公差解析入門
公差解析とは
概要と目的
公差解析とは、設計時に設定された寸法公差や幾何公差によってばらつきのある部品同士を組み立てた際の、ばらつき(累積公差)を計算することです。
設計業務に携わる皆さんが身近な業務で行っている公差の積み上げ計算も公差解析の「一部」です。
設計業務に携わる皆さんが身近な業務で行っている公差の積み上げ計算も公差解析の「一部」です。
公差解析を行う主な目的は、製造前や試作を行う前に以下のことをするためです。
- 組立品質のばらつきを予測
- 予測した結果をもとに、設計を改善して品質やコストを最適な状態にする
公差解析が解決する問題
公差解析が適用される製品や問題は多岐に渡ります。しかし、どれにも共通しているのは「部品を組立てた時のばらつき」が品質管理上懸念となる場合に、公差解析が生かされているということです。
公差解析が頻繁に適用される問題として、以下の様なケースが挙げられます。
- 組立や機能の問題:
- 部品同士の干渉(組み立てられない・動かない)
- 異なる部品間の穴位置のずれ(ボルト締結が行えない)
- コネクタピンと穴の位置のずれ(挿入できない)
- 性能の問題:
- バックラッシ量(異音・振動)
- スイッチの押し込み量(接触不良・性能問題)
- 外観の問題:
- 部品間の隙間の均一性(外観品質不良)
- 部品間の段差の均一性(外観品質不良)
これは全体のごく一部の事象ですが、ものづくりの現場では、いずれも当たり前のように遭遇する問題です。
しかし残念ながら、これらが公差解析で解決されるという可能性が見逃されていることも多いのが事実です。