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ARはUI/UX設計が鍵!「使われる」ARアプリを設計しよう

Wikitude

ARアプリは豊かな表現やそのインタラクションにより、ユーザーに「没入感のある体験」を提供することができます。しかし、たくさんのARアプリがリリースされているものの、まだ決してユーザーが「体験慣れしてきた」と言える状況ではありません。したがって、ユーザーの行動予測をしっかりと行い、ユーザーの体験シナリオやUI/UXを緻密に設計できていないと、非常に使いにくいアプリになってしまうでしょう。

この記事ではWikitudeの機能に照らし合わせつつ、「Wikitudeの機能を活かせる」「使えるARになる」アプリのUI/UX設計パターンについて触れていきたいと思います。

イメージトラッキング/オブジェクトトラッキングの設計ケース

Wikitudeには、精度の高い「イメージトラッキング」や「オブジェクトトラッキング」の機能があります。これらの機能に共通しているのは、「壁に飾っている写真」や「展示しているオブジェ」というようにユーザーがスマホでスキャンし、トラッキングするターゲットが明確なものであるということです。スムーズに機能を使ってもらうには、「ユーザーが何をすればよいか」、そして「その結果どうなったか」をユーザーが迷う前に示すことが欠かせません。

何をどのようにスキャンするか、ユーザーにわかりやすく明示しましょう

ユーザーに「何をすればよい?」と迷わせないようにするには、以下のような方法があります。

また、施設やイベントなどでは対象のオブジェクトにアイコンなどを貼っておくことで、よりユーザーの迷いを防ぎやすくなるでしょう。

[図1]
[図1]
[図2]
[図2]

トラッキングが外れることも想定しておく

スキャンおよびトラッキングがうまくいったら、ユーザーに次に行う操作(画面やボタンのタップなど)を促さなければなりません[図3]。

そしてもう一つ、設計に入れておかなければならない大事なことがあります。トラッキングが外れたイレギュラーケースについてです。Wikitudeのトラッキング精度は非常に高いですが、ユーザーの想定外の行動によってかざしているスマホがターゲットから外れてしまうことがあります。こういったケースも想定しておき、ユーザーが行うべき「次の操作」ができなくなったことをアラートで表示し、再度スキャンを促すなどのシーケンスに戻す工夫をしておきましょう[図4]。

[図3]
[図3]
[図4]
[図4]

インスタントトラッキングの設計ケース

インスタントトラッキングはスマホをかざし、平面を検知して、検知できた平面に対してユーザーがタップなどアクションを行うという流れが基本です。つまり、平面検知ができないとユーザーは次の操作ができません。それがわからないと、ユーザーにただただストレスを与えることになるでしょう。
ユーザーにストレスを与えず、インスタントトラッキングの機能を利用してもらう方法には、以下のようなものがあります。

平面検知させるためのアクションを促す

先程述べたように、まずはユーザーにスマホを平面にかざしてもらい、平面検知を行わなければなりません。AR機能の画面に遷移したら、最初に平面検知のアクションを促すようなグラフィックを表示させましょう[図5]。

[図5]
[図5]

平面検知がうまくできていることを示す

平面検知がうまくいっているかどうかよくわからないと、ユーザーは次のアクションを起こせません。そこで、平面検知が成功していることを示す必要があります。例えば、以下のような方法が考えられます。

検知できた平面にタップなどで3Dオブジェクトが配置できるアプリの場合、3Dオブジェクトが配置されたら、さらにユーザーが行える操作(拡大縮小/回転など)を直感的にわかるように表示させましょう。

[図6]
[図6]
[図7]
[図7]

マルチプレイヤーが想定されるコンテンツの設計ケース

一つのターゲットに対して複数人が利用する、いわゆるマルチプレイヤー想定のARの場合、複数人で楽しめることが最大の魅力であり、それを担保することが重要です。

同じ現実空間内でユーザーに同じオブジェクトの状態、同じ情報が共有されている

マルチプレイヤーの場合、プレイヤーAがスマホから見た情報とプレイヤーBがスマホから見た情報が同じであることが求められます。それによりプレイヤー同士の関係がシームレスになり、一緒にプレイしているような体験を提供できるからです。

Wikitudeに搭載された複数ターゲットのイメージトラッキングやオブジェクトトラッキング、さらにはマルチトラッカーを使うことで、空間を共有する複数のプレイヤーに対して表現豊かな同じ体験を提供できます。その際、Wikitudeと合わせてクラウド上に複数ユーザー間で3Dオブジェクトの状態を共有するような仕組みの構築が必要になりますが、そのようなサービスを利用すれば、同じタイミングで同じ体験を提供することが可能になるでしょう。どれだけ高度なシームレス性を実現できるかで、「ARアプリの品質」が決まります。

ユーザーに寄り添った細かい配慮を

このほか、以下のような細かい配慮を行うことで質の高いARアプリを提供できます。

「歩きスマホ」防止のための警告メッセージを出してからARを使うなどの機能は、AppleやGoogleのレギュレーションでも求められているものです。実装されていないと、ストア審査で落ちてしまう可能性があります。

設計したUI/UXが適切なものかを確認しましょう

ここまで述べてきたのは、良いUI/UXを提供するためのテクニック的な話でした。ここからは、どうやればそれを自身のアプリに反映することができるか考えていきましょう。

ユーザーのシナリオを図にして「動き」を洗い出す

ARはユーザーが現実空間のモノ(マーカー、オブジェクト、平面など)をターゲットにしてかざし、「タップする」など入力するという相互作用により成り立つものです。一方で、ユーザーは現実空間内を自由に行動します。そのため、ユーザーのシナリオをしっかり作らないと想定外の事態が発生してしまい、シナリオ通りにならなくなってしまう恐れがあるでしょう。

展示イベントなどではそれを防ぐためにオペレーターを何人も用意し、手取り足取り説明しながらユーザーの操作をフォローする――ということがよく行われています。しかし、ストアなどを通じて一般に配布・普及させるようなARアプリでは、そういったやり方は不可能でしょう。

オペレーターを用意しない(できない)一般のARアプリにおいては、設計段階でユーザーのシナリオをしっかり図に起こすことが必要です。図解化されたシナリオがあれば、そこから起こりうる想定外のユーザーの動きやイレギュラーケースを細かく洗い出すことができます。そうすることで、ユーザーを正しい体験へと導く工夫がいろいろ出てくるはずです。

ペーパープロトタイピングなどで適切なものになっているか検証しましょう

ユーザーのシナリオをより具体化するのに、プロトタイピングツールは非常に有効です。近年では「Adobe XD」や「InVision」、「Figma」など、無料もしくは安価で利用できるツールが数多く世の中に配布されています。プロトタイピングを通してユーザーテストを行い、フィードバックをもらい改善する。これらを繰り返すことで、アプリの設計がプラッシュアップされていきます。ブラッシュアップを通して、ARアプリの品質も高まっていくでしょう。

AppleやGoogleのガイドラインも参考に!

今回はARアプリのUI/UX設計に関するポイントを述べてきましたが、Appleからは「Human Interface Guidelines - Augmented Reality」、Googleからは「Google: Augmented Reality Design Guidelines」というように、OSベンダーからもUXガイドラインが提供されています。

ぜひこれらのドキュメントも参考にしながらUI/UXを設計し、「ユーザーにとって使いやすいARアプリの開発」にこだわりましょう。

※記載されている会社名および製品名は、各社の商標および登録商標です。

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