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MBD/MBSE/デジタルツイン

これからのCAE活用方法 ~シミュレーションベースのデジタルツインのご紹介~

公開日2021年7月

目次

  1. はじめに
  2. デジタルツインとは
  3. シミュレーションベースのデジタルツインとは
  4. シミュレーションベースのデジタルツインを開発する環境
  5. おわりに

はじめに

近年、インダストリー4.0やソサエティ5.0 、IoT、スマートファクトリーといったものづくりの効率化や価値向上を図るためのデジタルトランスフォーメーション(DX)の概念・活動が浸透してきました。本稿ではこれらのDXの概念の一つであるデジタルツインの価値と活用例、実装方法を紹介します。

デジタルツインとは

「(戦略プロポーザル)革新的デジタルツイン」の「エグゼクティブサマリー」に、デジタルツインとは「デジタルデータを基に物理的な製品をサイバー空間上で仮想的に複製し、将来発生する事象をデジタルの仮想世界で予測することが可能な先進的なシミュレーション技術である」と記載されています [1] 。起きている現象をリアルタイムに観測すると同時に将来発生する事象を予測することができれば、製造装置の異常動作や故障といったトラブルを重大事故が発生する前に対応することが可能となり、メンテナンスにかかるコストを大幅に削減することができます。
デジタルツインを実現するモデリング方法として大きくわけると二つの手法があります。一つは、装置やプラントの稼働データを元に機械学習などを使って入力と出力の関係を統計的に推定するモデルを構築する方法です。このモデルを統計モデルと呼びます。統計モデルは稼働データがあればモデル作成が行え、物理法則が解明されていない現象・関係をモデル化することも可能という特長があります。
もう一つは、原理・原則に基づく数値シミュレ―ションを使って製品や現象を表現するモデルを構築する方法です。このモデルを物理モデルと呼びます。物理モデルは稼働データが無い場合もモデルを作成することができるため、製品設計・開発の機能検証用途で使われています。
弊社では統計モデルと物理モデル、二つを組み合わせたハイブリッドモデルをお客様の課題やご要望に合わせて提供しています。以降では物理モデルを使ったデジタルツインについて紹介します。

シミュレーションベースのデジタルツインとは

物理モデルには、CADデータを使った詳細な3次元シミュレーション(以下、3D-CAE)や、CADデータを使わず機能の繋がりを検証するシステムシミュレーション(以下、1D-CAE)などがあります。3D-CAEは詳細な形状に基づいた高精度な結果を得ることが可能で、対応している物理領域も多方面で適用範囲が広いという特長があります。1D-CAEは詳細な形状情報は持たず、機能のつながりをモデル化することで製品やシステム全体の挙動を表現できるという特長があります。高精度な3D-CAEモデルをデジタルツインで利用しようとすると計算時間がかかることや高い計算リソースを必要とするため、そのままでは現実世界の変化し続ける現象をリアルタイムに解析してフィードバックし、制御するといったことは困難です。そこでモデル低次元化(ROM: Reduced Order Modeling)という技術を利用します。ROM技術を使うことで、入力と出力の関係を表す次数低減モデルを作ることができます。これにより3D-CAEの本質的な動作と支配的な挙動は保持したまま処理を高速化することが可能です。
図1 はシミュレーションベースのデジタルツインを活用した例の一つである仮想センサーという技術の模式図を表しています。実センサーでは直接計測が困難な状態量をリアルタイムに推定する手法で、様々な産業界で活用が可能な技術です。業界によって、バーチャルセンサーやソフトセンサ、状態推定器、バーチャルメトロロジーなども呼ばれる場合があります。以降では仮想センサーの活用例を二つ紹介します。


図1 仮想センサー

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