ケーブル伝送線路モデルを用いた車両レベルでの放射イミュニティ解析事例

自動車のEMC試験において、放射イミュニティによるケーブルへのノイズ影響を抑制することは非常に重要です。
今回の事例では、車両状態での外部電界によって、ケーブルハーネスに励起される電圧/電流を解析することで、試作前段階でノイズレベルの低減対策検討を行います。

自動車の電動化に伴い、車両における電磁両立性(EMC)の重要度が年々高まってきています。その中で放射イミュニティ(EMS)と呼ばれる外来ノイズへの耐性についても重要な要素の一つとなっています。
車両レベルでのイミュニティ試験において、多数かつ複雑に配置されるケーブルハーネスへのノイズ影響は大きな課題となることも多く、実機試験でのカットアンドトライによる膨大な工数増加と対策コストを発生させ、納期遅延やコストアップによる価値の低下を引き起こします。
Ansys EMC Plusは、ケーブルのモデリングと大規模解析に特化したEMC解析ツールです。
ワークフローによる効率的なケーブルのモデリングと、3次元電磁界解析と伝送線路モデルを組み合わせた解析技術により、ケーブルハーネスへのイミュニティ影響を確認することが可能です。

車両内部に侵入する電磁界とノイズ影響の大きい箇所を確認可能

ケーブルへのシールド追加によりケーブルに励起されるノイズ影響が低減している

今回、複雑なケーブル配置を含む自動車車両に対して平面波を照射し、車両内での電磁波のふるまいとケーブルに励起されるノイズ影響の評価を行いました。
この様に任意の平面波を照射することで、外部ノイズが照射された場合のケーブルへの影響を定量的に評価し、ケーブルハーネスの配置設計やシールドの要否を検討することが可能です。
設計段階でこのような解析を行うことで、ケーブルハーネス設計をEMCに対して最適化し、製品の規格合格に貢献することができます。