最新バージョンのリリース情報を掲載しています。
今回のバージョンアップでは、今まで開発した機能をPhasedArrayライブラリとして追加しました。フェーズドアレイ気象レーダーのデータ1)の可視化や、その他の気象レーダーや気象解析結果データの可視化にも利用できます。
またドローンなどの外部機器との連携が強化されました。これにより、ドローンで空撮した建物、地形などを3次元で再構築しテクスチャを貼ったデータに、シミュレーション結果を重ね合わせることでよりリアルなデータの表示が可能になります。
2017年7月
近年、局地的大雨(いわゆるゲリラ豪雨)などの局所的気象災害の観測、予測のため空間分解能、時間分解能を高めたレーダー開発・設置が進められています。
サイバネットシステムでは、気象関連研究者の方々を支援するために、これらのレーダーよって取得される大規模な観測データから、災害発生時の大気の3次元構造や時系列変化をより詳細に把握するための可視化ツールの開発を行ってきました。
特に、フェーズドアレイ気象レーダー(※1)の可視化については、依頼元の国立研究開発法人情報通信研究機構様のご協力を得て、初期の観測データから、3次元可視化、動画の作成などを行ってきました。
AVS/Express 8.4に追加されたPhasedArrayライブラリ(※2)はこれらの成果を製品として組み込んだモジュールライブラリです。
フェーズドアレイ気象レーダーのデータ(※3)の可視化にはもちろん、その他の気象レーダー、また、気象解析結果のデータにも利用できるモジュール群やサンプルで構成されています。
本ライブラリに登録されたアプリケーションを利用することで気象データの可視化に必要となる地図(※4)、高さの凡例、複数等数値面、ボリュームレンダリングをあわせて表示することができます。
また、可視化状態を定量的に判断するための統計量表示の機能や雨の様子を表現する新しい表示手法なども用意されています。
※1)フェーズドアレイ気象レーダー、国立研究開発法人情報通信研究機構様、国立大学法人 大阪大学様、株式会社 東芝様にて共同開発された、これまでにない高時間分解能、高空間分解能で降水3次元観測することができる 気象レーダーです。
※2)PhasedArray ライブラリの開発には、国立研究開発法人 情報通信研究機構様のご協力をいただいています。
※3)フェーズドアレイ気象レーダーの観測データについては、国立研究開発法人情報通信研究
機構のフェーズドアレイ気象レーダーのサイトをご参照ください。
※4)地図については、フェーズドアレイ気象レーダーが設置されている大阪、神戸、沖縄のみが収録されています。別売の AVS/Express 地図情報可視化オプションを利用すれば、全国の地図を背景画像として利用することも可能です。
データ提供 : 東北大学災害科学国際研究所
災害リスク研究部門 Erick Mas様
ドローンによる空撮画像から作成される3次元のデジタルデータは、建築現場の測量や歴史的建造物のデジタルアーカイブなど幅広い分野で利用されています。
AVS/Express 8.4では、この空撮データの代表的なフォーマットであるOBJ(Wave front OBJ)フォーマットに対応しました。既存のOBJファイルの読み込み機能に、テクスチャの読み込み、表示機能を追加しています。
AVS/Expressに取り込んだ建造物等は、標準の可視化機能と組み合わせることで、他の装置で計測された結果(例えば温度など)と重ね合わせることが可能です。
また、プロジェクタによる大画面立体視表示やヘッドマウントディスプレイ(※5)を利用したVR観察を行うこともできます。
※5) 別途ミドルウェアが必要です。
現在3Dプリンタは、樹脂、金属、カーボンといった様々な種類の材料によるオブジェクトの作成が可能となり、その工作精度も年々向上、実際の航空機の部品として利用される例も出てきています。
さらに、Web入稿による3D出力のプリント注文サービスなどの普及に伴い、3Dオブジェクトの出力はより手軽に利用可能になっています。
このようなサービスをより利用しやすくするために、AVS/Express 8.4ではSTLの形状出力機能にRGBカラーをサポートしました。また、新しくカラーPLY(Stanford Polygon)フォーマットの出力にも対応しています。
分子模型などの表示結果を実際に手に触れられるオブジェとして出力し、教育や展示などに利用することができるようになります。
ライン要素に対して長さの範囲を指定して表示/非表示を切り替えるthreshold_lineモジュールが追加されました。このモジュールを使うことで、たとえば分子模型の接続ラインのうち、一定長さ以上のラインのみを表示する事ができます。
advectorモジュールに両方向の流線をサポートする機能が追加されました。両方向を指定することで、特定の位置を通過するパーティクルアニメーションを作成することができます。
緯度・経度で座標値が定義された2次元データに対して座標変換を行い球面形状での表示を可能にします。
ビューワーの背景にテクスチャ画像を表示するBackgroundTextureモジュールが追加されました。表示する画像位置を画面手前に変更することで、画像データをタイトルロゴとして表示することも可能です。テクスチャ画像に透明度が設定されている場合画像の背景を透明にして文字のみ表示することができます。
CCMSライブラリに粒子の存在範囲を示す境界面を作成するBoundarySurfaceモジュールが追加されました。このモジュールはLASKYOまたはLAMMPSの計算結果データを読み込み、パラメータにより定義された直交等間隔ボリューム格子内に含まれる粒子数を計算し、粒子が存在する位置の境界面を生成します。
※CCMSライブラリは東北大学 金属材料研究所殿の研究成果を組み込んだライブラリです。
set_zero
特定の値を0に変更するモジュールです。NULL値を0に変更して、
ベクトルの長さを0に経する場合などに利用できます。
set_null, set_null_cell
全コンポーネントに対してNULL値を設定するメニューが追加されました。
BackgroundFade
前後位置の設定メニューが追加されました。また背景のグラデーションが
よりなめらかになっています。
Uviewer3DUnitScale
スケールの表示方向の選択が追加されました。
保守契約にご加入中のユーザ様には、最新バージョンVer.8.4の準備ができ次第ご案内いたします。