Multiscale.Sim
マルチスケール解析について
マルチスケール解析とは
マルチスケール解析とは、文字通りスケールの異なる構造体双方の物性、もしくは挙動を連成させる解析を意味します。
一口にマルチスケール解析と言っても様々なアプローチ手法があり、代表的な手法としては均質化法などが良く知られた手法の一つです。
例えば、近年様々な製品に利用されている複合材料などは複数の異種材料から成り立っており、仮にこの複合材料の材料特性を均質化できれば製品全体の挙動を容易に把握できるため、結果として最適な材料設計が可能となります。
マルチスケール解析の必要性
近年、様々な製品に利用されている複合材料などは、ミクロ構造が複雑且つ異方性の特性を持っています。
そのため、製品全体の挙動を把握するためには、先ずミクロ構造の材料特性を把握する必要があります。
通常、複合材料の材料特性を把握するためには、材料試験を行うのが一般的ですが、実はこの材料試験から得られた特性も実はミクロ構造ではなくマクロ構造の特性であることに違いはありません。
仮に、解析モデルのスケールが異なる材料のミクロレベルの特性と部材や部品レベルのマクロレベルの特性を同時に考慮できる解析ツールがあれば、本来材料がもつ特性を十分に活かした材料設計が可能となります。更に、材料を設計変数にすることができれば、従来にはなかった優れた機能を持つ商品開発が行える可能性があります。
【 複合材料の例 】
合板、繊維強化プラスチック、カーボン、金属基複合材料、骨、鉄筋コンクリート、軽金属(アルミニウム・マグネシウム・チタン など)、合金(ステンレス鋼など)、
繊維(天然繊維、化学繊維、炭素繊維)、セラミックス、紙、合成樹脂など
クロス材
ステッチ材
マルチスケール解析の用途
マルチスケール解析の用途の例としては、次のようなことがあげられます。
- 新しい複合材料の開発
- FRPの開発
- フィラメントの断面形状の検討
- ストランドの角度の検討
- マトリクスの材質の検討
- 結晶の配向検討
- 複合材料を用いた製品設計
- プリント基板の設計
- バンパーの設計
- 複合材料を用いた製品の不具合原因究明
- 部品の破壊メカニズム検討
- 材料試験の代替
- 材料試験の工数削減
- 理想的な材料試験
- 解析規模の縮小
- 均質材料使用によるモデルの簡略化