Ansys Zemax OpticStudio 2025 R2
2025年7月リリース
Ansys Zemax OpticStudio 2025 R2では以下のような新機能の追加や機能改良が施されました。
- NSCシーケンスセレクター (PREMIUMおよびENTERPRISEエディション)
- NSCグリッドサグへの高精度変換 (すべてのエディション)
- STARマルチフィジックスデータセットのヘッダー (ENTERPRISEエディション)
- メタレンズWINDOWED FOURIER TRANSFORM – 高速モードとユーザー定義のウィンドウサイズ (すべてのエディション)
- レイアウトと解析用のカスタマイズ可能な透かしの表示 (すべてのエディション)
- OPTICSTUDIOのバージョンオプションを使用したアドレス設定の更新 (すべてのエディション)
- FFTスルーフォーカスMTF:マルチスレッド性能の向上 (すべてのエディション)
NSCシーケンスセレクター (PREMIUMおよびENTERPRISEエディション)
[シーケンスセレクター] (Sequence Selector) は、Ansys Zemax OpticStudio 2025 R1.01で機能実験として導入されていたものですが、2025 R2で完全にサポートされる機能となり、ノンシーケンシャルモードの光線追跡解析グループに移動し、よりアクセスしやすくなりました。このリリースでは、新しい[シーケンスビルダー](SequenceBuilder)タブが追加され、ユーザーが光線シーケンスを視覚的かつ直感的に定義および変更できるようになりました。

シーケンスセレクターを使用すると、特定の光路に沿った光線を追跡、フィルタ、および解析するための永続的なNSCシーケンスを生成します。これらのシーケンスは、保存および再利用可能であり、コンポーネントレベルの迷光、内部反射、または光学ゴーストに関連する重要な光路に解析を集中させることができます。
このリリースでは、[シーケンスジェネレーター] (Sequence Generator) が[光路解析] (Path Analysis) ツールと統合され、大規模な光線ファイルを再処理することなく、過去に作成したパスを永続的なシーケンスに変換できるようになりました。シーケンスビルダーと組み合わせることで、複雑なシステムでシーケンスを管理および変更するタスクが大幅に簡素化されます。
これらの改善により、シーケンスセレクターのユーザビリティと機能性が大幅に向上し、携帯電話カメラ、VR/MRヘッドセット、HUD、CubeSatなどの折り返し光学系などのアプリケーションにおいて、重要な光路を分離して調査することが容易になりました。
NSCグリッドサグへの高精度変換 (すべてのエディション)
以前のバージョンでは、シーケンシャルモードからノンシーケンシャルモードへの面の変換では、デフォルトの64x64の線形補間を使用してNSCグリッドサグ面を作成していました。このアプローチは高速かつシンプルですが、特に急勾配または複雑なジオメトリにおいて微細な面の特性を見逃す可能性があります。
OpticStudio 2025 R2では、より正確な面の表現を実現するために、変換方法をバイキュービック補間にアップグレードしました。また、[NSCグループに変換] (Convert to NSC Group) ツールに新しい解像度選択コントロールが追加され、ユーザーが面のサンプリング解像度を33 x 33 から2049 x 2049 まで選択できるようになりました。

STARマルチフィジックスデータセットのヘッダー (ENTERPRISEエディション)
マルチフィジックスデータセットにヘッダーとコメントを追加することで、読みやすさ、追跡性、およびコラボレーションを向上させることができます。この機能強化により、特にチーム間で協力したり、プロジェクトを後から確認したりする際、複雑なシミュレーションデータの理解と管理が容易になります。
ヘッダーは、データセットに構造化された形式を提供し、データのさまざまなセクションを明確に定義するのに役立ちます。コメントは、注釈、文脈、または指示を追加して、より良い解釈と再利用をサポートします。
これらの改善により、STARの[マルチフィジックスデータローダー] (Multiphysics Data Loader)ツール用のデータセットの準備プロセスが効率化され、データ交換が円滑になり、ポスト処理中の誤った解釈のリスクが軽減されます。

メタレンズWINDOWED FOURIER TRANSFORM – 高速モードとユーザー定義のウィンドウサイズ (すべてのエディション)
メタレンズのモデリングで使用されるWindowed Fourier Transform(WFT)アルゴリズムは、OpticStudio 2025 R2で大幅に機能強化され、性能が向上し、柔軟性が拡大し、製品エディション間のアクセス範囲の拡大が実現されました。
新しい高速モード(Method=1) が利用可能になり、WFT計算が劇的に高速化されました。この方法は、OpticStudio内で最適化されたバイナリ2面など、メタレンズ位相プロファイルが解析式で定義されている場合に特に効果的です。従来のWFT手法(Method=2) は、仮定が少なく、より一般的な解が得られるため、検証目的で引き続き使用できます。多色光学系や広視野角光学系など、局所位相勾配(Method=0)が修正された光線の軌道の計算に十分ではない光学系では、ユーザーは高速なWFTアルゴリズムから開始し、さらに精度検証が必要な場合にのみ従来のWFTアルゴリズムに切り替える必要があります。
新しいウィンドウサイズパラメータも導入されました。以前はハードコードされていたウィンドウサイズは、WFT計算をさらにコントロールできるようにユーザー設定が可能になりました。単位は波長単位で、デフォルト値の100は以前の挙動と一致します。
ウィンドウサイズの設定に適した目安は、2√(f/π/λ) です。ここでf はメタレンズの焦点距離、λは主波長です。
2025R2では、この機能がProエディションでも使用できるようになり、より幅広いユーザーが高度なメタレンズモデリングを利用できるようになりました。
レイアウトと解析用のカスタマイズ可能な透かしの表示 (すべてのエディション)
ユーザーは、現在のバージョン番号を表示するAnsyの透かしの表示方法をより柔軟に管理できるようになりました。デフォルトでは、この透かしはすべてのレイアウトウィンドウおよび解析ウィンドウに表示され、特にドッキングビューが多数存在する設計やスクリーンショットを準備する際に、視覚的に乱雑になる可能性があります。
この問題に対処するために、[OpticStudio 環境設定] (OpticStudio Preferences)に2つの新しい設定を追加しました。1つはレイアウトウィンドウ用、もう1つは解析ウィンドウ用です。ユーザーは、どちらか一方または両方の状況で透かしを無効に設定できるようになりました。これにより、ユーザーのニーズに合わせたよりすっきりとしたワークスペースを実現できます。
このアップデートでは、特に複数のサブウィンドウを使用する場合や結果を表示する場合のユーザビリティが向上し、ユーザーがワークスペースの外観や操作をより細かく調整できるようになりました。

OPTICSTUDIOのバージョンオプションを使用したアドレス設定の更新 (すべてのエディション)
[OpticStudio 環境設定] (OpticStudio Preferences)でアドレス設定を拡張し、ユーザーが解析プロットとレイアウトプロットのラベル表示をさらに細かく設定できるようになりました。ドロップダウンメニューに、既存のオプション(custom text、lens file name、configuration numberなど)と共に、新しいオプション「OpticStudio Version」が追加されました。
これにより、プロットに現在のバージョン番号を動的に挿入できるようになり、静的または古いリリース番号に依存する必要がなくなります。ソフトウェアがアップデートされた際に混乱を回避し、注釈がバージョン間で正確性と一貫性を保つようにします。

FFTスルーフォーカスMTF:マルチスレッド性能の向上 (すべてのエディション)
[FFTスルーフォーカスMTF] (FFT Through Focus MTF)解析にマルチスレッド処理が追加され、計算時間が大幅に短縮されました。これらの改善は、複雑な光学系を解析する際には顕著に現れます。
この改善は、レイエイミングを有効にしている光学系で特に有益です。以下のグラフで示した例では、レイエイミングを有効にした多色Cooke40レンズ設計において、サンプリングの増加に伴う計算時間の短縮が顕著に示されています。
グラフに示すように、性能の向上は問題の複雑さに応じて拡大するため、これらの機能強化は、計算負荷の高い最新の設計タスクで特に価値があります。

