ここ数年、製品のライフサイクルが一段と短くなっています。その中で市場のニーズに即した製品をタイムリーに市場に提供することが、競争優位性の確保につながり、逆にその時機を逸した場合には大きな利益損失につながります。そのため開発スケジュールの遵守の重要性がより一層高まっています。
しかし、従来の設計プロセスでは、過剰な公差設定、重要管理寸法の見落とし、更にはばらつき予測精度の低さに起因するトラブルにより、生産現場からの設計部門への「手戻り」が生じ、設計工数の増加や開発スケジュールの遅延につながっています。
一方、開発スケジュールを優先した場合には、本来設計時に解消しておくべき公差に起因する問題が先送りされ、生産段階での独自ルールに基づく調整、手直し、再組み立てといった追加作業が発生します。
このため、結局問題の先送りによってキープしていた開発スケジュールに遅延が発生してしまいます。
このような開発スケジュール遅延にかかわる問題の解決には、設計の早い段階からの公差解析が必要不可欠となります。
従来の設計プロセスでは、実質的なトラブルシュート(再設計)の工数に、設計内容確認等の派生的遅延要因の工数が加算されるため、予想以上のスケジュール遅延が発生し、設計者の負荷も増加します。
設計の早い段階で公差解析を実施することにより、製造現場から設計への手戻りを削減し、設計負荷の低減が図られます。
さらに製造現場で発生する「組み立てにくい」「性能・品質が満足できない」等の問題発生を削減し、製造負荷の低減にも効果を発揮します。
一般的に品質向上とコスト抑制は相反する項目で、両立させることは困難と考えられがちです。設計側からは、品質・性能維持のため厳しめの公差設定が要求され、生産技術側からは製造コストを抑えるために、できるだけ公差の緩和が要求されます。
多くの場合両者の調整において、品質・性能を優先するあまり、必要以上に厳しめの公差設定を行いがちで、これがコストの高いモノづくりにつながっています。
この相反する要求に対し、公差解析を実施し不適切な公差の設定を見直すことで、「コストの上昇を最小限に抑えた品質改善」や「品質を維持したコストダウン」を行うことが可能となります。
公差解析によって得られた定量的数値をもとに、「どの公差」を「どのくらい修正」すれば「どれだけ品質に影響が出るか」を、ものづくりを行う前に検証できます。これにより、「コスト増を最小限に抑えた品質改善」や「品質を維持したコスト削減」を行うことが可能になります。
公差解析実施は、様々な視点からメリットがあります。
コストダウン、工数削減による経営の効率化が図られます。
試作品や不良品の削減は、環境(二酸化炭素の排出量削減)にも大きな効果をもたらします。
設計への手戻りを排除したスムーズな製品開発を実現できます。
定量的数値に基づくコスト管理、設計ノウハウの蓄積、技術者の育成が行えます。
量産時に起こる問題を、事前に把握できます。
重要管理寸法を明確化することにより、設計案の効率的検討が可能になります。
今起きている問題の、原因究明、改善方法立案に効果があります。
歩留まり改善の指針が明確になります。
安定した品質管理を、定量的な数値でコントロールできます。
公差解析とは
公差解析のメリット
公差解析の基礎知識
1.公差とばらつき
2.分散と標準偏差
3.工程能力指数
4.公差解析手法
5.分散の加法性
6.工程能力指数が異なる場合
7.計算してみよう
8.計算してみよう (解答例)
@IT公差解析 基本中の基本シリーズ
間違いだらけの公差計算〜複数部品は要注意〜
公差寄与度を把握して、安くてウマい設計を
公差計算 Excel シートにシビレちゃいなYO!
公差解析の基本おさらいタイム始まるよ