Ansys Lumerical 2022 R2
2022年9月リリース
Ansys Lumerical 2022R2 ではRCWAソルバーなどの機能改良やEMEでのクラスタ計算対応、Ansys Zemax OpticStudio/Ansys Speosとの連携解析強化などが行われました。これら新機能・解析手法の一部を抜粋して以下に紹介いたします。なお、本内容にはバージョン2022R1.2~1.4での変更も含みます。
※以下、ベータ版と記載のある機能は、開発途上のものであり、現時点では一部機能に制限などがあります。
※ユーザの方向けに今回のバージョンアップの詳細資料がございます。
こちらよりご覧いただけます。なお、閲覧にはアカウントが必要です。
RCWAをはじめ各ソルバーの機能改良
- RCWA:任意の場所で電磁場分布を出力できるようになりました。また、各次数の回折効率(透過、反射)などの計算が可能になりました。
- STACK:異方性のある材料を含むデバイスの計算できるようになりました。
- EME:前方・後方の伝搬係数と関連づいたパワーの計算が可能になりました。また、2方向の間のクロスカップリングが計算可能になりました。
- MQW:CHARGEソルバー上でMQWソルバーが設定できるようになり、両ソルバーを組み合わせた計算が可能になりました。
- FEEM:TE偏光の割合・導波路におけるTE/TMの割合・実効モード面積などの計算が可能になりました。
- qINTERCONNECT:新しく追加され、PICにおける量子状態の計算が行えるようになりました。
RCWA解析による電磁場分布、透過率・反射率チャート
RCWA解析による各次数の回折効率計算
Ansys製品との連携強化
- Ansys Zemax OpticStudioから直接LumericalのRCWAソルバーを呼び出せる動的連携が可能になりました。(ベータ版※)
AR/VRデバイス、メタレンズ、結像デバイスなど、微細光学素子を用いた光学系の解析がシームレスに行えます。

Ansys Zemax OpticStudioとの連携プラグイン
- Ansys Speosと連携するためのファイルフォーマット・プラグイン(ベータ版※)
Ansys Lumericalで計算したフォトニクスモデルの出射光、反射・透過特性をAnsys Speosで使用できるようになりました。
Ansys Speosのサーフェスモデルと連携し、表面での散乱・反射・透過の特性を示すBSDF(双方向散乱分布関数)ファイルをAnsys Lumericalから出力することで、微細構造による影響をAnsys Speosでの光線追跡シミュレーションに反映させることが可能です。
また、回折格子などに関しては、各次数の回折効率をAnsys Lumericalで計算してJSONファイルを出力することで、Ansys Speosに回折の効果を反映させることも
可能となりました。
Ansys Speosとの連携フロー
- Ansys optiSLangを用いたディスプレイ設計の最適化ワークフロー(ベータ版※)
Ansys optiSLangとAnsys Lumericalの連携が強化されました。プロジェクトファイルを読み込んだり実行したりする手間なく、Lumericalのスクリプトファイルを直接optiSLangで実行可能です。例えば、optiSLangとLumericalのSTACKと組み合わせて、効率や色度などが目標値になるよう有機EL構造を最適化することが可能です。

Ansys optiSLangを用いた最適化ワークフロー
HPC(クラスタ計算)
- EMEの計算が、複数プロセスで行えるようになり、計算速度が上がりました。
- Multiphysicsで、パラメータースイープ時に32コアまでクラスタ計算が可能になりました。
その他
- ファウンドリーから提供されるプロセスファイルに、プロセスのばらつきも含められるようになり、モンテカルロ解析などが可能になりました。