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Ansys Lumerical 2024 R1 バージョン情報

Ansys Lumerical FDTDにおけるGPU計算機能の改良

FDTDソルバーのGPU計算機能は2023 R2 では、PML吸収境界条件にのみ対応していましたが2024 R1では新しくPEC/Metal/PMC/Anti-Symmetric/Symmetric境界条件で使用可能になりました。
また、シングルノード・マルチGPUに対応し、シングルノードのスケーラビリティが向上しました。
さらに、GPU計算時に計算リソースとして使用可能なSM(ストリーミング・マルチプロセッサ)数に一部変更が入りました。
Ansys Lumerical FDTD、Ansys Lumerical Acceleratorでは1ライセンスあたり32SMまで使用可能でしたが1ライセンスあたり16SMに変更されました。

※CPU計算に使用するコア数に変更はありません

各種ソルバーの機能強化

FDEソルバーでは、オートスケールPMLが追加されました。
この機能により、メッシュステップと波長に応じてPML境界のパラメータを自動調節することが可能になり、PML境界のパラメータ調整をユーザーが行う必要がなくなったため収束計算がより容易になりました。また、メッシュステップの数を減らしても、PML境界とオブジェクトの距離やプロパティを変更する必要はございません。

EMEソルバーでは、導波路の湾曲を可視化する機能の追加により、ユーザーは設計した導波路をGUI上で直感的に確認することができるようになりました。

RCWAソルバーでは、グレーティングパワーの計算機能と面内異方性のある材料への対応の2点が新機能として追加されました。
グレーティングパワーの計算機能は、非伝搬モードをフィルタリングすることで、伝搬する光のみを解析します。設定した波長と入射角度に対する透過・反射光の各回折次数におけるs偏光またはp偏光の強度分布を確認できます。この時、損失がないグレーティングでは合計が1になるように正規化されます。また、面内異方性に対応したことにより、材料の光学特性を正確にモデル化し、より現実に近いシミュレーション結果を得ることができます。これらのアップデートにより、より詳細かつ効率的な解析が可能になりました。

アセンブリグループ

2024 R1で新機能として追加されたアセンブリグループは大面積メタレンズなどの類似形状が多数並ぶようなモデルを高速でGUI上に描画することができます。四角柱や円柱などの基本構造の座標、幅、高さ、半径などをパラメータとして扱い、これらパラメータを要素に持つマッピング用の配列を作成し、基本構造を配置します。グラフィックに割くマシンリソースが少なくなるのでソフトウェアの動作が軽くなります。

ワークフロー・連携機能の強化

マイクロLEDのワークフロー
マイクロLEDのワークフローが改良され、CHARGE/MQW連成モードで緑色および青色マイクロLED用の窒化物材料や三元系と四元系の材料に対応したことや、CHARGEが窒化物材料の圧電効果と自発分極に対応したことにより、より高度な解析が可能になりました。解析内容としてはIV曲線、発光スペクトル、量子効率が解析可能です。また、STACK、FDTDソルバーを使用して発光特性の解析や伝播解析を行うことも可能です。

KLayoutとLumerical Multiphysicsの直接連携
KLayoutとLumerical Multiphysicsの連携により、レイアウトデザインツールと光学解析の連携がさらに強化されました。この動的連携は、KLayoutで設計されたライブラリセルをLumericalに直接取り込むことで、効率的な設計最適化と迅速な評価を可能にします。FDTD、MODE、Multiphysicsソルバーとの互換性を備え、パラメータスイープを用いてデバイスの性能を評価し、最適な構造を設計できます。これにより、設計・解析のワークフローを大幅に効率化し、フォトニクス設計の可能性を最大限引き出します。

GUIの変更

2024 R1ではLumerical製品すべてでダーク/ライトテーマ(デフォルトはライトテーマ)が利用可能になり、アイコン、フォント、navcube、キーボード操作がANSYSのガイドラインに統一されました。ダークモードにより目の快適さを提供し、4K高DPIスクリーンと最新の3Dビューに完全対応しました。 GUIは、他のAnsys製品と統一されているため、Ansysソフトウェア間の移行が容易で、学習時間が短縮されます。