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Flownexを用いた負荷過渡時の空気/排ガス系統における過剰O₂応答遅れの検討

Flownexを用いた負荷過渡時の空気/排ガス系統における過剰O₂応答遅れの検討の概要

発電所では、負荷変動時に空気/排ガス系統における空気流量の応答遅れが発生していました。良好な燃焼を実現し、NOxおよびSOxの排出量を低減するためには、空気流量の迅速な応答が重要です。そこで、Flownexを用いて空気/排ガス系統および制御系の調査を行いました。Flownexによるシミュレーションの結果、フィードフォワード制御の最適化が必要であること、また、バーナーライン径を拡大することで応答を高速化できることが明らかになりました。

課題

Secondary Over Fire Air(SOFA:分離型オーバーファイアエア)は、ボイラーの燃焼効率を向上させ、その結果としてNOxおよびSOxの排出量を低減するために使用されます。この発電所では、空気流量制御の応答に遅れが生じており、その結果、炉内の燃料燃焼が望ましくない状態となっていました。そのため、応答遅れに影響を及ぼしている要因を特定するための調査が必要となりました。

効果

応答遅れに影響を及ぼす要因を特定することで、発電所の担当者は、実施した設備変更がプラントに及ぼす影響を評価するとともに、比較検討を行うことができます。これにより、設備の改良を通じてボイラー効率の向上を図ることが可能になります。こうした応答遅れの要因は、実機プラントでコストのかかる試験を実施して特定することもできますが、シミュレーションを活用することで、エンジニアリングに要する時間とコストを削減しながら特定することができます。

解決策

Flownexは、制御系と空気/排ガス系統を一体的にモデル化するための最適なツールであることが実証されました。さまざまなパラメトリックスタディを実施することで、応答遅れに影響を及ぼす要因を特定することができました。その結果、応答遅れの要因を特定できただけでなく、実際に適用可能で有用な改善策を顧客に提示することができました。

はじめに

発電所の1号機および2号機では、タンジェンシャル燃焼方式のボイラーが使用されています。このボイラーでは、一次空気および補助空気に加えて、NOxおよびSOxの排出量を低減するため、Secondary Over Fire Air(SOFA:分離型オーバーファイアエア)ダクト系統から炉内に空気を供給しています。過渡運転時には、空気流量の応答遅れを示し、炉内の燃料燃焼が望ましくない状態となっていました。負荷過渡時には、空気流量の応答に最大2分もの遅れが生じていました。

そこで、空気/排ガス系統、すなわち押込通風機(Forced Draft Fan:FDファン)の入口から誘引通風機(Induced Draft Fan:IDファン)の出口までの系統に加え、一次空気系統および本問題に関連する制御系をモデル化することを目的として、Flownexモデルを構築しました。

図1:発電所ユニットの空気/排ガス系統のレイアウト

解析方法

はじめに、空気/燃料系統の幾何学的パラメータを取得し、Flownexの「Pipe」エレメントを用いて流れと圧力損失をモデル化しました。炉、エコノマイザ、空気予熱器およびスクラバーの圧力損失については、顧客から提供された差圧-体積流量特性(ΔP-流量特性)に基づき、Flownex上でモデル化しました。熱伝達については、顧客から提供された各位置での温度データを用いてモデル化しました。また、取得したファン特性曲線を、Flownexの「Fan」および「Variable Speed Fan」エレメントへの入力として使用しました。本問題に関連する制御系については、コントローラーの実際の応答を最も適切に再現できると考えられる仮定に基づいてモデル化しました。対象としたコントローラーは以下のとおりです。

 

  • IDファンコントローラー:必要な炉内圧力を維持するた め、IDファンの回転速度を制御
  • FDファンコントローラー:必要な空燃比を維持するため、FDダンパーを制御
  • 排気ファンコントローラー:排気出口圧力を維持するため、排気入口ダンパーを制御
  • 燃料ダンパーコントローラー:一次空気の質量流量を維持するため、燃料ダンパーの開度を制御

図2:空気/排ガス系統および制御コンポーネントを示すFlownexネットワーク

まず、基準となるネットワーク条件を設定するため、モデルの調整を行いました。これは、系統全体で適切な圧力および質量流量分布が得られるよう、ダンパー開度とファン回転速度を調整することで実施しました。

次に、負荷変化時に生じる空気流量制御の応答遅れについて、考えられる原因を調査するため、さまざまなシミュレーションケースを設定しました。検討したケースは以下のとおりです。

 

  • 石炭供給量制御およびO₂制御に基づくFDファン制御
  • SOFAを含む場合と含まない場合の2ケース
  • 一次空気ダクトのレイアウトが異なる2ケース
  • 排気ファンについて、理想条件と実際の条件を比較したケース
  • バーナーライン径を変更したケース

結論

初期シミュレーションでは、すべての制御を除外した状態で、FDファンとIDファンの質量流量を同時に増加させました。その結果、FDファンおよびIDファンの空気流量には顕著な応答遅れが認められず、系統の機器構成が応答遅れの原因ではないことが確認されました。

また、石炭供給量制御とO₂制御を比較した結果、石炭供給量制御を用いることで、最適な空燃比により良く追従できることが明らかになりました。

図3:石炭供給量制御とO₂制御における空燃比の応答比較

Flownexは、空気流量の応答遅れを迅速に解析し、その根本原因を特定するための有効なシミュレーションツールであることが示されました。また、さまざまなパラメータスタディを実施することで、対象となる問題の特性や原因を迅速に把握することができました。
さらに、電力事業者に対して、実際に適用・実施可能な改善策を提示することができました。

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