対応(ENTERPRISE エディションのみ)画像7

STAR: ZOS-API を使用した直接的な屈折率フィッティング(ENTERPRISE エディションのみ)

このリリースではOpticStudio に屈折率データセットを読み込める新しいZOS-API コマンドの早期利用を提供します。
STAR フィッティングアルゴリズムは、屈折率データセットが割り当てられた面に適用される不均一なGRIN を作成するために使用されます。
これによりOpticStudio がSTAR 機能でサポートするワークフローを航空光学用途で一般的な光学システムの性能に乱流が与える影響をモデリングするケースなどに拡大されます。

合成面: マルチ コンフィグレーションの対応(すべてのエディション)

Ansys Zemax OpticStudio 2023 R1 で導入された[合成面](Composite Surface)機能は、サグベースの面に任意のサグベース面のサグを追加できるため、複雑な面形状をシーケンシャルモードで簡単に作成することが可能です。
また、この高度な機能により回避策なしでサグベースの面のイレギュラリティを直接公差解析ができます。
Ansys Zemax OpticStudio 2023 R2 では新しいマルチコンフィグレーションオペランドが追加され、面プロパティの合成面セクションにあるティルトおよびディセンタパラメータが複数のコンフィグレーションでサポートされます。
- CSDX とCSDY は、合成面におけるX とY のディセンタを表します。
- CSTX、CSTY、CSTZ は、合成面におけるX、Y、Z のティルトを表します。
個々のコンフィグレーションに対して合成面の動作をオンまたはオフにするには、IGNR オペランドを使用して、特定の合成面を無視できます。

合成面: マルチ コンフィグレーションの対応(すべてのエディション)画像8

合成面: ツールや解析のサポート(すべてのエディション)

合成面を使用する際の設定、解析、エクスポート機能が向上し、以下のツールや解析が合成面を含む設計を完全にサポートするようになりました。
- [Speos Lens system へのエクスポート](Export to Speos Lens System)
- [CAD ファイルのエクスポート](Export CAD File)
- [Zemax ブラック ボックス データのエクスポート](Export Zemax Black Box)
- [物理光学伝搬](Physical Optics Propagation(POP))
- [エレメントの反転](Reverse Element)

SPEOS LENS SYSTEM へのエクスポート: ZOS-API のサポート(すべてのエディション)

[Speos Lens system へのエクスポート](Export to Speos Lens System)ツールは、Speos 内の現実的な環境で正確な光学センサーシミュレーションを可能にするために、光学系の関連パラメータを含む低次元化モデル(ROM)を生成します。
このモデルはコンポーネントレベルの設計をレンダリングとビジュアライゼーションのための包括的なシステムシミュレーションに統合するために使用できます。

さらに、ZOS-API を通じてツールのセットアップと実行が可能になりました。
これによりROM 作成の自動化や製品間のワークフローの合理化が可能になります。
ツールへのインターフェースはZOSAPI.Tools.IExportToSpeosLensSystem の下にあり、すべての設定と標準機能にアクセスできます。

PARASOLID CAD ライブラリ(すべてのエディション)

OpticStudio は、Parasolid CAD ライブラリを利用して、より速く、より正確な光学形状を作成できるようになりました。
これは、OpticsBuilder にある新しい Parasolid サポートおよび Ansys Speos 内の既存の Parasolid サポートと一致しています。
Parasolid ライブラリはデフォルトで使用されます。
[OpticStudio 環境設定](OpticStudio Preferences) > [全般](General) のオプションのチェックを外すと、OpticStudio は SMS ライブラリに戻ります。

ISX 及び RSMX ライブラリ(すべてのエディション)

2023 R1 リリースで、RSMX および ISX ライブラリは非推奨となりました。
非推奨の理由は、これらのライブラリが将来的にIT やセキュリティの脆弱性をもたらす可能性のある旧式のMicrosoft コンポーネントに依存しているためです。
これらのライブラリおよびライブラリに依存する機能は、2023 R2 リリースで完全に削除されました。
これには、以下の機能が含まれます:
- [Radiant Source Models をダウンロード](Download Radiant Source Models)
- [Radiant Source Models を表示](View Radiant Source Models)
- [光線の生成](Generate Rays)
- [リバース ラディアンス](Reverse Radiance)
- [IS ライブラリ](IS Scatter Catalog)
上記の機能に加えて、評価関数オペランドのREVR、[ReverseRadiance ディテクタ]ReverseRadianceDetector) および [ターゲット オブジェクト](Target Object)も削除されました。
ISX ライブラリの代わりに、簡単に更新でき、安全な方法で維持できるフォーマットに基づいて、新しいBSDF 散乱ライブラリが将来のリリースでAnsys Zemax OpticStudio で利用できるようになる予定です。